にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドM 3-11

「俺のターン、ドロー」
 引いたカードを見たアレクの顔に、凶悪な笑みが張り付く。
「コイツはいいカードを引いた……<金剛真力>の効果で、手札のデュアルモンスター<炎妖蝶ウィルプス>を特殊召喚し、再度召喚!」
 炎の羽をひらめかせる蝶が召喚され、フィールドに火の子をまき散らす。

<炎妖蝶ウィルプス>
デュアルモンスター
星4/炎属性/昆虫族/攻1500/守1500
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードをリリースする事で、自分の墓地に存在する「炎妖蝶ウィルプス」以外の
デュアルモンスター1体を特殊召喚する。
この効果によって特殊召喚されたデュアルモンスターは再度召喚された状態になる。

「<ウィルプス>の効果だ。再度召喚されたこのカードをリリースすることによって、墓地のデュアルモンスター1体を特殊召喚する」
 <炎妖蝶ウィルプス>が自らの羽で体を覆い、その姿を隠す。

「来いッ! 我が力の象徴――<フェニックス・ギア・フリード>ッ!!」

 炎の羽が、内側から破られることによって四散する。
 舞い散った炎は、2枚の翼へと形を変え、現れた騎士の背中に宿る。
 一切の穢れを許さない純白に、強固な意志を体現した赤がのった装具。
 刀身に宝玉が埋め込まれており、そこから炎を燃え上がらせる大剣。
 鳳凰の名を冠した騎士――<フェニックス・ギア・フリード>が、アレクの元に降り立つ。

<フェニックス・ギア・フリード>
デュアルモンスター
星8/炎属性/戦士族/攻2800/守2200
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●相手が魔法カードを発動した場合、自分の墓地に存在する
デュアルモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する装備カード1枚を墓地へ送る事で、
フィールド上に存在するモンスターを対象にする
魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。

「――――」
 言葉が出ない。いつの間にか、ミハエルの喉はカラカラに渇いていた。
「<炎妖蝶ウィルプス>の効果によって特殊召喚されたデュアルモンスターは、再度召喚された状態になる。バトルだ! <ウィンダール>を粉砕しろ、<フェニックス・ギア・フリード>!」
 宝玉に宿っていた炎が刀身全体に燃え広がり、炎熱の刃を作り出す。
「凰火――」
 <ウィンダール>との距離を詰めないまま、<フェニックス・ギア・フリード>が虚空に向けて炎の剣を薙ぎ払う。
 瞬間、紅色の焔弾が無数に放たれ、礫のように緑の賢者に襲いかかる。
 <ガスタの賢者 ウィンダール>は防御用の魔法陣を展開するが――
「絶翔斬!」
 その場に釘づけになった賢者目がけて、上空へと跳んだ騎士の斬撃が振り下ろされる。
 パキィン! と音を立てて魔法陣が砕け散り、杖ごと体を斬られた<ガスタの賢者 ウィンダール>が戦場から脱落する。

【ミハエルLP4000→3200】

 攻撃の余波がミハエルを襲い、ライフが削られる。
 しかし、痛みは感じない。伝わるのは、デュエルディスクからの微弱な振動だけだ。
「俺の目的はテメエを殺すことじゃない。攻撃を実体化させるのは、デュエルで完璧に叩き潰してからだ」
 不思議がるミハエルの表情が気に食わなかったのか、アレクが吐き捨てるように告げる。
「まさかこれで終わりだと思ってんじゃねえだろうな! 罠カード<正統なる血統>を発動! 墓地の<エヴォルテクター シュバリエ>を特殊召喚し、ダイレクトアタック!」

<正統なる血統>
永続罠
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。

 フィールドに帰還すると同時、素早く地面を蹴った赤の剣士は、ミハエルに向けて無造作に剣を振るう。
 <正統なる血統>は墓地の通常モンスターを攻撃表示で特殊召喚するカード。墓地や手札では通常モンスターとして扱うデュアルモンスターも蘇生対象となる。
「ぐっ!」

【ミハエルLP3200→1300】

 今度の攻撃も、アレクの言葉通り実体化していない。
 それでも、このターンだけでミハエルのLPは大幅に削られた。
「手札からカードを発動する様子はない、か。舐めてんのか? オイ」
 怒りと失望がない交ぜになったような表情を浮かべ、アレクは言葉を吐く。
「テメエの魂胆なんて知らねえが、もし手加減してるって言うなら俺は今すぐお前をぶっ殺すぞ。デュエリストとしての誇りを汚されて黙っているほど、俺は腐ってねえからな。事故、なんて言い訳を並べてみろ。その舌を切り裂いて二度と喋れなくしてやる」
 アレクの瞳を見れば、その言葉が嘘でない事は分かる。
 これ以上無様な姿を見せれば、その瞬間ミハエルの命は尽きるのだろう。
「……手加減する理由があるか? お前の勝手な思い込みで話を進めないでくれ」
 アレクの鋭い視線から目を逸らしながら、言葉だけは強気に言い放つ。
「フン……バトルフェイズを終了する。装備魔法<リボーンリボン>を<フェニックス・ギア・フリード>に装備し、ターンエンドだ」

<リボーンリボン>
装備魔法
装備モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合、
そのターンのエンドフェイズ時にそのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 鳳凰の騎士の右手首に、紋様が描かれた青いリボンが巻かれる。
 <リボーンリボン>を装備したということは、例え<フェニックス・ギア・フリード>を戦闘破壊できたとしても、そのターンのエンドフェイズに復活してしまうということだ。
 ――いや。
 本当の狙いはそこではない。
 <フェニックス・ギア・フリード>の効果――装備カード1枚を墓地に送ることで、モンスターを対象とした魔法・罠カードの発動を無効にして破壊する――を発動するためのコストを用意したのだろう。
 つまり、相手の狙いをすり抜けて<フェニックス・ギア・フリード>を倒すには、モンスター効果か、対象を取らない魔法・罠カードを使うしかない。

【ミハエルLP1300】 手札4枚
場:なし
【アレクLP3900】 手札1枚
場:フェニックス・ギア・フリード(攻撃・リボーンリボン装備)、エヴォルテクター シュバリエ(攻撃・正統なる血統)、金剛真力