遊戯王オリジナルstage 【ep-24】
一面の砂漠は消滅し、砂神が新たに創り出したのは、廃墟の世界だった。
高層ビルが密集するように立ち並んでいるが、ひとつとして無事なものはない。外壁や窓ガラスは砕け、中腹辺りで完全に折れ曲がってしまっているビルもある。空気は渇ききっており、荒廃した景色も相まって、息苦しさを感じさせる。
ヒビだらけのアスファルトの上に立ち、砂神は視線を前に向ける。
そこには、「力」を奪うための生贄が横たわっていた。数は3。獲物としては上質とは言い難いが、前菜には十分な人間たちだ。
そう。彼らは前菜に過ぎないはずだった。
砂神は、そんな彼らにあと一歩のところまで追い込まれた。いや、デュエル内容だけ見れば、敗北したと言ってもいい。
だが、ここまでだ。
<邪神イレイザー>の闇に呑まれたが最後、永劫に続く痛みの中で、もがき苦しむことになる。最早目を覚ますことはない。
高層ビルが密集するように立ち並んでいるが、ひとつとして無事なものはない。外壁や窓ガラスは砕け、中腹辺りで完全に折れ曲がってしまっているビルもある。空気は渇ききっており、荒廃した景色も相まって、息苦しさを感じさせる。
ヒビだらけのアスファルトの上に立ち、砂神は視線を前に向ける。
そこには、「力」を奪うための生贄が横たわっていた。数は3。獲物としては上質とは言い難いが、前菜には十分な人間たちだ。
そう。彼らは前菜に過ぎないはずだった。
砂神は、そんな彼らにあと一歩のところまで追い込まれた。いや、デュエル内容だけ見れば、敗北したと言ってもいい。
だが、ここまでだ。
<邪神イレイザー>の闇に呑まれたが最後、永劫に続く痛みの中で、もがき苦しむことになる。最早目を覚ますことはない。
そのはずだった。
「どうしてだ……」
砂神には、目の前の光景が理解できない。
ゆっくりと。しかし確実に。
前菜に過ぎなかったはずの男達は、闇を抜け、痛みを振り払い、立ち上がろうとしていた。
「どうして、倒れない!? 何故立ち上がれる!?」
疑問と焦りがない交ぜになり、砂神は無我夢中で叫んだ。
「へっ……こういう精神攻撃みたいなヤツには慣れてんだよ」
口内に溜まった血を吐きだしながら、創志が告げる。
「――まだデュエルは終わっていない。なら、倒れるわけにはいかない」
カードを握る指先を微かに震わせながら、輝王が告げる。
「……幕を引くには早いってことだ」
荒い息を整えながら、治輝が告げる。
3人の瞳に宿る意思の光は、陰るどころか輝きを増している。
理解できない。
「貴様らは、一体……」
砂神が思わずこぼした問いに、笑みを浮かべた創志が答える。
砂神には、目の前の光景が理解できない。
ゆっくりと。しかし確実に。
前菜に過ぎなかったはずの男達は、闇を抜け、痛みを振り払い、立ち上がろうとしていた。
「どうして、倒れない!? 何故立ち上がれる!?」
疑問と焦りがない交ぜになり、砂神は無我夢中で叫んだ。
「へっ……こういう精神攻撃みたいなヤツには慣れてんだよ」
口内に溜まった血を吐きだしながら、創志が告げる。
「――まだデュエルは終わっていない。なら、倒れるわけにはいかない」
カードを握る指先を微かに震わせながら、輝王が告げる。
「……幕を引くには早いってことだ」
荒い息を整えながら、治輝が告げる。
3人の瞳に宿る意思の光は、陰るどころか輝きを増している。
理解できない。
「貴様らは、一体……」
砂神が思わずこぼした問いに、笑みを浮かべた創志が答える。
「言ったろ? デュエリストだよ」
「無事か、とは訊かない。やれるな?」
「ああ」
「当然だぜ」
輝王、治輝、創志は顔を見合わせたあと、互いに頷きあう。
3体の邪神を倒し、砂神のライフは残りわずか。度重なる攻撃の実体化によってすでに体は限界に達していたが、ここで倒れるわけにはいかない。砂神の攻撃に屈するわけには、絶対にいかない。
「さあ、デュエルを続けるぜ! 砂神!」
<邪神イレイザー>がもたらした闇によって淀んでしまった空気を振り払うように、創志は叫び、右腕を振るう。
「……<邪神イレイザー>の効果によって、フィールド上のカードは全て破壊されている。これ以上貴様にできることは――」
言いかけて、砂神は口をつぐむ。
「気付いたか? <クレアシオン>がフィールドから墓地に送られた時、自分の墓地に存在する<ジェネクス>か<AOJ>モンスター1体を特殊召喚できる! 来い! <A・ジェネクス・トライフォース>!」
「ああ」
「当然だぜ」
