遊戯王 New stage2 サイドS 3-13
「わたしのターン。誰もわたしのモンスター攻撃してくれなかった……」
カードを引いた虎子は、しょぼんとうなだれる。
(ってことは、あの裏守備モンスターはリバース効果持ちか、戦闘破壊で効果を発動するモンスターかな)
「……しょうがない。自分から仕掛けることにするね。わたしは<ナチュル・パンプキン>を召喚。相手フィールド上にモンスターが存在する場合にこのカードが召喚に成功した時、手札から<ナチュル>と名のついたモンスターを1体特殊召喚できるよ。<ナチュル・ホワイトオーク>を特殊召喚」
「カボチャの妖精」という言葉を具現化したようなモンスターが現れ、手にしていた黄色い花を上空に向かって放る。その花が地面に落下すると、そこから力強い枝を広げる広葉樹が生えた。虎子のフィールドを埋め尽くすほどに成長した巨大な樹――<ナチュル・ホワイトオーク>は、柔らかな葉を生い茂らせる。
カードを引いた虎子は、しょぼんとうなだれる。
(ってことは、あの裏守備モンスターはリバース効果持ちか、戦闘破壊で効果を発動するモンスターかな)
「……しょうがない。自分から仕掛けることにするね。わたしは<ナチュル・パンプキン>を召喚。相手フィールド上にモンスターが存在する場合にこのカードが召喚に成功した時、手札から<ナチュル>と名のついたモンスターを1体特殊召喚できるよ。<ナチュル・ホワイトオーク>を特殊召喚」
「カボチャの妖精」という言葉を具現化したようなモンスターが現れ、手にしていた黄色い花を上空に向かって放る。その花が地面に落下すると、そこから力強い枝を広げる広葉樹が生えた。虎子のフィールドを埋め尽くすほどに成長した巨大な樹――<ナチュル・ホワイトオーク>は、柔らかな葉を生い茂らせる。
<ナチュル・パンプキン> 効果モンスター 星4/地属性/植物族/攻1400/守 800 相手フィールド上にモンスターが存在する場合に このカードが召喚に成功した時、 手札から「ナチュル」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
<ナチュル・ホワイトオーク> 効果モンスター 星4/地属性/植物族/攻1800/守1400 このカードが相手のカードの効果の対象になった時に発動する事ができる。 自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、 自分のデッキからレベル4以下の「ナチュル」と名のついた モンスター2体を特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃宣言をする事ができず、 自分のエンドフェイズ時に破壊される。
「いっくよー、裏守備モンスターを反転しょ――」
「虎子ッ!!」
いきなり隆司が大声を上げる。
まるで、これから虎子がやろうとしていたことを咎めるように。
虎子はビクリと体を震わせ、怯えた瞳で自分の兄を見つめる。
「――リーダー様が言ったことを忘れたのか?」
先程の紫音への問いかけと同じ、真剣な口調で妹を諭す隆司。
「……そうだった。ごめんアニキ」
「分かればいいんだ。怒鳴ってごめんな、虎子」
「ううん。怒るべきとこでちゃんと怒ってくれるアニキが大好き」
こくこくと頷いた虎子を見て、隆司は満足そうな笑顔を浮かべている。
……麗しき兄妹愛のようなものを見せられたが、事情の分からない紫音は完全に置いてけぼりだ。
「朧。あいつらが何やってるか分かる?」
「……虎子がやろうとしたことは予想がつく。だが、隆司がそれを止めた理由は分からないな」
軽く首を横に振った朧は、眉間の皺を深くしながら双子へと視線を向ける。その顔に浮かぶ苦渋の色は、先刻よりも濃くなっている気がした。
(なんか、あたしだけ蚊帳の外って感じ)
別に朧や双子と仲良くなりたいわけではないが、仲間外れというのはいい気分になれないものだ。
「ごめん。やっぱ反転召喚はしない。代わりに、魔法カード<ガオドレイクのタテガミ>を発動する。<ナチュル・パンプキン>の攻撃力をエンドフェイズまで3000にして、効果を無効化するよ」
「虎子ッ!!」
いきなり隆司が大声を上げる。
まるで、これから虎子がやろうとしていたことを咎めるように。
虎子はビクリと体を震わせ、怯えた瞳で自分の兄を見つめる。
「――リーダー様が言ったことを忘れたのか?」
先程の紫音への問いかけと同じ、真剣な口調で妹を諭す隆司。
「……そうだった。ごめんアニキ」
「分かればいいんだ。怒鳴ってごめんな、虎子」
