にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 9-9

 息を呑む。
 雄大な氷の龍の姿を見て、輝王の体が震えた。
 ――全く。俺を何度圧倒させれば気が済むのか。
 輝王は無意識のうちに、ディスクにセットされた自分のデッキに触れていた。
 決闘者の魂が、揺さぶられたのだ。

<氷結界の龍デュランダル>
シンクロ・効果モンスター(オリジナルカード)
星8/水属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
「氷結界」と名のついたチューナー+チューナー以外の水属性モンスター2体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカード以外の
フィールド上に存在するすべての表側表示カードに、アイスカウンターを1つずつ乗せる。
1ターンに1度、フィールド上に存在するアイスカウンターを任意の数だけ取り除くことができる。
このカードの攻撃力は、このターンのエンドフェイズ時まで、この効果で取り除いたアイスカウンターの数×500ポイントアップする。
このカードはカードの効果では破壊されない。

「<氷結界の龍デュランダル>がシンクロ召喚に成功した時、フィールド上に存在する全ての表側表示カードにアイスカウンターを1つずつ乗せる。フリージング・パルサー!」
 ティトが呼び出した<氷結界の龍デュランダル>の翼が、わずかに動く。
 風が生まれ、それに乗った冷たい空気がフィールドを包み込む。
「――っ!」
 2体の<裁きの龍>の翼が凍りつく。1体は左、もう1体は右の翼だ。
 同時に、ティトの場にある<ウォーターハザード>も、テキストが読めないほどに凍りついていた。
「そして、フィールド上のアイスカウンター3つを取り除き、エンドフェイズまで攻撃力を1500ポイントアップさせる!」
 氷の龍の雄叫びに合わせ、<裁きの龍>の翼と<ウォーターハザード>を凍らせていた氷が砕け散る。
「フロスティ・ニルヴァーナ!」
 粉々になった氷の屑は、巨竜が持つ6枚の翼に吸い込まれ、その翼はさらに体積を増す。
 この効果により、<氷結界の龍デュランダル>の攻撃力は4500ポイントまで上昇した。
「――行くよ」
 ティトが、リソナの覚悟を確かめるように、告げる。
「……あ」
 灰色の瞳に射抜かれ、リソナはすくんでしまった。
 見つめ返せなかった。
「<氷結界の龍デュランダル>で<裁きの龍>を攻撃」
 氷の巨竜が、大きく息を吸う。
 瞬間。
 フィールドを覆うように広がっていた6枚の翼が、一斉に砕けた。
 それはまるで、満天の星空。
 無数の氷の結晶が輝き、光をもたらす。
 結晶は、巨竜が開いた口へと収束し――

「――ダイヤモンド・カタストロフィ!!」

 氷の竜巻となって、放たれた。
「――さ、させないです! リバースカードオープン! <聖なるバリア―ミラーフォース―>!」
 動きを止めていたリソナが、弾かれたように罠カードを起動する。

<聖なるバリア―ミラーフォース―>
通常罠(制限カード)
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 <裁きの龍>の前に光の壁が現れ、迫る氷の竜巻が激突する。
 轟音。
 光の壁から幾筋もの光条が放たれ、<氷結界の龍デュランダル>へと迫る。
 だが。
「……ダメだよ。<デュランダル>は、カードの効果で破壊されない」
 光条をその体に受けようとも、氷の巨竜は揺るがない。倒れない。
 裁きの光をその身に受け、耐えきった主人の姿を重ね合わせるかのように。
 氷の結晶が渦巻く竜巻――「ダイヤモンド・カタストロフィ」が、聖なる壁を打ち破る。
「や……いやです! リソナは、強くて、強くて――!」
 だだをこねる子供のように、リソナが悲鳴じみた叫び声を上げる。
 <裁きの龍>が、蒼の中に消える。
「リソナは――リソナは――!!」
 言葉は、続かなかった。

【リソナLP1400→0】

銀色の少女は、下された判決を覆した。