輝王、治輝、創志は顔を見合わせたあと、互いに頷きあう。
3体の邪神を倒し、砂神のライフは残りわずか。度重なる攻撃の実体化によってすでに体は限界に達していたが、ここで倒れるわけにはいかない。砂神の攻撃に屈するわけには、絶対にいかない。
「さあ、デュエルを続けるぜ! 砂神!」
<邪神イレイザー>がもたらした闇によって淀んでしまった空気を振り払うように、創志は叫び、右腕を振るう。
「……<邪神イレイザー>の効果によって、フィールド上のカードは全て破壊されている。これ以上貴様にできることは――」
言いかけて、砂神は口をつぐむ。
「気付いたか? <クレアシオン>がフィールドから墓地に送られた時、自分の墓地に存在する<ジェネクス>か<AOJ>モンスター1体を特殊召喚できる! 来い! <A・ジェネクス・トライフォース>!」
<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン> シンクロ・効果モンスター(オリジナルカード) 星8/闇属性/機械族/攻2800/守2800 「ジェネクス・コントローラー」+「A・O・J」と名のついたシンクロモンスター1体以上 このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にならず、 闇属性モンスター以外との戦闘では破壊されない。 このカードの攻撃力は墓地に存在する「ジェネクス」または「A・O・J」と名のついた モンスターの数×100ポイントアップする。 このカードがフィールド上から墓地に送られた時、自分の墓地に存在するこのカード以外の「ジェネクス」または「A・O・J」と名のついたモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚することができる。
創志のフィールドに現れたのは、3つの砲門を備えた特徴的な砲撃ユニットを装着した、銀色の機械兵だ。朱色のバイザーの奥に光が灯り、背部のスラスターを噴かせながら姿勢を整える。機竜の後を引き継ぐために。
<A・ジェネクス・トライフォース> シンクロ・効果モンスター 星7/闇属性/機械族/攻2500/守2100 「ジェネクス」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上 このカードがシンクロ素材としたチューナー以外の モンスターの属性によって、このカードは以下の効果を得る。 ●地属性:このカードが攻撃する場合、 相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。 ●炎属性:このカードが戦闘によってモンスターを破壊した場合、 そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。 ●光属性:1ターンに1度、自分の墓地の 光属性モンスター1体を選択して、自分フィールド上にセットできる。
「こっちもだ! <レヴァテイン>が相手のカードの効果によって墓地に送られた時、装備していたドラゴン族モンスターを特殊召喚できる! 戻れ! <レム>!」
<ドラグニティアームズ―レヴァテイン> 効果モンスター 星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する 「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、 手札または墓地から特殊召喚する事ができる。 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、 「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の 自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、 装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。 このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、 装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
治輝の手のひらに、小さな青い火の玉が宿る。治輝が手のひらを空に掲げると、火の玉はふわりと浮かび、その形を変えていく。膨張し、徐々に自らの形を作り上げていく。