「ううん。怒るべきとこでちゃんと怒ってくれるアニキが大好き」
こくこくと頷いた虎子を見て、隆司は満足そうな笑顔を浮かべている。
……麗しき兄妹愛のようなものを見せられたが、事情の分からない紫音は完全に置いてけぼりだ。
「朧。あいつらが何やってるか分かる?」
「……虎子がやろうとしたことは予想がつく。だが、隆司がそれを止めた理由は分からないな」
軽く首を横に振った朧は、眉間の皺を深くしながら双子へと視線を向ける。その顔に浮かぶ苦渋の色は、先刻よりも濃くなっている気がした。
(なんか、あたしだけ蚊帳の外って感じ)
別に朧や双子と仲良くなりたいわけではないが、仲間外れというのはいい気分になれないものだ。
「ごめん。やっぱ反転召喚はしない。代わりに、魔法カード<ガオドレイクのタテガミ>を発動する。<ナチュル・パンプキン>の攻撃力をエンドフェイズまで3000にして、効果を無効化するよ」
<ガオドレイクのタテガミ> 通常魔法 自分フィールド上に表側表示で存在する 「ナチュル」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。 選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで3000になり、 効果は無効化される。
「攻撃力3000!?」
かの有名なレアカード<青眼の白竜>に匹敵する攻撃力だ。<ナチュル・パンプキン>は召喚時に効果を発動するモンスターなので、効果が無効になっても支障はない。
「バトルー! <ナチュル・パンプキン>で<ソウルオーガ>を攻撃ぃ!」
ぴしっ! と指先を空に向けて突き上げ、虎子が攻撃宣言を下す。
<ナチュル・パンプキン>は後ろに体を逸らし、その反動で勢いよく前転すると、そのままゴロゴロと転がってくる。
的となった<イビリチュア・ソウルオーガ>が両の手のひらから水柱を発射し、転がってくるカボチャの妖精にぶつけるが、勢いは少しも衰えない。
結果、ローリングアタックを真正面から食らってしまい、<イビリチュア・ソウルオーガ>は砕け散りながら吹っ飛んでいく。
かの有名なレアカード<青眼の白竜>に匹敵する攻撃力だ。<ナチュル・パンプキン>は召喚時に効果を発動するモンスターなので、効果が無効になっても支障はない。
「バトルー! <ナチュル・パンプキン>で<ソウルオーガ>を攻撃ぃ!」
ぴしっ! と指先を空に向けて突き上げ、虎子が攻撃宣言を下す。
<ナチュル・パンプキン>は後ろに体を逸らし、その反動で勢いよく前転すると、そのままゴロゴロと転がってくる。
的となった<イビリチュア・ソウルオーガ>が両の手のひらから水柱を発射し、転がってくるカボチャの妖精にぶつけるが、勢いは少しも衰えない。
結果、ローリングアタックを真正面から食らってしまい、<イビリチュア・ソウルオーガ>は砕け散りながら吹っ飛んでいく。
【朧・紫音LP4000→3800】
「<ソウルオーガ>……」
手札の少ないこの状況では満足に効果を使うこともできないが、それでもあと1ターンくらいは残しておきたかった。やはり、高攻撃力モンスターとの戦闘は分が悪い。
「これで終わりだと思ってる? 残念。罠カード<ブロッサム・ボンバー>を発動!」
「――ッ!? そのカードは……!」
朧が両目を見開き、身を乗り出す。
「植物族モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊して墓地に送ったとき、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」
手札の少ないこの状況では満足に効果を使うこともできないが、それでもあと1ターンくらいは残しておきたかった。やはり、高攻撃力モンスターとの戦闘は分が悪い。
「これで終わりだと思ってる? 残念。罠カード<ブロッサム・ボンバー>を発動!」
「――ッ!? そのカードは……!」
朧が両目を見開き、身を乗り出す。
「植物族モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊して墓地に送ったとき、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」
<ブロッサム・ボンバー> 通常罠 自分フィールド上に存在する植物族モンスターが 戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動する事ができる。 その戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
