リミット・シェル・ブレイク-3【ヴァンガードオリジナル小説】
「準備はいいわね?」
「ああ」
左奥のテーブルの端席で向かい合った俺達は、互いのデッキをカット&シャッフルし、フィールドにセットする。ジャンケンは俺が勝ち、先攻を取る。
最初の手札はG1、G2、G3のユニットがそれぞれ1枚ずつあるバランスのいい手札だ。残りの2枚がトリガーユニットだったため、デッキに戻し、引き直しを行う。向かいに座った少女も、同じように引き直しを行っていた。
戻した枚数分デッキからカードをドローし、事前準備は終了だ。
「ああ」
左奥のテーブルの端席で向かい合った俺達は、互いのデッキをカット&シャッフルし、フィールドにセットする。ジャンケンは俺が勝ち、先攻を取る。
最初の手札はG1、G2、G3のユニットがそれぞれ1枚ずつあるバランスのいい手札だ。残りの2枚がトリガーユニットだったため、デッキに戻し、引き直しを行う。向かいに座った少女も、同じように引き直しを行っていた。
戻した枚数分デッキからカードをドローし、事前準備は終了だ。
俺と少女の声が重なり、ヴァンガードファイトの幕が上がる。
「さあ、イメージしなさい。あたしたちは、惑星クレイに舞い降りた、何の力も持たない非力な霊体――」
「アニメの受け売りはいいから」
「……君ってリアリストなのね」
「そ、そういうわけじゃない」
……そういえば、いつからだろうか。昔はアニメの台詞を真似しながらファイトしたものだが、いつの間にかそれを恥ずかしいと思うようになっていた。まあ、高校生ともなれば自然なことなのかもしれないな。
それはともかく、ファイトの先陣を切るユニット――互いのファーストヴァンガードが明らかになる。
「……へえ」
奇遇なことに、表になったユニットは、共に<リザードソルジャー コンロー>。
ドラゴン・エンパイア所属の、陸上強襲部隊――『かげろう』と呼ばれるクランに所属するユニットだ。
「さあ、イメージしなさい。あたしたちは、惑星クレイに舞い降りた、何の力も持たない非力な霊体――」
「アニメの受け売りはいいから」
「……君ってリアリストなのね」
「そ、そういうわけじゃない」
……そういえば、いつからだろうか。昔はアニメの台詞を真似しながらファイトしたものだが、いつの間にかそれを恥ずかしいと思うようになっていた。まあ、高校生ともなれば自然なことなのかもしれないな。
それはともかく、ファイトの先陣を切るユニット――互いのファーストヴァンガードが明らかになる。
「……へえ」
奇遇なことに、表になったユニットは、共に<リザードソルジャー コンロー>。
ドラゴン・エンパイア所属の、陸上強襲部隊――『かげろう』と呼ばれるクランに所属するユニットだ。
カード名 リザードソルジャー コンロー グレード 0 スキル ブースト 種別 ノーマルユニット トリガー - クラン かげろう 種族 ドラゴンマン シールド 10000 国家 ドラゴン・エンパイア パワー 5000 クリティカル 1 効果テキスト 自:他の《かげろう》がこのユニットにライドした時、このカードをRに コールしてよい。 起【R】:[CB(1),このユニットを退却させる]あなたの山札からグレード1 以下の《かげろう》を1枚まで探し、相手に見せ、手札に加え、その山札をシャッ フルする。
現時点のヴァンガードのカードプールでは、他のクランのカードを組み合わせる――いわゆる混色デッキにすることのメリットが少ないため、ファーストヴァンガードの所属クランによって相手のデッキが分かることがほとんどだ。
今回の場合は、『かげろう』のミラーマッチ。
とはいっても、同じ『かげろう』でもデッキタイプは様々だ。使用するユニットが似通っていたとしても、戦術まで同じとは限らない。
「君、『かげろう』使いだったんだ。意外ね」
「……どういう意味だ?」
「何となくだけど、『ノヴァグラップラー』とか『ディメンジョンポリス』が好きそうに見えたから」
