遊戯王 New stage サイドS 7-8
(私が……負ける?)
襲いくる烈風に耐えながら、竜美は初めて「敗北」が間近に迫っていることを認識した。
どんなに相手を煽ろうと。
どんなに手加減をしても。
そのせいで、窮地に追い込まれてたとしても。
竜美は、自分がデュエルで負けるとは微塵も思わなかった。
彼女にとって、デュエルとは勝つこと。自分の力を証明すること。
それが全てだ。
物心ついたときには、すでに1人だった。
過酷な環境のサテライトで幼子1人が生きていくには、泥水をすすり続けるしかなかった。
そんな地獄の中で気付いた、サイコデュエリストとしての自分の力。
竜美は、その力にすがるしかなかった。
相手を叩き潰し、自分の強大な力を顕示する。
そうしなければ、竜美はただの女の子になってしまう。何の力もなければ、また地獄に戻るしかない。
――それだけは絶対に嫌だ。
やがて、竜美の力はアルカディアムーブメントの目にとまり、光坂の元へたどり着いた。
デュエルに勝ち続けることで、竜美は今の「居場所」を手に入れたのだ。
だから、勝ち続ける。
勝ち続けたことで得た「居場所」は、勝ち続けることでしか維持することが出来ない。
負ければ、用済み。
面と向かってそう言われたわけではないが、竜美はその事実を肌で感じていた。
――嫌だ。
戻りたくない。
捨てられたくない。
そのためには――勝つしかない。
どんな手を使ってでも。
襲いくる烈風に耐えながら、竜美は初めて「敗北」が間近に迫っていることを認識した。
どんなに相手を煽ろうと。
どんなに手加減をしても。
そのせいで、窮地に追い込まれてたとしても。
竜美は、自分がデュエルで負けるとは微塵も思わなかった。
彼女にとって、デュエルとは勝つこと。自分の力を証明すること。
それが全てだ。
物心ついたときには、すでに1人だった。
過酷な環境のサテライトで幼子1人が生きていくには、泥水をすすり続けるしかなかった。
そんな地獄の中で気付いた、サイコデュエリストとしての自分の力。
竜美は、その力にすがるしかなかった。
相手を叩き潰し、自分の強大な力を顕示する。
そうしなければ、竜美はただの女の子になってしまう。何の力もなければ、また地獄に戻るしかない。
――それだけは絶対に嫌だ。
やがて、竜美の力はアルカディアムーブメントの目にとまり、光坂の元へたどり着いた。
デュエルに勝ち続けることで、竜美は今の「居場所」を手に入れたのだ。
だから、勝ち続ける。
勝ち続けたことで得た「居場所」は、勝ち続けることでしか維持することが出来ない。
負ければ、用済み。
面と向かってそう言われたわけではないが、竜美はその事実を肌で感じていた。
――嫌だ。
戻りたくない。
捨てられたくない。
そのためには――勝つしかない。
どんな手を使ってでも。
「――<ジュラック・ヴェロー>の効果発動! 表側攻撃表示で存在するこのカードが戦闘で破壊されたとき、自分のデッキから攻撃力1700以下の<ジュラック>と名のついたモンスターを特殊召喚出来る! 来い、<ジュラック・ガリム>!」
<ジュラック・ガリム> チューナー(効果モンスター) 星2/炎属性/恐竜族/攻1200/守 0 このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する。 相手は手札を1枚捨ててこのカードの効果を無効にする事ができる。 捨てなかった場合、このカードを破壊したモンスターを破壊する。
竜美がリクルートしてきたのは、レベル2のチューナーモンスターだった。
(……まだシンクロモンスターが残ってるのか?)
果敢にも攻撃表示で特殊召喚された<ジュラック・ガリム>。
何の策もなしにチューナーを特殊召喚してくるとは考えにくい。あるいは、<ジュラック・ガリム>の効果を使い、こちらの手札を捨てさせようとしているのか……。
どちらにしても、これ以上の追撃を行うことはできない。
「俺はこのままターンを終了する」
ターンが終わったことで、<A・ジェネクス・パワーコール>が除外される。
これで、創志の場のモンスターは<A・ジェネクス・アクセル>のみ。
(……まだシンクロモンスターが残ってるのか?)