虎子の説明と同時、朧と紫音の前に、無数の赤い花びらがひらひらと舞う。
幻想的な美しさに目を奪われた瞬間――
全ての花びらが一斉に起爆する。
「ぐっ!」
「きゃ……!」
爆風がフィールドで荒れ狂い、紫音は思わず目を伏せる。
立体映像だけでこの迫力なのだ。もし虎子がサイコパワーを使っていたとしたら……
焼け焦げた自分の姿を想像し、背筋が寒くなる。
幻想的な美しさに目を奪われた瞬間――
全ての花びらが一斉に起爆する。
「ぐっ!」
「きゃ……!」
爆風がフィールドで荒れ狂い、紫音は思わず目を伏せる。
立体映像だけでこの迫力なのだ。もし虎子がサイコパワーを使っていたとしたら……
焼け焦げた自分の姿を想像し、背筋が寒くなる。
【朧・紫音LP3800→1000】
<ナチュル・パンプキン>との戦闘で破壊された<イビリチュア・ソウルオーガ>の攻撃力、2800ポイントのダメージが発生する。このターンだけで、ごっそりとライフを持って行かれた。
「いいぞ虎子! そのままトドメを刺しちまえ!」
「うん。<ホワイトオーク>で<リチュア・アビス>を攻撃」
攻撃力の高い<ヴァイロン・シグマ>を倒すことを諦めたのか、紫音に照準を合わせてくる。攻撃力が800しかない<リチュア・アビス>がこのまま破壊されれば、ゲームセットだ。
<ナチュル・ホワイトオーク>の枝が伸び、尖った先端が標的を串刺しにせんと迫る。
「これ以上みっともない真似晒せないっての! 永続罠<忘却の海底神殿>を発動! このカードの効果で、<リチュア・アビス>をゲームから除外するわ!」
「いいぞ虎子! そのままトドメを刺しちまえ!」
「うん。<ホワイトオーク>で<リチュア・アビス>を攻撃」
攻撃力の高い<ヴァイロン・シグマ>を倒すことを諦めたのか、紫音に照準を合わせてくる。攻撃力が800しかない<リチュア・アビス>がこのまま破壊されれば、ゲームセットだ。
<ナチュル・ホワイトオーク>の枝が伸び、尖った先端が標的を串刺しにせんと迫る。
「これ以上みっともない真似晒せないっての! 永続罠<忘却の海底神殿>を発動! このカードの効果で、<リチュア・アビス>をゲームから除外するわ!」
<忘却の海底神殿> 永続罠 このカードがフィールド上に存在する限り、 このカードのカード名を「海」として扱う。 1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する レベル4以下の魚族・海竜族・水族モンスター1体を 選択してゲームから除外する事ができる。 この効果で除外したモンスターを、 自分のエンドフェイズ時にフィールド上に特殊召喚する。
とぷん、と<リチュア・アビス>の足元に水の波紋が広がり、その姿が消える。
目標を失った枝は空を切り、しゅるしゅると元の長さに戻っていく。
「避けられちゃった。攻撃は中止して、ターンエンド」
<忘却の海底神殿>で除外された<リチュア・アビス>がフィールドに戻ってくるのは、自分のターンのエンドフェイズ時。次の隆司のターンで狙われることもなく、もう一度効果を発動することができる。
目標を失った枝は空を切り、しゅるしゅると元の長さに戻っていく。
「避けられちゃった。攻撃は中止して、ターンエンド」
<忘却の海底神殿>で除外された<リチュア・アビス>がフィールドに戻ってくるのは、自分のターンのエンドフェイズ時。次の隆司のターンで狙われることもなく、もう一度効果を発動することができる。
【朧・紫音LP1000】
朧:手札6枚
場:ヴァイロン・シグマ(攻撃:魔導師の力、アームド・チェンジャー、ヴァイロン・コンポーネント装備)
紫音:手札1枚
場:忘却の海底神殿
【隆司・虎子LP4600】
隆司:手札1枚
場:リミット・リバース(発動済み)
虎子:1枚
場:ナチュル・パンプキン(攻撃)、ナチュル・ホワイトオーク(攻撃)、裏守備モンスター、伏せ1枚
朧:手札6枚
場:ヴァイロン・シグマ(攻撃:魔導師の力、アームド・チェンジャー、ヴァイロン・コンポーネント装備)
紫音:手札1枚
場:忘却の海底神殿
【隆司・虎子LP4600】
隆司:手札1枚
場:リミット・リバース(発動済み)
虎子:1枚
場:ナチュル・パンプキン(攻撃)、ナチュル・ホワイトオーク(攻撃)、裏守備モンスター、伏せ1枚
「俺のターンだな。ライフが削られたのは痛いが、おかげで躊躇なくこいつを発動できる!」
カードをドローした朧は、素早く手札の1枚を選び取る。
「装備魔法<巨大化>を<シグマ>に装備! そして<ヴァイロン・ソルジャー>を召喚!」
