にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルstage 【ep-12】

「行くぜ! まずは裏守備の<ジェネクス・ニュートロン>を反転召喚!」
 素早くカードをドローした創志は、即座に動き始める。
 <ジェネクス・ニュートロン>――最初のターンで<A・ジェネクストライフォース>の効果によってセットしておいたモンスターだ。

<ジェネクス・ニュートロン>
効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻1800/守1200
このカードが召喚に成功した場合、
そのターンのエンドフェイズ時に自分のデッキから
機械族のチューナー1体を手札に加える事ができる。

「そして、<ジェネクス・ニュートロン>をリリース……現れろ! <アーミー・ジェネクス>!」
 姿を現したのは、巨大な重火器を抱えた迷彩柄のボディの機械兵だ。赤いヘルメットを被った頭部は骸骨を連想させ、ボディの各所から背部のエネルギータンクに繋がるチューブが伸びている。

<アーミー・ジェネクス>
効果モンスター
星6/地属性/機械族/攻2300/守1300
「ジェネクス」と名のついたモンスターをリリースして
このカードのアドバンス召喚に成功した時、
相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊する事ができる。

「そのモンスターは……」
「<アーミー・ジェネクス>は、<ジェネクス>と名のついたモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊することができる! その<邪神ドレッド・ルート>は<アバター>のように<ハードアームドラゴン>をリリースして召喚したわけじゃねえから、破壊できるはずだぜ!」
(なるほど。皆本……いや、創志はこれを狙ってたのか)
 一見攻め急いだように見えた初ターンでの<A・ジェネクストライフォース>のシンクロ召喚だが、きちんと後詰めは用意されていたわけだ。
「食らいな! バスターミサイル!」
 <アーミー・ジェネクス>が抱えていた重火器を右肩に固定し、照準を定める――
 が。
 機械兵は、それ以上動かなかった。
「どうした? 早く<ドレッド・ルート>を破壊――」
 しろ、と言い切る前に創志は異変に気付く。
 <アーミー・ジェネクス>の体に深緑の鎖が巻きつき、その動きを縛っていた。
「これは……!」
「<デモンズ・チェーン>。残念ですが、<アーミー・ジェネクス>の効果と攻撃を封じさせてもらいました。本当は<カタストル>相手に使う予定だったのですがね……<サイクロン>を引けたのは僥倖だったということですか」
 そう言いつつも、砂神は創志の行動を見透かしていたと言わんばかりの邪悪な笑みを浮かべる。

<デモンズ・チェーン>
永続罠
フィールド上に表側表示で存在する
効果モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。
選択したモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

「こいつはまずい……」
 治輝は渋い表情で状況を鑑みる。<アーミー・ジェネクス>は<デモンズ・チェーン>によって効果を封じられただけでなく、攻撃表示のまま場に残ってしまった。このまま攻撃を受ければ、創志のライフは尽きる。
「――策はあるのか? 皆本創志」
「……ぐぐ。カードを1枚伏せて、ターンエンド」
 ターン開始時とは打って変わって、悔しげな表情でエンドを宣言する創志。完全に狙いを外された格好だ。
「随分自信ありげに見えたんですが、所詮はこの程度ですか。なら、貴方には最初に死んでもらうことにしましょう」
 砂神の冷酷な瞳が、創志を射抜く。

【砂神LP6000】 手札5枚
場:邪神ドレッド・ルート(攻撃)、裏守備モンスター、冥界の宝札、デモンズ・チェーン(対象アーミー・ジェネクス
【輝王LP3000】 手札1枚
場:AOJカタストル(攻撃)、機甲部隊の最前線、伏せ2枚
【治輝LP4000】 手札5枚
場:裏守備モンスター2体、伏せ1枚
【創志LP1250】 手札1枚
場:アーミー・ジェネクス(攻撃)、マシン・デベロッパー(カウンター6)、伏せ1枚

「僕のターン。それでは、消えてもらいましょうか。バトルフェイズ! <邪神ドレッド・ルート>で<アーミー・ジェネクス>を攻撃!」
 鬱憤を晴らすかのように雄叫びを上げた邪神が、右腕を大きく振り上げる。
「フィアーズ・ノックダウン!」
「――創志!」
「……ッ!」
 鉄槌が振り下ろされる。
 迷彩色のボディが巻き付いた鎖ごと粉々に砕け、邪神の拳に宿る覇気によって破片すら消し飛んでいく。
「――リバースカードオープン! <ガード・ブロック>!」
 攻撃による衝撃波が創志を飲み込む寸前、彼の場にあったリバースカードが表を上げる。

<ガード・ブロック>
通常罠
相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 創志の前に空気でできたような透明の障壁が出現し、衝撃波を防ぐ。
「<ガード・ブロック>の効果で戦闘ダメージをゼロにして、カードを1枚ドローするぜ」
「防ぎましたか。一応僕が選んだ人材なのだから、これくらいはやってもらわないと困りますがね。モンスターをセットして、ターンを終了します」
 砂神のターンが終了し、創志はふう、と安堵のため息を吐く。それからすぐに表情を曇らせ、
「悪い……しくじった。大見得切ったのに、カッコ悪りいな、俺」
 申し訳なさそうに呟く。
「……そうでもない。<デモンズ・チェーン>を使わせたのは大きい。これで、奴の場に伏せカードはないからな」
「輝王……」
 フォローを入れた青年は、創志に向かって微笑を浮かべて見せる。
 輝王は、そのまま創志から治輝に視線を流すと、治輝の場の伏せモンスターを見ながら口を開いた。
「――時枝。ひとつ訊きたいことがある」
「……何だ?」
「先程の<威嚇する咆哮>発動のことだ。お前の伏せモンスターは、破壊されると困るようなカードか?」
「いや……そういうわけじゃない。けど、破壊されることで効果を発動するようなモンスターでもないから、残せるに越したことはないって程度だ」
 治輝の伏せモンスターは、<ミンゲイドラゴン>と<ガード・オブ・フレムベル>。前者はドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する際に2体分のリリースとすることができるモンスターで、後者はレベル1のチューナーモンスターだ。<ミンゲイドラゴン>は蘇生効果を持っているが、<ガード・オブ・フレムベル>が残った場合は効果を使用することができない。どちらのモンスターも戦闘破壊されることで大きな損失を被るわけではないが、フィールドに残るならその分選択肢の増えるモンスターだ。
「なるほどな。了解した」
 そう言って頷いた輝王は、視線を前に戻す。何か考えがあるようだ。

【砂神LP6000】 手札5枚
場:邪神ドレッド・ルート(攻撃)、裏守備モンスター2体、冥界の宝札
【輝王LP3000】 手札1枚
場:AOJカタストル(攻撃)、機甲部隊の最前線、伏せ2枚
【治輝LP4000】 手札5枚
場:裏守備モンスター2体、伏せ1枚
【創志LP1250】 手札2枚
場:マシン・デベロッパー(カウンター8)