「どんな判断基準なんだそれ。……昔は『ノヴァ』組んでたけど、『かげろう』のが強いし安定性が高いから乗り換えたんだよ」
「ふうん」
自分から話を振っておいて、興味なさそうにため息を吐く少女の態度に微かな苛立ちを覚える。
俺が今使っているデッキは、<ドラゴニック・オーバーロード・ジエンド>を軸にしたものだ。全国大会の上位入賞者にも使用者が多く、それらのレシピを集めて自分なりにアレンジしたものを使っている。
……白神高校では、このデッキを使っても「平凡」と評されたわけだが。
「俺の先攻だな。ドロー……<鎧の化身 バー>にライド。<コンロー>を後列に移動させて、ターンエンドだ」
今回の場合は、『かげろう』のミラーマッチ。
とはいっても、同じ『かげろう』でもデッキタイプは様々だ。使用するユニットが似通っていたとしても、戦術まで同じとは限らない。
「君、『かげろう』使いだったんだ。意外ね」
「……どういう意味だ?」
「何となくだけど、『ノヴァグラップラー』とか『ディメンジョンポリス』が好きそうに見えたから」
「どんな判断基準なんだそれ。……昔は『ノヴァ』組んでたけど、『かげろう』のが強いし安定性が高いから乗り換えたんだよ」
「ふうん」
自分から話を振っておいて、興味なさそうにため息を吐く少女の態度に微かな苛立ちを覚える。
俺が今使っているデッキは、<ドラゴニック・オーバーロード・ジエンド>を軸にしたものだ。全国大会の上位入賞者にも使用者が多く、それらのレシピを集めて自分なりにアレンジしたものを使っている。
……白神高校では、このデッキを使っても「平凡」と評されたわけだが。
「俺の先攻だな。ドロー……<鎧の化身 バー>にライド。<コンロー>を後列に移動させて、ターンエンドだ」
カード名 鎧の化身 バー 読み ヨロイノケシン バー グレード 1 スキル ブースト 種別 ノーマルユニット トリガー - クラン かげろう 種族 デーモン シールド 5000 国家 ドラゴン・エンパイア パワー 8000 クリティカル 1 効果テキスト -
<コンロー>は、ヴァンガードの後ろに下げておく。次のターンにダメージを受けたら、自身のスキルで退却させつつ後続をサーチすればいい。
「あたしのターンね。<ドラゴンモンク ゴジョー>にライド!」
カードをドローした少女は、あらかじめユニットを決めていたであろう素早さでライドフェイズを終える。
「あたしのターンね。<ドラゴンモンク ゴジョー>にライド!」
カードをドローした少女は、あらかじめユニットを決めていたであろう素早さでライドフェイズを終える。
カード名 ドラゴンモンク ゴジョー グレード 1 スキル ブースト 種別 ノーマルユニット トリガー - クラン かげろう 種族 ギルマン シールド 5000 国家 ドラゴン・エンパイア パワー 7000 クリティカル 1 効果テキスト 起【V/R】:[このユニットをレストする,あなたの手札から1枚選び、捨て る]1枚引く。
「<コンロー>はリアガードに移動。さらに<魔竜聖母 ジョカ>をコール!」
カード名 魔竜聖母 ジョカ 読み マリュウセイボ ジョカ グレード 1 スキル ブースト 種別 ノーマルユニット トリガー - クラン かげろう 種族 ドラゴンマン シールド 5000 国家 ドラゴン・エンパイア パワー 6000 クリティカル 1 効果テキスト 自【R】:あなたのメインフェイズ中、相手のリアガードがドロップゾーンに 置かれた時、そのターン中、このユニットのパワー+3000。
<コンロー>は右後列に、その前列に<ジョカ>がコールされる。<ジョカ>はメインフェイズ中に相手のリアガードが退却する度にパワーが+3000されるユニットだ。それを出してきたということは、彼女のデッキは除去性能が高いと見て間違いない。
「始めるわよ……<コンロー>のブースト! <ジョカ>でヴァンガードにアタック!」