カードをドローした朧は、素早く手札の1枚を選び取る。
「装備魔法<巨大化>を<シグマ>に装備! そして<ヴァイロン・ソルジャー>を召喚!」
<巨大化> 装備魔法(準制限カード) 自分のライフポイントが相手より下の場合、 装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。 自分のライフポイントが相手より上の場合、 装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。
<ヴァイロン・ソルジャー> 効果モンスター 星4/光属性/天使族/攻1700/守1000 このカードの攻撃宣言時、このカードに装備された装備カードの数まで 相手フィールド上に存在するモンスターを選択し、表示形式を変更する事ができる。
機械天使の各所から雷光が爆ぜ、その体が文字通り巨大化する。<ナチュル・ホワイトオーク>に匹敵するほどの大きさだ。その足元に、金色の両碗を振り回す<ヴァイロン>の戦士が現れる。
これで<ヴァイロン・シグマ>に装備されている装備魔法カードは4枚。<巨大化>と<魔導師の力>の効果で攻撃力は5600まで上昇。並大抵のモンスターでは太刀打ちできない数値だ。
「さっきのお返しと行かせてもらう! バトルだ! <ヴァイロン・シグマ>で虎子の裏守備モンスターを――」
「待って。その前に罠カード<威嚇する咆哮>を発動するの。このターン攻撃宣言することができないよ」
これで<ヴァイロン・シグマ>に装備されている装備魔法カードは4枚。<巨大化>と<魔導師の力>の効果で攻撃力は5600まで上昇。並大抵のモンスターでは太刀打ちできない数値だ。
「さっきのお返しと行かせてもらう! バトルだ! <ヴァイロン・シグマ>で虎子の裏守備モンスターを――」
「待って。その前に罠カード<威嚇する咆哮>を発動するの。このターン攻撃宣言することができないよ」
<威嚇する咆哮> 通常罠 このターン相手は攻撃宣言をする事ができない。
「チッ……攻撃を止められたか」
<ヴァイロン・コンポーネント>を装備したことにより、<ヴァイロン・シグマ>は貫通効果を得ている。虎子のセットモンスターの守備力が低ければ、大ダメージを与えられたはず……朧はそれを狙ったのだろう。
「ナイスだ虎子。でも、<威嚇する咆哮>を伏せてたなら、なんで<ソウルオーガ>の攻撃のときに使ってくれなかったんだ?」
「ごめんねアニキ。アニキのことは大好きだけど、それ以上に自分の身が大事だから」
「なるほど」
納得したらしい。
「……カードを1枚伏せる。ターンエンドだ」
攻撃宣言を封じられた以上、せっかく召喚した<ヴァイロン・ソルジャー>も動けない。
しかし、<ヴァイロン・シグマ>の大幅な強化には成功した。このモンスターがいる限り、簡単に負けることはないだろう。
<ヴァイロン・コンポーネント>を装備したことにより、<ヴァイロン・シグマ>は貫通効果を得ている。虎子のセットモンスターの守備力が低ければ、大ダメージを与えられたはず……朧はそれを狙ったのだろう。
「ナイスだ虎子。でも、<威嚇する咆哮>を伏せてたなら、なんで<ソウルオーガ>の攻撃のときに使ってくれなかったんだ?」
「ごめんねアニキ。アニキのことは大好きだけど、それ以上に自分の身が大事だから」
「なるほど」
納得したらしい。
「……カードを1枚伏せる。ターンエンドだ」
攻撃宣言を封じられた以上、せっかく召喚した<ヴァイロン・ソルジャー>も動けない。
しかし、<ヴァイロン・シグマ>の大幅な強化には成功した。このモンスターがいる限り、簡単に負けることはないだろう。
【朧・紫音LP1000】
朧:手札4枚
場:ヴァイロン・シグマ(攻撃:魔導師の力、アームド・チェンジャー、ヴァイロン・コンポーネント、巨大化装備)、ヴァイロン・ソルジャー(攻撃)、伏せ1枚
紫音:手札1枚
場:忘却の海底神殿
【隆司・虎子LP4600】
隆司:手札1枚
場:リミット・リバース(発動済み)
虎子:1枚
場:ナチュル・パンプキン(攻撃)、ナチュル・ホワイトオーク(攻撃)、裏守備モンスター
朧:手札4枚
場:ヴァイロン・シグマ(攻撃:魔導師の力、アームド・チェンジャー、ヴァイロン・コンポーネント、巨大化装備)、ヴァイロン・ソルジャー(攻撃)、伏せ1枚
紫音:手札1枚
場:忘却の海底神殿
【隆司・虎子LP4600】
隆司:手札1枚
場:リミット・リバース(発動済み)
虎子:1枚
場:ナチュル・パンプキン(攻撃)、ナチュル・ホワイトオーク(攻撃)、裏守備モンスター