果敢にも攻撃表示で特殊召喚された<ジュラック・ガリム>。
何の策もなしにチューナーを特殊召喚してくるとは考えにくい。あるいは、<ジュラック・ガリム>の効果を使い、こちらの手札を捨てさせようとしているのか……。
どちらにしても、これ以上の追撃を行うことはできない。
「俺はこのままターンを終了する」
ターンが終わったことで、<A・ジェネクス・パワーコール>が除外される。
これで、創志の場のモンスターは<A・ジェネクス・アクセル>のみ。
「私は……」
カードをドローした竜美が、誰に向けてでもなく呟く。
「私は、負けるわけにはいかないのよ。絶対に」
鬼気迫る表情で吐き捨てる竜美に、
「……どうしてそこまで勝ちにこだわるんだ?」
創志はゆっくりと息を吐いたあと、問う。
「アンタみたいなガキに分かるはずがない。もちろん、何でも与えられてきて、今も守られるだけのお嬢様には分かるはずもない!」
竜美の叫びに、ティトがびくりと体を震わせる。
カードをドローした竜美が、誰に向けてでもなく呟く。
「私は、負けるわけにはいかないのよ。絶対に」
鬼気迫る表情で吐き捨てる竜美に、
「……どうしてそこまで勝ちにこだわるんだ?」
創志はゆっくりと息を吐いたあと、問う。
「アンタみたいなガキに分かるはずがない。もちろん、何でも与えられてきて、今も守られるだけのお嬢様には分かるはずもない!」
竜美の叫びに、ティトがびくりと体を震わせる。
「アンタを潰すわ、皆本創志。もう加減はしない」
「…………ッ」
返す言葉を考えていた創志の思考が停止する。
熱を発するはずの炎を纏っているのに、竜美の視線は氷のような冷たさを感じる。
「罠カード<化石発掘>を発動。手札を1枚捨てることで、墓地の<ジュラック・ヴェロー>を特殊召喚する」
返す言葉を考えていた創志の思考が停止する。
熱を発するはずの炎を纏っているのに、竜美の視線は氷のような冷たさを感じる。
「罠カード<化石発掘>を発動。手札を1枚捨てることで、墓地の<ジュラック・ヴェロー>を特殊召喚する」
<化石発掘> 永続罠 手札を1枚捨てる。 自分の墓地に存在する恐竜族モンスター1体を選択して特殊召喚する。 この方法で特殊召喚されたモンスターのモンスター効果は無効化される。 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
三度フィールドに現れる、鮮やかな鱗の恐竜。
「そして、<ジュラック・イグアノン>を召喚」
胸に小さな火球を抱えた恐竜が、<ジュラック・ヴェロー>の隣に並ぶ。
「そして、<ジュラック・イグアノン>を召喚」
胸に小さな火球を抱えた恐竜が、<ジュラック・ヴェロー>の隣に並ぶ。
<ジュラック・イグアノン> 効果モンスター 星4/炎属性/恐竜族/攻1700/守 700 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した時、 相手フィールド上にセットされたカード1枚を手札に戻す事ができる。
「破壊を」
口上は、たったの4文字。
「――シンクロ召喚。<ジュラック・メテオ>」
光の柱が夜空に向かって立ち昇る。
上空にある「一点」に吸い込まれていく光。
「……?」
そこに何があるのか――夜空を見上げ、創志が目を凝らした瞬間だった。
闇を消し去るかのように燃え上がる炎。
「そうし! 落ちてくる!」
大きさを確認する間もなく、その炎はこちらに向かって落下してくる。
その姿は、まさしく隕石。
「――シンクロ召喚。<ジュラック・メテオ>」
光の柱が夜空に向かって立ち昇る。
上空にある「一点」に吸い込まれていく光。
「……?」
そこに何があるのか――夜空を見上げ、創志が目を凝らした瞬間だった。
闇を消し去るかのように燃え上がる炎。
「そうし! 落ちてくる!」
大きさを確認する間もなく、その炎はこちらに向かって落下してくる。
その姿は、まさしく隕石。
<ジュラック・メテオ> シンクロ・効果モンスター 星10/炎属性/恐竜族/攻2800/守2000 「ジュラック」と名のついたチューナー+チューナー以外の恐竜族モンスター2体以上 このカードがシンクロ召喚に成功した時、 フィールド上に存在するカードを全て破壊する。 その後、自分の墓地からチューナー1体を特殊召喚する事ができる。
「な……! ここにぶつける気かよ!?」
巨大な炎が大気を押し退けて急降下し、轟音が生まれる。
創志は竜美に向かって叫ぶが、彼女は何も答えない。
「くそっ――!」
創志の右手が動く。
爆炎を纏った隕石――<ジュラック・メテオ>が、戦場に破壊をもたらすためにその身を焦がす。
激突。
灼熱が、フィールドを包み込んだ。
巨大な炎が大気を押し退けて急降下し、轟音が生まれる。
創志は竜美に向かって叫ぶが、彼女は何も答えない。
「くそっ――!」
創志の右手が動く。
爆炎を纏った隕石――<ジュラック・メテオ>が、戦場に破壊をもたらすためにその身を焦がす。
激突。
灼熱が、フィールドを包み込んだ。