にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドM 3-10

「通常召喚権を使い、<シュバリエ>を再度召喚(デュアル)。そして装備魔法<神剣―フェニックスブレード>を装備させる」
 <エヴォルテクター シュバリエ>が再度召喚されたことによって、秘められていたモンスター効果の発動が解放される。
 焔を宿していた左手に、一振りの片手剣が握られる。金色の柄は鳳凰を模したような形になっており、その名にふさわしい神聖さを湛えている。

<神剣―フェニックスブレード>
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
自分のメインフェイズ時、自分の墓地に存在する
戦士族モンスター2体をゲームから除外する事で、
このカードを自分の墓地から手札に加える。

「<シュバリエ>の効果発動だ! 自分フィールド上の装備カードを1枚墓地に送ることで、相手フィールド上のカード1枚を破壊する! 炎龍・鉄(くろがね)!」
 アレクの宣言と共に<神剣―フェニックスブレード>が灼熱の炎に包まれ、その剣を芯とするように炎が龍の形を成す。
 <エヴォルテクター シュバリエ>が左手を振るうと、生まれた炎の龍が大口を開けて<ガスタ・サンボルト>に襲いかかる。
「そいつの効果を発動するためには、戦闘破壊を介する必要があるみてえだな。なら、狙いはその犬っころだ!」
「くっ――」
 神剣をも飲みこむ焔に太刀打ちできるわけもなく、<ガスタ・サンボルト>が砕け散る。
「バトルだ! <シュバリエ>で伏せモンスターを攻撃!」
 刀身が湾曲した特殊な剣を、片手で握ったまま中段の位置で構えた剣士は、間合いを詰めると軽やかな動作で剣を振るう。音も無くミハエルの伏せモンスター――<ガスタの巫女 ウィンダ>が切り裂かれ、そのままフィールドから退場する。
 当然、ミハエル自身に痛みはない。だが、心の奥底を突き刺されたような痛みを感じた。
「……<ガスタの巫女 ウィンダ>の効果発動。このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地に送られた時、デッキから<ガスタ>と名のついたチューナーを特殊召喚できる。俺は<ガスタ・イグル>を守備表示で特殊召喚!」

<ガスタの巫女 ウィンダ>
効果モンスター
星2/風属性/サイキック族/攻1000/守 400
このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキから「ガスタ」と名のついたチューナー1体を特殊召喚する事ができる。

<ガスタ・イグル>
チューナー(効果モンスター)
星1/風属性/鳥獣族/攻 200/守 400
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキからチューナー以外のレベル4以下の
「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 巫女の犠牲を糧に、鷲の子供によく似た緑色の小鳥がフィールドに現れる。
「フン……らしくない手だな。戦闘破壊によるデッキ圧縮、なんて相手依存の戦術を狙ってるんだとしたら、ますますらしくないぞ、ミハエル・サザーランド。<シュバリエ>の効果や攻撃を素直に通したのも、何か狙いがあるんだろう?」
「……買いかぶりすぎだ。俺はそこまで有能な決闘者じゃない」
「ほざけ。俺は、お前を見返すために強くなった。ずっとお前の強さを追いかけてきたんだ。今日それを証明する。がっかりさせてくれるなよ。カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
 アレクの瞳に映っているのは、アカデミア時代のミハエル・サザーランドだ。
 過去のミハエルと今のミハエルは決定的な違いがある。そう説明しても、アレクは分かってくれないだろう。
 なら、今のミハエルのやり方で勝つしかない。

【ミハエルLP4000】 手札4枚
場:ガスタ・イグル(守備)、伏せ1枚
【アレクLP4000】 手札2枚
場:エヴォルテクター シュバリエ(攻撃)、金剛真力、伏せ2枚

「俺のターン――」
 まずは、目先の<エヴォルテクター シュバリエ>を倒す。強力な破壊効果を持つモンスターをいつまでも放置しておくわけにはいかない。
「<ガスタ・イグル>をリリース……頼む! <ガスタの賢者 ウィンダール>!」
 緑の小鳥が緩やかな風に乗って姿を消した代わりに、麻のローブを纏った男性――<ガスタの賢者 ウィンダール>が現れる。

<ガスタの賢者 ウィンダール>
効果モンスター
星6/風属性/サイキック族/攻2000/守1000
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
自分の墓地に存在するレベル3以下の「ガスタ」と名のついた
モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

 上級モンスターとしては攻撃力がやや低めだが、相手モンスターを破壊し墓地に送った時、レベル3以下の<ガスタ>と名のついたモンスターを表側守備表示で特殊召喚できる効果を持っている。墓地の<ガスタの巫女 ウィンダ>を蘇生すれば新たな壁ができるし、<ガスタ・イグル>を蘇生すればシンクロ召喚が行える。次につながる可能性を提示してくれるモンスターだった。
「このままバトルフェイズに入る! <ウィンダール>で<シュバリエ>を攻撃!」
 鎌のようにも見える杖を構え、賢者が呪文を唱え始める。
「ウィンド・シックル!」
 <ガスタの賢者 ウィンダール>の前面に魔法陣が展開。そこから生まれた風が刃のように鋭さを増す。
 俗に言う「カマイタチ」。凶器と化した風に刻まれた<エヴォルテクター シュバリエ>は、がくりと膝を付く。
「タダでは終わらせねえ! <シュバリエ>が破壊されたことで罠カード<二重の落とし穴>を発動! 相手フィールド上のモンスターを全て破壊する!」
 <エヴォルテクター シュバリエ>が地面に倒れたことをきっかけに、ゴゴゴと地鳴りが響き、大地が振動する。

<二重の落とし穴>
通常罠
再度召喚した状態のデュアルモンスターが
戦闘によって破壊された場合に発動する事ができる。
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

 途端、<ガスタの賢者 ウィンダール>の足元の地面が崩れ、奈落へと続く暗闇がぽかっりと口を開く。このままでは、大切な仲間を失うことになる。
「やらせるか! リバースカードオープン! 速攻魔法<ガスタの守護陣>!」
「……ッ!?」
「<ウィンダール>の効果をエンドフェイズまで無効にすることで、このターン俺のモンスターはカードの効果によって破壊されない!」

<ガスタの守護陣>
速攻魔法(オリジナルカード)
自分フィールド上で表側表示で存在する「ガスタ」と名のついたサイキック族モンスター1体を
選択して発動する。選択したモンスターの効果をエンドフェイズまで無効にし、このターン、自分
フィールド上のモンスターはカードの効果によって破壊されない。

 出現した黒穴を塞ぐように、淡い緑の光を放つ魔法陣が展開する。
 その上に着地した<ガスタの賢者 ウィンダール>は、奈落へ落ちることを免れる。
「<二重の落とし穴>が通れば次のターンで一気に決めてやろうと思ったんだがなァ……そこまで腑抜けてはいねえか」

【アレクLP4000→3900】

 相手の思惑は外したものの、与えられたダメージはごくわずかだ。さらに、<ガスタの賢者 ウィンダール>の効果を無効化したことによって、墓地から<ガスタ>モンスターを蘇生することができなかった。
「ターンエンド、だ」
 自分の判断に迷いを抱いたまま、ミハエルはアレクにターンを明け渡す。

【ミハエルLP4000】 手札4枚
場:ガスタの賢者 ウィンダール(攻撃)
【アレクLP3900】 手札2枚
場:金剛真力、伏せ1枚