にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルstage 【ep-11】

「…………」
 治輝の手札は7枚。この7枚を使って<邪神ドレッド・ルート>を倒す術は――
(……ある)
 だが、それには魔法カードの発動が必要不可欠だ。<邪神アバター>は倒れたものの、召喚時に発動した「相手ターンで数えて2ターンの間、魔法・罠カードを発動することができない」という効果は残っている。
(くそ……)
 すぐにでも動きたいのに、動けないもどかしさ。そんな焦燥が顔に出ていたのか、
「……焦るな、時枝。焦りは隙を生む」
「そうだぜ。<ドレッド・ルート>のことは俺に任せとけよ」
 輝王だけでなく、創志からも言葉が飛んでくる。
「……分かった。俺はカードを1枚セット。モンスターもセットしてターンエンドだ」
 裏守備モンスターと伏せカードが現れ、治輝のターンが終了する。
 次の治輝のターンが回ってくるまで、砂神の攻撃を3回も凌がなければならない。
 無論、創志や輝王が<邪神ドレッド・ルート>を倒してくれれば言うことはないが――創志はもちろんのこと、輝王も<邪神アバター>の攻撃でダメージを負っている。何とか自分に攻撃を誘導するしかない。

【砂神LP6000】 手札6枚
場:邪神ドレッド・ルート(攻撃)、冥界の宝札、伏せ1枚
【輝王LP3000】 手札1枚
場:AOJカタストル(攻撃)、機甲部隊の最前線、エレメントチェンジ(光指定)、伏せ2枚
【治輝LP4000】 手札5枚
場:裏守備モンスター2体、伏せ2枚
【創志LP1250】 手札2枚
場:裏守備モンスター、マシン・デベロッパー(カウンター6)

「僕のターンですね。ドロー……フフフ、これはいいカードを引きました」
 ドローしたカードを見た砂神は、笑みの色を濃くする。
「魔法カード<サイクロン>を発動! <エレメントチェンジ>を破壊します!」

<サイクロン>
速攻魔法
フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

 砂神がかざした魔法カードから竜巻が起こり、輝王の永続罠<エレメントチェンジ>を粉々に砕く。
「くっ……」
「これで、<ドレッド・ルート>は闇属性に戻り、<カタストル>の破壊効果の対象外となります! 今度は貴方に受けてもらいますよ――輝王正義! バトルフェイズ!」
 最早恐れるものが無くなった砂神が、高らかにターンの移行を宣言する。
(――どうする?)
 治輝は、決断を迫られていた。
 先のターンで伏せたカードは、<威嚇する咆哮>。発動したターン、相手の攻撃宣言を封じる罠カードだ。これを使えば、砂神の攻撃を1回だけ防ぐことができる。
 問題は、いつこのカードを使うか。
 砂神は間違いなく<AOJカタストル>を攻撃してくる。<邪神ドレッド・ルート>の攻守半減効果を受けているせいで、<AOJカタストル>の攻撃力は2400から1200に下がっている。この攻撃が通れば、輝王は2800ポイントのダメージを受けるが、ライフはギリギリ残るはずだ。
(けど……)
 果たして、ライフを残りわずかまで削る攻撃とは、どんな威力なのだろうか。
 先程の創志への攻撃が頭をよぎる。拳による衝撃波と、無数の砂の刃による斬撃――あれよりもさらに苛烈な攻撃を受ければ、輝王はデュエル続行不能に陥ってしまうのではないか?
 輝王には2枚の伏せカードがあるが、動く気配はない。
 治輝の懸念は、輝王の身を案じている反面、彼のプライドを侮辱しているのかもしれない。
(それでも……! 後悔するよりはマシだ!)
 だから、治輝は動いた。
「罠カード<威嚇する咆哮>を発動! このターンの攻撃宣言を封じる!」

<威嚇する咆哮>
通常罠
このターン相手は攻撃宣言をする事ができない。

 突如響き渡った鋭い咆哮に、邪神の動きが止まる。わずかに首をかしげ、何故あの程度の咆哮に臆したのかを戸惑っているようだった。
「時枝……」
「……後々のために残しておくべきカードだったのかもしれない。けど、ごめん。これ以上黙って見てるだけなんてこと、できなかったんだ」
「……そうか」
 輝王は怒っているわけではなさそうだが、かといって単純に助けられたことへの喜びを感じているわけでもないようだ。
 これからの展開次第では、この<威嚇する咆哮>の発動は、焦りが招いた致命的なミスにもなりかねない。それを承知の上で、治輝は動いた。
 治輝が複雑な心境に陥っていると、
「よし! ナイスだ治輝! このターン、砂神の攻撃を空振りさせたのはデカいぜ」
 親指を立てた創志が、威勢のいい声ではっぱをかけてきた。
「皆本……」
「創志でいい。アイツは十中八九<カタストル>を狙ったと思うけどよ、万が一俺の伏せモンスターがやられたら、せっかくの作戦がパーになるとこだった。これで、あの邪神をぶっ倒してやれるぜ」
 そう言って自分の手札を眺める創志は、自信に満ち溢れている。よっぽどの策を隠しているのだろうか。
「<威嚇する咆哮>は予想外でしたが……いつまでそうやって凌げますかね。僕は邪神以外では攻撃しないつもりですが、貴方たちが殻に閉じこもって時間稼ぎをするようなら、容赦はしませんよ。モンスターをセットして、ターンエンドです」
「よっしゃ! 俺のターンだ!」
 張りきる創志を見ていると、何故か不安になってくる。先のターンでの<A・ジェネクストライフォース>の召喚は結果的に悪手になってしまったが――それが尾を引きずっているのだろうか?
 何にせよ、これ以上治輝にできることはない。ここは創志に任せる他なかった。

【砂神LP6000】 手札5枚
場:邪神ドレッド・ルート(攻撃)、裏守備モンスター、冥界の宝札、伏せ1枚
【輝王LP3000】 手札1枚
場:AOJカタストル(攻撃)、機甲部隊の最前線、伏せ2枚
【治輝LP4000】 手札5枚
場:裏守備モンスター2体、伏せ1枚
【創志LP1250】 手札2枚
場:裏守備モンスター、マシン・デベロッパー(カウンター6)