にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドS 9-3

 気の抜けた神楽屋の態度は、本気になる必要がないということの意志表示のようで、癇に障る。
「――俺のターン」
 <ジェム・マーチャント>の攻守上昇効果はエンドフェイズまでだ。<ジェムナイト・ルマリン>の攻撃力は元に戻っている。
 しかし、神楽屋が2枚目の<ジェム・マーチャント>を手札に握っている可能性は考慮しなくてはならない。
「モンスターをセット。カードを1枚伏せ、ターンエンド」
 はやる気持ちを必死に抑え、創志は守勢に回る。
「ハッ。随分と堅実な手だな、坊主。もっとガンガン攻めてきてもいいんだぜ?」
「そのほうが御しやすい、ってことかしら?」
 神楽屋の言葉を継いだのは、気味の悪い笑みを作った宇川だった。
「……よく分かってるじゃねえの。オカマ」
「誰がオカマよ! チャラ男風情がアタシを語らないで!」
 笑みは数秒と持たず、肩をいからせて怒号を飛ばす宇川。
「いや、どっからどう見てもオカマだろ」
「アンタの目が腐ってるのよ! 訂正しなさいこの腐男子!」
「うわ。めんどくせえヤツ相手にしちまったな……」
 神楽屋が心底嫌そうに顔を歪める。
「創志! 相手の挑発に乗るでないぞ!」
 やいのやいの騒ぐ隣のオカマを無視して、切がアドバイスを送ってくる。
 創志は切に向かって頷くと、気持ちを落ち着かせるように両目を閉じる。
 瞼の裏に浮かぶのは、変わってしまった弟の姿。
 ――待ってろ、信二。

【創志LP3100】 手札4枚
場:裏守備モンスター、伏せ1枚
【神楽屋LP4000】 手札4枚
場:ジェムナイト・ルマリン(攻撃)

謝罪と賠償! 謝罪と賠償を要求するワ!!」
「……デュエルが進まんから、そろそろ黙っておいたほうが身のためじゃと思うぞ。宇川」
「ダメよせっちゃん! これは乙女のプライドを賭けた重大な問題なの!!」
「せっちゃんとはわしのことかの……? とにかく黙るのじゃ!」
 さすがに見かねた切が宇川にツッコミを入れたところ、今度は2人が言い合いを始めてしまう。
「……賑やかなギャラリーだな。ま、デュエルを進めるとしますか」
 そう言って、デッキからカードを引く神楽屋。
 騒ぐ2人を見つめる神楽屋の瞳に、郷愁の色が浮かんだように見えた。が、その理由を探る余裕は、今の創志にはない。
「<ジェムレシス>を召喚」
 上半身はモグラ、下半身は甲殻類を連想させる形をしたモンスターが、黄の戦士と並ぶ。

<ジェムレシス>
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1700/守 500
このカードが召喚に成功した時、
自分のデッキから「ジェムナイト」と名のついた
モンスター1体を手札に加える事ができる。

「このモンスターが召喚に成功した時、自分のデッキから<ジェムナイト>と名のついたモンスターを手札に加える。俺は<ジェムナイト・ガネット>を加えるぜ」
 神楽屋がデッキからサーチしたのは、またしても通常モンスター。再び<ジェム・マーチャント>による強化を狙っているのだろうか。
「バトルフェイズだ。<ジェムレシス>で裏守備モンスターを攻撃」
 背中についたブースターのような機構に火を灯らせ、<ジェムレシス>が両の爪でその身を隠した守備モンスターを切り裂く。
 ガギン! と鈍い音が響き、<ジェムレシス>の爪が数本宙を舞う。守備モンスターの装甲を突破できずに、折れたのだ。
「俺のモンスター<A・ジェネクス・クラッシャー>の守備力は2000だ。そいつじゃ倒せねえぜ」
 姿を現したのは、薄い迷彩色の装甲で身を固めた機械兵だ。右目には標的を見通すためのスコープがある。

<A・ジェネクス・クラッシャー>
効果モンスター
星4/闇属性/機械族/攻1000/守2000
自分フィールド上に表側表示で存在する
このカードと同じ属性のモンスターが自分フィールド上に召喚された時、
相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。


【神楽屋LP4000→3700】

「チッ。面倒くさいモンスターだな。バトルフェイズを終了し、<ジェムナイト・ルマリン>を守備表示に変更して、ターンを終了する」
 守りを打ち破れなかった神楽屋は、不快感を顕わにする。
 ――今、神楽屋に<A・ジェネクス・クラッシャー>を倒す術はないってことか?

【創志LP3100】 手札4枚
場:A・ジェネクス・クラッシャー(守備)、伏せ1枚
【神楽屋LP3700】 手札5枚
場:ジェムナイト・ルマリン(守備)、ジェムレシス(攻撃)