にわかオタクの雑記帳

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にわかのMCU鑑賞記 エンドゲームまで辿り着いた

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長きに渡り掲げた看板を、一度降ろそう――


完全網羅とはいきませんでしたが、ほぼ全作品を鑑賞してのアベンジャーズ/エンドゲーム」
ちゃんと全部見ろ、と忠告してくれた当時のファンたちに、まずは感謝を述べたいです。
アベンジャーズだけとか、アイアンマンだけとか、つまみ食いしての鑑賞では、この映画の面白さは半分も伝わらなかったことでしょう。

 

MCUが積み上げてきた「歴史」を表現した作品。
駆け足で追いかける形にはなってしまいましたが……
ひとつのゴールを迎えたので、感想メモを残したいと思います。

 

以下、ネタバレ注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


語りたいのは一点。アベンジャーズを支えてきた2つの柱について。

 

 

 

 

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ひとつは、トニー・スタークことアイアンマン。


これまで何度も書いたけど、彼は常人離れした天才でありながら、どうしようもなく人間味に溢れていた。
だから、死の恐怖に怯え自暴自棄になり、未知なる敵の脅威に震え、両親の仇を取ろうとした。
多くのものを失った現実を辛くも受け入れ、ようやく手に入れた安息の地。愛する妻と娘。
それを守りたい、手放したくないと、新たな希望を前にしても一度はそれを蹴る。
戦う手段を持っていたとしても、怖いものは怖い。
何億人の人類を救えることが出来たとしても、大切な家族と別れる危険は犯せない。
普通の人なら誰もが抱く、当たり前の感情だ。
弱さを軽口で誤魔化し、自分を強いヒーローだと見せようとする……
まるで、強靱なスーツは弱い自分を隠す鱗だとでも言うように。
そんなトニーだからこそ、とても魅力的に見えた。好きになれたのだと思う。

 

けれど、彼は天才だった。

 

幸か不幸か、タイムトラベルの理論を完成させてしまい、ヒーローとして舞い戻る理由を作ってしまう。
迷うトニーに、今まで何度も「危険なことはやめて」と涙ながらに訴えていた妻ペッパーは、最後の最後で背中を押す。押してしまう。
そして、彼は「トニー・スタークとして生きること」ではなく、「アイアンマンを貫くこと」を選択する。
トニーが弟子であるピーターに説いた、ヒーローになれる理由。
ただの人間でありながら、「その一線」を何度も超えてきたトニーは、まごうことなきヒーローであり、最後までアイアンマンであり続けることを選んだ結果、命を落とすことになる。

 

決着を付けるためにインフィニティストーンの力を使い、サノスの軍勢を彼もろとも全て消し去る。
もはや話し合いの余地はなかったとはいえ、それは自分たちが受けた仕打ちの意趣返し。
大切な人たちを守るという自らの目的のため、サノスと同じく大量虐殺を行ったのだ。
誰もが、トニーの行動を英雄とたたえるだろう。
けれど、人間である彼は、きっと多くの命を奪った事実に耐えられなくなる。いつか押し潰されてしまう。
そう思うと、ヒーローとして命を散らした最後は、彼にとっても救いであったんじゃないかと思ってしまう。
もちろん、トニー・スタークには生きていて欲しかった。トニーの死は悲しかった。
けれど、アイアンマンの看板を降ろすには、これが最適だったのかもしれない。
志は、きっとスパイダーマンに伝わっただろうから。

 

 

 

 

 

 

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もうひとつの柱は、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース


彼は最後まで自分の信じた道を突き進み、救える命があるなら迷わない高潔な人だった。
それでも、「インフィニティ・ウォー」のあとは消えたサムの代わりにカウンセリングを行うなど、情にも溢れていた。
自らを犠牲にし続け、先陣を切ることで彼の背中を見た人に勇気を与えられるように。
キャプテン・アメリカの人生は、他人のために捧げたといっても過言じゃないかもしれない。
そんな彼は、全ての戦いが終わったあと、ようやく「スティーブ・ロジャース」としての人生を生きる。
失ってしまった70年を取り戻し、満足げに盾を次代のヒーローに託す。
サノスとの決戦時、「エイジ・オブ・ウルトロン」の時は持ち上げられなかったソーのハンマーを使いこなしたのは、これがキャプテン・アメリカ最後の戦いだと覚悟していたからかもしれない。
タイムトラベルの末に取り戻した、多くの仲間たち。
自らの「アベンジャーズ、アッセンブル!」の号令に、呼応したたくさんのヒーローたちを見て――
自分がいなくても、もう大丈夫だと安堵したのかもしれない。
失い続けてきた男が、役目を終えて、取り戻しに帰る。
キャプテン・アメリカには、いつまでもアベンジャーズの先頭に立っていてほしい。
けれど、そろそろキャプテン・アメリカの看板を降ろす時なのかもしれない。
現代を生きる人々に、彼の志は伝わっただろうから。

 

 


アベンジャーズ」は全知全能の神様じゃない。
彼らは、常人よりは強い「人間」であり、神の血を引くソーも万能じゃない。
だから、完全無欠のハッピーエンドをたぐり寄せることはできない。
それでも、もがきにもがき続け、何かを失おうとも前に進んだ結果、最良の未来に辿り着いた。
傷跡が残るからこそ、噛みしめられる幸せもある。
「エンドゲーム」は、あえてこの締め方を選んだのだと納得できる作品だった。
たくさんの感動シーンや、胸熱シーンがあったけれど。
終わる道があり、続く道があり、新たに始まる道があったけれど。
今は、ただこの言葉を贈りたい。

 

 


ありがとう、アイアンマン。

 

ありがとう、キャプテン・アメリカ

 

――どうか、安らかに。