にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドS 7-3

 月の光を受けて、漆黒の装甲が輝く。深い青色のバイザーに光が走り、3つの砲口を搭載した右腕部の武装が標的を捉える。
 <A・ジェネクス>。
 戦う力を失った創志が、新たに手にした剣。
 <A・ジェネクス・トライアーム>が、創志のフィールドに舞い降りる。

<A・ジェネクス・トライアーム>
シンクロ・効果モンスター
星6/闇属性/機械族/攻2400/守1600
「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードのシンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの属性によって
以下の効果を1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動する事ができる。
●風属性:相手の手札をランダムに1枚墓地へ送る。
●水属性:フィールド上に存在する魔法または罠カード1枚を破壊する。
●闇属性:フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスター1体を破壊し、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。

「<A・ジェネクス・トライアーム>は、シンクロ素材になったチューナー以外のモンスターの属性によって、得られる効果が変化する。<A・ジェネクス・チェンジャー>の属性は闇……得られる効果は、手札を1枚捨てることで、フィールド上の光属性モンスターを破壊し、カードを1枚ドロー出来る!」
「なっ……! <A・ジェネクス・チェンジャー>の属性変更効果は、このための布石だったっていうの!?」
 まさにその通りだった。<A・ジェネクス・チェンジャー>の効果によって、竜美のモンスター<ジュラック・ヴェロー>の属性は光に変更されている。
「行くぞ! ダーク・ブリット、装填!」
 創志の号令に合わせて、<A・ジェネクス・トライアーム>の右腕に装着された砲身から、ガキン! という駆動音が響く。内部のシリンダーが回転し、打ち出す銃弾を選択したのだ。
 緑色のゲージが「MAX」を示し、黒き機械兵が砲身を構える。
「ファイア!!」
 突き出された砲口から、黒い閃光が撃ち出される。
 禍々しく輝くその閃光は、瞬時に<ジュラック・ヴェロー>を飲み込み、断末魔を上げる間もなく粉々に打ち砕く。
 それでも閃光の勢いは止まらない。
 竜美の赤い髪をかすめ、後部甲板に置いてあったコンテナに激突した。
「……!」
 竜美だけではなく、創志の背後にいるティトも、息を呑むのが分かった。
 <A・ジェネクス・トライアーム>の攻撃が当たったコンテナの壁がはっきりとへこみ、焦げ付いている。
「……どういうこと?」
 頬に流れた汗をぬぐった竜美が、今まで以上に表情を険しくする。
「アンタにこんな力はなかったはず。最初の<ジュラック・タイタン>の攻撃を防いだことといい、これじゃまるで、私たちと同じ――」
 サイコデュエリストではないか、と問いたかったのだろう。
 確かに、創志は何の力も持たない平凡な人間だ。
 しかし、<A・ジェネクス・トライアーム>の攻撃は、どう見ても現実に影響を与えている。
「……俺もよく分かんねえだけどよ」
 前置きをしつつ、創志は種明かしを始める。
「このチョーカーが発してる特殊な電気信号が、俺の脳みそに干渉して、力を引き出してるんだと」
 首に巻かれた黒いチョーカーを指差し、創志は頭を掻きながら告げる。
 このチョーカーを渡したセラの話では、「サイコデュエリストが能力を使う際には、普通の人間が使うことのない脳の回路を開いている」……らしい。その回路を「無理矢理」開く電気信号を送っているのが、このチョーカーというわけだ。
 実は、チョーカーを巻く前に得体の知れない薬をいくつも飲まされたのだが、それは黙っておいた。ティトをこれ以上不安がらせることはできない。
「そんなことが……いや、でも確か……」
 竜美は創志の説明に納得がいっていないようだったが、何かをぶつぶつと呟くと、
「……まあいいわ。まずはアンタを潰して、全部吐かせたあと、トドメをさしてあげる」
 狩人の光を瞳に宿らせ、残忍な笑みを取り戻す。
「――<トライアーム>の効果で、カードを1枚ドローさせてもらうぜ」
 場を仕切り直すように告げ、創志はデッキからカードを引く。
「永続魔法<マシン・デベロッパー>を発動!」
 そして、ドローしたカードをすぐさま発動する。

<マシン・デベロッパー>
永続魔法
フィールド上に表側表示で存在する
機械族モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。
フィールド上に存在する機械族モンスターが破壊される度に、
このカードにジャンクカウンターを2つ置く。
このカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っている
ジャンクカウンターの数以下のレベルを持つ
機械族モンスター1体を自分の墓地から選択して特殊召喚する。

 <マシン・デベロッパー>は、フィールド上の機械族の攻撃力を200ポイント上昇させる。さらに、機械族モンスターが破壊されることによってカウンターが乗り、墓地から機械族モンスターを蘇生させることも出来るサポートカード。これで、攻守共に有利な状況を作り出すことが出来る。
「――バトルだ! <トライアーム>でダイレクトアタック! トライ・シュート!」
 再びシリンダーが回転し、右腕の砲口から光の波動が放たれる。
 その色は、先程の攻撃とは正反対の、淀みない白。
 このまま行けば、竜美自身が攻撃を受けることになるが――
「罠カード発動! <血の代償>! 私は500ライフを支払い、モンスターをセットする」

<血の代償>
永続罠(準制限カード)
500ライフポイントを払う事で、モンスター1体を通常召喚する。
この効果は自分のメインフェイズ時及び
相手のバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

【竜美LP3900→3400】

 白い波動が竜美に届く直前、それを阻むように裏守備モンスターが出現する。
「いいぜ! 攻撃を続行だ!」
 <A・ジェネクス・トライアーム>の放った「トライ・シュート」が裏守備モンスターにぶつかり、波動が周囲に飛散する。
 カードがリバースし、顕わになった小さな恐竜――<ジュラック・スタウリコ>がそのまま破壊される。

<ジュラック・スタウリコ>
効果モンスター
星2/炎属性/恐竜族/攻 500/守 400
このカードが戦闘によって破壊された場合、
自分フィールド上に「ジュラックトークン」
(恐竜族・炎・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。
このトークンは「ジュラック」と名のついた
モンスター以外のアドバンス召喚のためにはリリースできない。

「<ジュラック・スタウリコ>の効果発動! このカードが戦闘によって破壊されたとき、フィールドにジュラック・トークンを2体残すわ!」
 他の<ジュラック>モンスターと同じく、鮮やかな色彩をした卵型のトークンが、守備表示で特殊召喚される。
 相手に上級モンスター召喚への手段を残されたことになるが、今の創志にこれ以上打てる手はない。
「カードを2枚セットする。ターンエンドだ」
 その瞬間、頭部にズキリと痛みが走り、創志は顔をしかめる。
 創志がサイコデュエリストと同じ力を使うためには、脳に相当な負荷がかかる。加えて、首に巻いているチョーカーは試作品だ。どんな不具合が出るかは分からない。
 やっと戻ってきたというのに、すぐに倒れるわけにはいかない。
(こりゃ、ノンビリしてる暇はねえな……)

【創志LP4000】 手札2枚
場:A・ジェネクス・トライアーム(攻撃)、マシン・デベロッパー、伏せ2枚
【竜美LP3400】 手札3枚
場:ジュラック・トークン(守備)2体、血の代償