遊戯王 New stage サイドS プロローグ
「ありがとう、おかげで助かったよ」
男は尻もちをついたまま、こちらを見上げ微笑を浮かべた。
青白い頬に白髪、ひょろりと伸びた手足と、不健康という言葉がぴったりと当てはまる風貌の男だ。
「……こんなとこ、1人でうろつくもんじゃないぜ」
男を襲おうとしていた連中が逃げ去るのを見ながら、皆本創志(みなもとそうし)はぶっきらぼうに言った。
陽の光がわずかしか届かず、人も通らない路地裏。犯罪にはうってつけの場所。
――まして、ここが「サテライト」という場所ならなおさらだ。
身分の低い者たちが住む、淀んだスラム街。シティから送られてきた犯罪者たちの巣窟になっているエリアも少なくない。
「きみ、強いんだね」
ゆっくりと腰を上げた男は、能天気な口調で言った。つい先ほどまで身ぐるみをはがされそうになっていたというのに、危機感のかけらもない。
「別に。いいからさっさと行けよ」
……人を殴るっていうのは、気持ちのいいもんじゃない。人助け、って名目があったとしても。
もともと腕っ節は強い方だったが、3年前にサテライトに来てからそれを振るう機会が増えた。
創志は拳についた血をシャツの裾で乱雑に拭うと、男に背を向けようとする。これ以上ここに用はない。
「待ってくれ。何かお礼をしなきゃ」
「礼が欲しくて助けたわけじゃない」
「でも、それじゃ僕の気がすまないんだ」
男は創志の肩をつかむと、すっと何かを差し出す。
受け取る気などさらさらなかったが、男の手のひらに収まる「それ」が視界に入った途端、吸い寄せられるように視線を動かしていた。
「これは……」
「君……デュエルモンスターズ、って知ってる?」
男は尻もちをついたまま、こちらを見上げ微笑を浮かべた。
青白い頬に白髪、ひょろりと伸びた手足と、不健康という言葉がぴったりと当てはまる風貌の男だ。
「……こんなとこ、1人でうろつくもんじゃないぜ」
男を襲おうとしていた連中が逃げ去るのを見ながら、皆本創志(みなもとそうし)はぶっきらぼうに言った。
陽の光がわずかしか届かず、人も通らない路地裏。犯罪にはうってつけの場所。
――まして、ここが「サテライト」という場所ならなおさらだ。
身分の低い者たちが住む、淀んだスラム街。シティから送られてきた犯罪者たちの巣窟になっているエリアも少なくない。
「きみ、強いんだね」
ゆっくりと腰を上げた男は、能天気な口調で言った。つい先ほどまで身ぐるみをはがされそうになっていたというのに、危機感のかけらもない。
「別に。いいからさっさと行けよ」
……人を殴るっていうのは、気持ちのいいもんじゃない。人助け、って名目があったとしても。
もともと腕っ節は強い方だったが、3年前にサテライトに来てからそれを振るう機会が増えた。
創志は拳についた血をシャツの裾で乱雑に拭うと、男に背を向けようとする。これ以上ここに用はない。
「待ってくれ。何かお礼をしなきゃ」
「礼が欲しくて助けたわけじゃない」
「でも、それじゃ僕の気がすまないんだ」
男は創志の肩をつかむと、すっと何かを差し出す。
受け取る気などさらさらなかったが、男の手のひらに収まる「それ」が視界に入った途端、吸い寄せられるように視線を動かしていた。
「これは……」
「君……デュエルモンスターズ、って知ってる?」