にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルstage 【ep-14】

「俺のターン! ドロー!」
 このターンで、<邪神ドレッド・ルート>を仕留める。それが治輝に課せられた使命だ。
 もう一度手札を確認し、脳裏に撃破までの手順を思い浮かべる。無数のプレイングの中から先に繋がる道を選び取り、そこに進むためにまずは一歩を踏み出す。
「<デブリ・ドラゴン>を召喚!」
 威勢のいい鳴き声を上げた小さなドラゴンは、短い手足に精一杯力を込めて、砂の大地に立つ。<邪神ドレッド・ルート>の圧力に物怖じせず、下級モンスターとは思えないほど鋭い眼光を向ける。

デブリ・ドラゴン>
チューナー(効果モンスター)(制限カード)
星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

「<デブリ・ドラゴン>が召喚に成功した時、墓地から攻撃力500以下のモンスターを特殊召喚できる。来い! <ドラグニティ―ファランクス>!」
 <デブリ・ドラゴン>がもう一度鳴き声を上げると、それに導かれて、<デブリ・ドラゴン>よりも一回り小さいドラゴンが姿を現した。最初のターンで<調和の宝札>によって墓地に送られた、<ドラグニティ―ファランクス>だ。

<ドラグニティ―ファランクス>
チューナー(効果モンスター)
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
このカードがカードの効果によって
装備カード扱いとして装備されている場合に発動する事ができる。
装備されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「そして、2体の裏守備モンスターを反転召喚!」
 治輝の場のセットモンスター――<ガード・オブ・フレムベル>と<ミンゲイドラゴン>がそれぞれ姿を現し、<デブリ・ドラゴン>と<ドラグニティ―ファランクス>の隣に並ぶ。これで、治輝のフィールドには4体のドラゴンが召喚された。

<ミンゲイドラゴン>
効果モンスター
星2/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200
ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、
このモンスター1体で2体分のリリースとする事ができる。
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

<ガード・オブ・フレムベル>
チューナー(通常モンスター)
星1/炎属性/ドラゴン族/攻 100/守2000
炎を自在に操る事ができる、フレムベルの護衛戦士。
灼熱のバリアを作り出して敵の攻撃を跳ね返す。

「おやおや。貧弱なモンスターを並べたかと思えば……面白い組み合わせですね。風、地、炎のドラゴンが場に揃っている。しかし、貴方の切り札である<エレメンタル・バースト>の発動には水属性モンスターが足りない。ここからどうやって召喚するつもりですか?」
「……推測を語るのは勝手だけど、もう喋らないほうがいいと思うぞ。輝王への攻撃のときも、偉そうに語ってた割には予想外してたし」
「なッ……!?」
 恥辱を受け、砂神の顔が歪む。頬が痙攣したかのようにピクピクと動き、治輝を睨みつける視線は憎悪を剥き出しにしている。
 子供だな、と治輝は思う。
 自分の欲望を満たす為だけに力を振るい、容赦なく相手を愚弄する。そのくせ自分に向けられた嘲りには敏感で、すぐに敵意を顕わにする。表面上だけ取り繕っても、底の浅さは見えてしまう。
 邪神は――そんな子供が持つべき力じゃない。それを分からせなければいけない。
「魔法カード<ドラゴニック・タクティクス>を発動! フィールドのドラゴン族モンスター2体……<デブリ・ドラゴン>と<ドラグニティ―ファランクス>をリリースすることで、デッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!」

<ドラゴニック・タクティクス>
通常魔法
自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター2体をリリースして発動する。
自分のデッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。

 小さなドラゴンの足元から光の柱が立ち上り、<デブリ・ドラゴン>と<ドラグニティ―ファランクス>が光の中に溶けていく。
「今こそ、全ての痛みを斬り払う剣と為せ――」
 両目を閉じた治輝が言葉を紡ぐと、光の柱の中から無数の枝が飛びだし、辺り一面を覆い尽くす。
 光が徐々に薄まり、徐々に輪郭を現したのは、巨大な木だ。
 砂漠にしっかりと根を張り、多くの緑を茂らせた巨木。
 その幹の中心から、再び光が零れ出る。
「来い! <ドラグニティアームズ―レヴァテイン>!」
 閃光の中から、剣が飛び出す。
 鋭い刃を煌めかせる剣――それを覆っていた影が、竜の姿を象っていく。
 バサリ、と鳥のそれによく似た翼が広がり、光を纏った橙色の鱗が、夜の砂漠に浮かび上がる。
 神話の世界では、世界樹を焼き滅ぼすと伝承を残した剣。
 それとは真逆に、巨木から生まれた剣を手に取ったドラゴンは、自らの存在を顕示するかのように雄叫びを上げた。

<ドラグニティアームズ―レヴァテイン>
効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、
手札または墓地から特殊召喚する事ができる。
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の
自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、
装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

「……なるほどな」
 竜の姿を見上げた輝王が、感慨深げに呟く。
「これは、通過点に過ぎないんだろう? 時枝」
 輝王の問いに頷いたあと、治輝はさらに前へと進む。
「<レヴァテイン>が特殊召喚に成功した時、墓地のドラゴン族モンスターを1体装備できる。俺が選択するのは<ファランクス>だ」
「…………」
 沈黙した砂神が、事態の推移を見極めようと慎重な眼差しを向けてくる。本質的な部分では子供だったとしても、デュエルの実力までがそうであるとは限らない。
「そして、<ファランクス>自身の効果で装備状態を解除し、フィールドに特殊召喚する」
 <ドラグニティアームズ―レヴァテイン>の肩に乗っていた小さなドラゴンは、体を丸めたあと、ころころと転がりながら降りてくる。

 これで、役者は揃った。

 治輝はフィールドに並ぶ4体のドラゴンを眺めたあと、告げる。
「行くぞ! レベル8の<レヴァテイン>にレベル2の<ファランクス>をチューニング!」
 <ドラグニティ―ファランクス>が2つの光球へと姿を変え、<ドラグニティアームズ―レヴァテイン>の体内に吸い込まれていく。その体を覆うように2枚のリングが出現し、中心を光が駆け抜ける。

「――轟炎の粉塵を纏いし暴君と成せ! シンクロ召喚……<トライデント・ドラギオン>!!」

 最初に生まれたのは、炎だ。
 シンクロ召喚のエフェクト光を搔き消し、全てを焼き尽くさんとする紅蓮の炎が、夜の闇を染め上げていく。
 舞い上がる炎の中から、その色を濃縮したような鱗を持つ巨大な竜が姿を現す。
 1つの胴体から伸びるは、3つの首。
 トライデントの名が示す通り、三又の首を生やした竜が、怒りに濡れた瞳をぎらつかせた。