「始めるわよ……<コンロー>のブースト! <ジョカ>でヴァンガードにアタック!」
【<魔竜聖母 ジョカ>パワー6000→11000】
こちらの<バー>のパワーは8000。シールド5000のカードを切れば、余裕でガードできる攻撃であるが……
「ノーガードだ」
『かげろう』のユニットは、ダメージゾーンのカードを裏返すことでスキルが発動するカウンターブラスト――CBを有するユニットが多い。こちらのユニットを活かすために、序盤のダメージは受けるべきだ。
<ジョカ>のアタックが<バー>にヒットする。俺はデッキの一番上のカードをダメージゾーンに送る。ダメージゾーンに6枚のカードが置かれた時点で、ファイトに敗北する。いくらCBを発動させるのに必要とはいえ、ダメージの受け過ぎには注意が必要だ。
「トリガーはないみたいね。なら、続けて<ゴジョー>でアタック!」
「ノーガード」
<ゴジョー>のパワーは<バー>よりも1000劣っている。つまり、ドライブチェックでトリガーを引かない限りは、アタックは通らない。
「ノーガードだ」
『かげろう』のユニットは、ダメージゾーンのカードを裏返すことでスキルが発動するカウンターブラスト――CBを有するユニットが多い。こちらのユニットを活かすために、序盤のダメージは受けるべきだ。
<ジョカ>のアタックが<バー>にヒットする。俺はデッキの一番上のカードをダメージゾーンに送る。ダメージゾーンに6枚のカードが置かれた時点で、ファイトに敗北する。いくらCBを発動させるのに必要とはいえ、ダメージの受け過ぎには注意が必要だ。
「トリガーはないみたいね。なら、続けて<ゴジョー>でアタック!」
「ノーガード」
<ゴジョー>のパワーは<バー>よりも1000劣っている。つまり、ドライブチェックでトリガーを引かない限りは、アタックは通らない。
「――ま、無難な選択よね。けど、あたし相手にその選択は危険よ」
「……?」
どういう意味だ、と尋ねようとするより先に、少女が動く。
「ドライブトリガーチェック――ゲット、クリティカルトリガー」
「なっ……!?」
少女がドライブチェックでめくったカードは、<ブルーレイ・ドラコキッド>。
ユニットのクリティカルを1増やすトリガーユニットだ。
どういう意味だ、と尋ねようとするより先に、少女が動く。
「ドライブトリガーチェック――ゲット、クリティカルトリガー」
「なっ……!?」
少女がドライブチェックでめくったカードは、<ブルーレイ・ドラコキッド>。
ユニットのクリティカルを1増やすトリガーユニットだ。
カード名 ブルーレイ・ドラコキッド グレード 0 スキル ブースト 種別 トリガーユニット トリガー ☆+5000 クラン かげろう 種族 フレイムドラゴン シールド 10000 国家 ドラゴン・エンパイア パワー 5000 クリティカル 1 効果テキスト -
「当然、全ての効果を<ゴジョー>に加えるわ」
【<ドラゴンモンク ゴジョー>パワー7000→12000 クリティカル1→2】
僧兵の槍が、戦士の鎧を突き破る。
そんなイメージが浮かんできそうなアタックだった。
「……ッ。ダメージチェック」
いきなりクリティカルトリガーを引かれるなんて、交通事故にでもあった気分だ。心に苦いものが広がっていくのを感じながら、俺はダメージゾーンに2枚のカードを送る。トリガーはない。
「上々、って感じかな。ターンエンドよ」
そんな俺とは対照的に、少女はとても上機嫌だった。いきなり3ダメージも奪えば当然か。
そんなイメージが浮かんできそうなアタックだった。
「……ッ。ダメージチェック」
いきなりクリティカルトリガーを引かれるなんて、交通事故にでもあった気分だ。心に苦いものが広がっていくのを感じながら、俺はダメージゾーンに2枚のカードを送る。トリガーはない。
「上々、って感じかな。ターンエンドよ」
そんな俺とは対照的に、少女はとても上機嫌だった。いきなり3ダメージも奪えば当然か。