にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage 12

 ――攻撃を止められただけであれほど動揺するとは、光坂は何かを隠し持っているということか。
 それほど攻撃力の高くない<レアル・ジェネクス・ターボ>の表示形式を変更しなかったことから、怪しいとは思っていた。
 次のターンで、光坂は間違いなく動いてくる。その前に不安の種は摘んでおくべきだ。
 最も――
「俺のターン……ひとつひとつ丁寧にやってたら日が暮れちまうから、さっさと行かせてもらう。何かチェーンがあるなら大声で叫べ」
 レビン・ハウンツが大人しくしてくれればの話だが。
「<魔轟神レイヴン>を召喚。効果で手札を2枚捨て、エンドフェイズまでレベルを4にする」
 レビンの呼びかけに応じて現れたのは、黒衣を纏い、腕から鋭利な翼を生やした悪魔だった。

<魔轟神レイヴン>
チューナー(効果モンスター)
星2/光属性/悪魔族/攻1300/守1000
自分の手札を任意の枚数捨てて、その枚数分このカードの
レベルをエンドフェイズ時まで上げる事ができる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
この効果によって捨てた手札の枚数×400ポイントアップする。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「手札から捨てた<魔轟神クルス>の効果を発動する。このカードが手札から捨てられたとき、墓地に存在するレベル4以下の<魔轟神>と名のついたモンスターを特殊召喚できる。俺は<魔轟神ガルバス>を蘇生させる」

<魔轟神クルス>
効果モンスター
星2/光属性/悪魔族/攻1000/守800
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、自分の墓地に存在するこのカード以外の
レベル4以下の「魔轟神」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。

 <魔轟神ガルバス>――先のターン、<おろかな埋葬>で墓地に送ったモンスターだ。

<魔轟神ガルバス>
効果モンスター
星4/光属性/悪魔族/攻1500/守 800
手札を1枚墓地へ捨てて発動する。
このカードの攻撃力以下の守備力を持つ、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊する。

「レベル4の<ガルバス>に、レベル4になった<レイヴン>をチューニング。禁じられた魔の騎士よ、閃光の元に集え! シンクロ召喚――目覚めろ、<魔轟神ヴァルキュルス>!」
 エフェクト光が四散する。
 金と赤で絢爛な紋様が描かれた黒の甲冑の纏い、力強く広がる黒の両翼を背から生やした悪魔の騎士が、フィールドにその存在を刻みつける。
 <魔轟神ヴァルキュルス>の頭のすぐ近くを、小さな赤い悪魔が飛んでいるのが見えた。使い魔の一種だろうか。

<魔轟神ヴァルキュルス>
シンクロ・効果モンスター
星8/光属性/悪魔族/攻2900/守1700
「魔轟神」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
手札から悪魔族モンスター1体を捨てて発動する。
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「<ヴァルキュルス>の効果を使う。手札の<魔轟神ケルベロ>を捨てて、デッキからカードを1枚ドロー。さらに<ケルベロ>は手札から捨てられた時、自身を特殊召喚できる」
 新たに現れたシンクロモンスターを眺める暇もないまま、レビンはプレイングを続ける。
 続いてフィールドに現れたのは、3つの頭を持った狼だった。

<魔轟神ケルベロ>
チューナー(効果モンスター)(オリジナルカード)
星2/光属性/悪魔族/攻1000/守 400
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。

「墓地の<魔轟神クシャノ>の効果を発動。手札の<魔轟神ガネーシャ>を捨てて、<クシャノ>を手札に回収。さらに<ガネーシャ>の効果発動。自身を特殊召喚だ」

<魔轟神クシャノ>
チューナー(効果モンスター)
星3/光属性/悪魔族/攻1100/守 800
手札から「魔轟神クシャノ」以外の「魔轟神」
と名のついたモンスター1体を墓地へ捨てて発動する。
自分の墓地に存在するこのカードを手札に加える。

<魔轟神ガネーシャ>
効果モンスター(オリジナルカード)
星3/光属性/悪魔族/攻1600/守1000
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力は200ポイントアップし、
フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「相変わらず手際いいねえ」
 光坂が皮肉のように呟いた言葉に、レビンは「ほっとけ」と短く返す。
 目まぐるしく動くレビンのプレイングに、輝王の隣に立つ創志は、あんぐりと口を開けて呆然としていた。
「……さて。このターンはここまででいいか」
 事務的な口調でこぼしたレビンだが――
「俺は」
 瞬間、黒の瞳が冷たい光を発する。
「俺はみんなを……サテライトを守るために、楔を穿ちに行く。例え俺たちが失敗したとしても、後に続く者は必ず現れる。この腐った世の中を変えたいと願っている奴は、嘆いている奴は、たくさんいるはずなんだ」
 言葉のひとつひとつに重さを与えるように、レビンは口を動かす。
「誰かが先陣を切らなきゃいけない――それが、俺たちだ。世界を変革するための第一歩……運命を変える大切な一歩だ」
 口を挟む者はいない。レビンは続けた。
「躓くわけにはいかない。だからこそ、邪魔をする奴は全力で潰す」
 視線と言葉だけで相手を威圧する。その容姿からは想像もできないほどのプレッシャーがまき散らされた。

