にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルstage 【ep-25】

<朽ちた邪神>
効果モンスター(オリジナルカード)
星10/闇属性/アンデット族/攻1000/守1000
このカードは通常召喚できない。
このカードは墓地に<邪神アバター><邪神ドレッドルート><邪神イレイザー>が存在する時に、
その3枚を除外する事でのみ、相手ターンに手札から攻撃表示で特殊召喚できる。
その方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。
●このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスター1体につき1000ポイント攻撃力をアップする。
●このカードが戦闘を行う時、自分の攻撃力の半分の数値分、相手モンスターの攻撃力をダウンする。
●このカードは相手モンスターの効果、罠、魔法の対象にならない。

「<朽ちた邪神>が特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスター1体につき、攻撃力が1000ポイントアップする! さらに、このカードが戦闘を行う時、自分の攻撃力の半分の数値分、相手モンスターの攻撃力をダウンさせる! 貴様が呼びだした<A・ジェネクストライフォース>では、<朽ちた邪神>を倒すことはできない!」
 <朽ちた邪神>の目玉がぎょろりと蠢き、自らの敵を見定める。腕の筋肉が脈動し、下半身を覆い隠す闇がざわざわと揺らぐ。
 フィールドに存在するモンスターは2体。よって<朽ちた邪神>の攻撃力は2000ポイント上昇し、3000となった。
「さあ! さっさとターンを終了するといい! 俺様の手札は潤沢だ! ここから逆転することなど、実にたやすい!」
 砂神の言葉は、虚勢などではない。狂気に満ちた笑みが、それを物語っている。
 <邪神アバター>、<邪神ドレッド・ルート>、<邪神イレイザー>……それぞれの効果を縮小したかのような能力を持つ、<朽ちた邪神>。まだ創志のバトルフェイズは終了していないが、このまま攻撃しても自滅するのが目に見えている。
 だから、砂神は言ったのだ。
 無駄な足掻きはよせ、と。
 ここで諦めろ、と。

「――断るぜ。俺は攻撃を続行する」

 創志は、それを受け入れない。
「このままダイレクトアタックで終わりじゃ、あっさりしすぎだと思ってたところだ。<朽ちた邪神>……面白いじゃねえか。最後に立ちはだかった壁、ってとこか。ぶち壊し甲斐があるぜ」
 当たり前のことだ。ここで諦める理由など無い。
 何故なら――
「治輝! もう一度お前の力を借りるぜ!」
「――ああ!」
 すでに、勝利への道は開けているのだから。

「速攻魔法発動! <クロッシング・ドラグーン>!」

 交わるはずの無かった、2つの線。
 身勝手な狩人によって歪められた、2つの線。
 重なる。
 交差する。
 進化を求めた機械の魂が。
 過去と未来を束ねた竜の魂が。
 少年が手にした魔法によって、交差する。

「何だ……そのカードは!?」
 創志が掲げたカードを見て、砂神は焦りを顕わにする。こちらのデッキは全て把握したつもりだったのだろう。自分の記憶にない<クロッシング・ドラグーン>の発動に、激しく狼狽する。
 砂神が知らないのも当然だ。このカードは、変則タッグデュエルが始まる直前に投入したのだから。
 本来ならば、<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>に対して使うカードだ。
 しかし、この場にはもう1体「ドラグーン」の名を冠するモンスターがいる。
「<クロッシング・ドラグーン>は、<ドラグーン>と名のついたモンスターを、自分フィールド上のモンスター1体に装備し、装備扱いとなったモンスターの元々の攻撃力分だけ攻撃力をアップさせる!」
 力強い雄叫びを上げた<-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>が、その身を球体へと戻しつつ、<A・ジェネクストライフォース>に憑依する。銀色の機械兵が青い光に包まれ、背部のスラスターからは天使の羽のような光が噴出する。
 <A・ジェネクストライフォース>の攻撃力は、<-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>の元々の攻撃力分上昇し、4700ポイント。<朽ちた邪神>の攻撃力を遥かに上回った。
「それだけじゃねえ! <ドラグーン>を装備したモンスターは、相手モンスターの効果を受けない!」

クロッシング・ドラグーン>
速攻魔法(オリジナルカード)
自分フィールド上の「ドラグーン」と名の付いたモンスター1体を対象に発動する。
対象モンスターを装備カード扱いとして自分フィールド上のモンスター1体に装備し、
装備扱いとなったモンスターの元々の攻撃力分、攻撃力をアップする。
そのカードを装備しているモンスターは、相手モンスターの効果を受けない。

「――ッ!?」
 つまり、<朽ちた邪神>の攻撃力半減効果は、今の<A・ジェネクストライフォース>には通用しない。
「力を奪うことでしか他人を意識できなかったお前には、分からないだろうな」
「これが、結束の力だ!」
 治輝が告げ、創志が叫び、決戦の幕が切って落とされる。
「終わりだ、砂神! <トライフォース>で<朽ちた邪神>を攻撃!」
 銀色の機械兵が右腕の砲撃ユニットを構える。
 3つの砲口が一斉に開き、青い光が充填されていく。
「……認めん」
 それを見て、<朽ちた邪神>が動いた。
 咆哮を上げ、標的を砕くために剛腕を振るう。その拳に、迷いや躊躇いは皆無だ。
「<レム>!」
 治輝が竜の名を呼ぶと、<-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>の背部にあった4本の気筒――ジェット機のブースターによく似たものが現れ、矢のように放たれる。
 放たれたブースターは、迫る<朽ちた邪神>に突き刺さり、猛進していた動きを止める。
 苦しげな呻き声が合成獣の口から漏れ、
「僕が……負けるなんて――!」
 悔しさに満ちた砂神の叫び声が響く。

「ぶち破れ! レムナント・バスタァアアアアアアアアアッ!」

 3つの砲門から、青い光条が放たれる。
 太い線に過ぎなかったそれは、加速しながら、徐々に本来の形を取り戻していく。
 龍。
 幾重もの線を束ねる、幻の龍。
 一直線に飛翔した青き龍は、朽ちた邪神を呑みこみ、

「ありえない! この、僕がッ――」

 砂神緑雨をも呑みこんだ。

【砂神LP900→0】