解放されしＨＥＲＯの力【セイクリッド戦記】

前回、ジェムナイトに　完　全　敗　北　を喫したセイクリッド。
その爪痕は深かったのか、調子を取り戻せないままアヤワさんのヴェルズにも二連敗。
シーブ君のロード・ウォリアーには勝ったけれど、プレアデスのバウンスとオネストで正面からぶつかることを回避した結果である。ジェムナイトにはもう勝てないとして、このままで他のＤＴ勢と戦えるのだろうか……

そんな中迎えた、穂しくずさんのＨＥＲＯデッキとのデュエル。



前回も戦ったのだが、手札に一切モンスターが来ないという異常事態のせいで呆気なくマッチ負け。
さすがに二連続でそんな失態を犯すわけにはいかない……
緊張しながら最初の手札をドローすると、きちんとモンスターは来てくれた。
一安心する間もなく、穂しくずさんは序盤から苛烈に攻め立ててくる。
それもそのはず。セイクリッドに時間を与えるということは、バウンスや魔法罠耐性、攻撃力アップと迎撃に適したモンスターを並べさせるということだ。
ハイランダー構成で、なおかつ安易なパワーカードを投入していないにも関わらず、ＤＴテーマデッキと互角に渡り合えるのは、構築力もさることながら、穂しくずさんのプレイングによる部分が大きいと思う。

また、今回のデュエルでは遠慮なく氷のＨＥＲＯが姿を現した。



Ｅ・ＨＥＲＯアブソルートＺｅｒｏ……属性融合ＨＥＲＯの中でも、特に強力な効果を持ったモンスターだ。
ひとたび召喚を許せば、こちらの場が吹き飛ばされるのはほぼ確定。
プレアデスやトレミスのバウンスでも止められず、展開力の乏しいセイクリッドにとって、厳しい相手だ。



一戦目。俺は早速追い詰められていた。
穂しくずさんの場には、前述のアブゼロの他に、Ｍ・ＨＥＲＯダイアンとオーシャンがいた。
こちらの場はがら空き。ライフは残り２０００とちょっと。このターンを凌げなければ終わりである。
その代わり、手札は潤沢だった。セイクリッドのエクシーズモンスターはどれでも呼びだすことができるし、死者蘇生もある。そして、ドローしたのはセイクリッドの聖痕。エクシーズすれば１ドローは確定だ。

しかし、やはり厄介なのはアブゼロ。
最初に考えたのは、プレアデスを出してダイアンをバウンス。その後アブゼロと相討ちし、メイン２で死者蘇生を使って墓地のトレミスを呼び出す……というプレイングだった。
が、これは不可能だ。アブゼロは破壊効果のほかに、自身以外の水属性ＨＥＲＯの数×５００ポイント攻撃力を上げる効果がある。オーシャンがいる限り、プレアデスで相討ちには持ち込めない。
ダイアンの攻撃力が２８００なのも絶妙だった。墓地にいるトレミスでは倒せず、戦闘破壊できるのはビーハイブくらいだ。それをやれば、アブゼロが場に残ることになるし……

足りない頭でいくら考えても突破口は見えないので、まずはドローしてから考えようと聖痕を発動。
続けてビーハイブをエクシーズ召喚し、聖痕の効果で１枚ドローする。

引いたカードは、太陽風帆船。
サイドラの代わりに入れた新カードだったが、今までこいつが役に立った試しがない。
すでにビーハイブを召喚してしまったので、特殊召喚はできないし、アブゼロを倒したあとの壁くらいにしか――

――いや、ちょっと待て。俺は最高に便利な魔法カードを持っていなかったか？



それに気付いたのは、ビーハイブでアブゼロを戦闘破壊してフィールドを空にされた後。
普通の人ならその前に頭が回るだろうけど、アホな俺はこの時点でようやく道が繋がったことに気付く。
メインフェイズ２に入り、太陽風帆船を特殊召喚。

そして、死者蘇生を発動。

墓地のセイクリッド・カウストを蘇生し、自身のレベルを１上げて５にし、２体のモンスターでオーバレイ――

頼む！　セイクリッド・プレアデス！



プレアデスの効果で攻撃力の高いダイアンをバウンスし、ターンエンド。
これで残ったのはオーシャンのみ。おまけに、プレアデスのバウンス効果はあと一度使える。
まさに首の皮一枚繋がった恰好だったが、この難局を切り抜けられたことは大きな自信になった。
そして、俺はそのまま一戦目に逆転勝利し、二戦目は落としたものの、三戦目は見事勝利！
三戦全てがシーソーゲームだったけれど、辛くもマッチ勝利を収めたのだった。



いやあ、（俺にしては）実に内容の濃いデュエルでした。
その後のカイトＶＳ遊馬では、「こんなに白輝士イルミネーターしか出せない手札になったのは初めてだ」なんて迷言も飛び出し、ＤＰ発売前に最後のマッチ勝利を収めたのですが、前のデュエルが濃かったせいで消耗が激しいこと激しいことｗ
相手にしたら相当嫌らしいであろうセイクリッドの面々に、臆することなく全力で立ち向かってきてくれる皆様には頭が下がるばかりであります。ありがとな！　でも、容赦はしねえよ！