「戦う理由の軽さを知れ。<魔轟神ヴァルキュルス>で<A・ジェネクストライフォース>を攻撃――ニーベルン・スレイヤー!」

 <魔轟神ヴァルキュルス>の右腕に、聖なる雷が生まれる。それは刃へと姿を変え、主に仇なすものを断罪する装具となる。
 黒の翼が羽ばたき、風が生まれる。
 豪風を巻き起こしながら、悪魔の騎士は銀色の機械兵へと飛翔する。
「――<トライフォース>!」
 迫る敵に狙いを定め、<A・ジェネクストライフォース>が右腕の銃撃ユニットから光条を放つが、<魔轟神ヴァルキュルス>はそれを器用に避けていく。
 標的を圏内に捉え、悪魔の騎士が雷の刃を宿した右腕を振り下ろす。
 次の瞬間、バチィ! と雷が弾け、視界が白に染まる。輝王は咄嗟に目を閉じた。
「くっ……!」
 呻き声を上げたのは創志だ。実体化した攻撃を受け、体に走った痛みをこらえているのだろうか。
 否。
 そんなはずはない。

「サテライトを守る、か。確かに大層な理由だが、口にすると途端に陳腐に感じるな」

 徐々に目を開きながら、輝王が告げる。
「――底が知れるぞ。レビン・ハウンツ」
 それと同時に、レビンのフィールドで爆発が起こり、巻き込まれた<魔轟神ヴァルキュルス>と<魔轟神ケルベロ>が砕け散った。
「――ッ!? 何を……」
「罠カード<シフトチェンジ>を起動し、攻撃対象を俺のセットモンスターを入れ替えさせてもらった。<魔轟神ヴァルキュルス>が攻撃したのは<A・ボム>……このカードは、光属性モンスターとの戦闘によって破壊され墓地に送られた時、フィールド上のカード2枚を破壊する」

<シフトチェンジ>
通常罠
相手が魔法・罠・戦闘で自分のフィールド上モンスター1体を指定した時に発動可能。
他の自分のフィールド上モンスターと対象を入れ替える。

<A・ボム>
効果モンスター
星2/闇属性/機械族/攻 400/守 300
このカードが光属性モンスターとの戦闘によって
破壊され墓地へ送られた時、フィールド上のカード2枚を破壊する。

「その効果で、俺の<ヴァルキュルス>と<ケルベロ>を破壊したのか……」
「チューナーを残したことで、メインフェイズ2に動かれても厄介だからな」
 レビンは先程「このターンはここまででいい」と言った。次手はすでに用意されていると考えるべきだろう。
「輝王……悪い、助かった」
「謝られるようなことも、礼を言われるようなこともしていない。俺は、俺のモンスターの効果を最大限に利用しようと思っただけだ」
 ……とは言ったものの、<A・ジェネクストライフォース>をたった1ターンで失うのは惜しいと感じたのも事実だ。
「……非常に腹の立つリアクションだが、助けられたのは事実だ。やっぱ礼だけは言っとくぜ、ありがとな」
「なら、恩返しを期待せずに待つとしようか」
「うるせえよ! くそ……今に見てやがれ」
 光坂とのやり取り以降、無駄に力の入っていた創志だったが、少しは肩の力が抜けたようだ。その顔には、いたずらっ子のような笑みが浮かんでいる。
「チッ……カードを1枚セットして、ターンを終了する」
 このターン、大きな動きを見せたレビン。しかし、結局場に残ったのは攻撃力の上がった<魔轟神ガネーシャ>のみ。
 次に攻略すべきは、光坂が統べる2体のモンスターだ。

【光坂LP4000】 手札5枚
場:レアル・ジェネクス・ターボ(攻撃)、裏守備モンスター
【創志LP4000】 手札5枚
場:A・ジェネクストライフォース(攻撃)、裏守備モンスター、伏せ1枚
【レビンLP4000】 手札2枚
場:魔轟神ガネーシャ(攻撃)、伏せ1枚
【輝王LP4000】 手札4枚
場:なし