墓地から舞い戻ったその姿は、龍というよりも不死鳥と表すのがふさわしく見えた。
墓地から舞い戻ったその姿は、龍というよりも不死鳥と表すのがふさわしく見えた。
<-蘇生龍-レムナント・ドラグーン> 効果モンスター(オリジナルカード) 星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200 このカードは通常召喚できない。 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが3体以上リリース、 または3体以上破壊されたターンに手札から特殊召喚できる。 このカードが手札からの特殊召喚に成功した時、このターン破壊された、またはリリースされたドラゴン族モンスターを可能な限り、墓地または除外ゾーンから手札に戻す。 このカードが戦闘を行うダメージステップ時、手札のドラゴン族モンスターを相手に見せる事で発動できる。 このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、見せたカードの種類×1000ポイントアップする。 このカードがフィールドを離れた時、自分は手札を全て捨てる。 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、 自分はモンスターを通常召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができない。
空になったはずのフィールドに、<A・ジェネクス・トライフォース>と<-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>――2体のモンスターが並ぶ。
「そうか。貴様らはまだ足掻くのか」
何かを悟ったような落ち着いた声で、砂神はポツリと呟く。
「当たり前だろ。デュエルはまだ終わってねえ」
「そうだな。その通りだ」
頷いた砂神がククッ、と含み笑いを漏らした、次の瞬間。
アスファルトのヒビをなぞるように、墨汁が溢れたような濃い闇が噴き出した。
「なっ……」
「デュエルは終わっていない。俺様が、貴様らの力を狩り尽くすまでな!」
突如現れた闇のカーテンによって、砂神の姿は見えなくなる。未だ殺気を失っていない声だけが、廃墟の世界に響いている。
そして、闇の向こう側で「何か」が蠢いているのを、創志は感じた。
「このカードは、墓地に存在する<アバター>、<ドレッド・ルート>、<イレイザー>の3体を除外する事で、相手ターンに手札から攻撃表示で特殊召喚できる……」
闇の中を、何かが這いずり回っている。
ドバッ! と闇のカーテンをぶち抜き、深緑色に染まった巨大な腕が飛び出してくる。外側は骨でできた手甲で覆われているが、所々穴が空いてしまっている。
「あれは……<邪神ドレッド・ルート>の腕か?」
治輝の言う通りだ。闇の向こう側から飛び出してきた腕は、葬られたはずの<邪神ドレッド・ルート>のそれに酷似していた。
「そうか。貴様らはまだ足掻くのか」
何かを悟ったような落ち着いた声で、砂神はポツリと呟く。
「当たり前だろ。デュエルはまだ終わってねえ」
「そうだな。その通りだ」
頷いた砂神がククッ、と含み笑いを漏らした、次の瞬間。
アスファルトのヒビをなぞるように、墨汁が溢れたような濃い闇が噴き出した。
「なっ……」
「デュエルは終わっていない。俺様が、貴様らの力を狩り尽くすまでな!」
突如現れた闇のカーテンによって、砂神の姿は見えなくなる。未だ殺気を失っていない声だけが、廃墟の世界に響いている。
そして、闇の向こう側で「何か」が蠢いているのを、創志は感じた。
「このカードは、墓地に存在する<アバター>、<ドレッド・ルート>、<イレイザー>の3体を除外する事で、相手ターンに手札から攻撃表示で特殊召喚できる……」
闇の中を、何かが這いずり回っている。
ドバッ! と闇のカーテンをぶち抜き、深緑色に染まった巨大な腕が飛び出してくる。外側は骨でできた手甲で覆われているが、所々穴が空いてしまっている。
「あれは……<邪神ドレッド・ルート>の腕か?」
治輝の言う通りだ。闇の向こう側から飛び出してきた腕は、葬られたはずの<邪神ドレッド・ルート>のそれに酷似していた。
「恐怖は終わらない。恐怖は消えないッ! そして、俺様は強い! それを証明してやる――現界しろ、<朽ちた邪神>よ!!」