にわかオタクの雑記帳

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遊戯王 New stage サイドM 8-6

 レボリューションのメンバー全員がサイコデュエリストであるわけではないだろう。
 しかし、セキュリティ本部への襲撃を行う人員には――当然、力を持っているものが選ばれるはずだ。「氷の魔女」クラスの力があれば、下手な兵器よりも脅威になりうる。
 そして、おそらくこの貨物船に乗っているのは、本部襲撃に参加するメンバー。
「……こんな俺でも、壁くらいにはなる。文字通り、肉の壁にな」
 自嘲気味に語りだしたジェンスの表情は、ほんの少し曇っていた。
「今の俺はまだ、レビンに必要とされている。俺がここを去るのは――レビンが俺を必要としなくなったときだ。それまでは、どんな役割であろうと、あいつの力になる。そう決めた。例え、あいつが道を踏み外していたとしても」
「それならば……」
 何故レビンを止めないのか、と問おうとした切の言葉が途切れる。
 殺気ではない。
 強い意志の光を宿したジェンスの瞳が、少女の口をつぐませた。
「あいつの邪魔をするお前たちは、ここで排除させてもらう……カードを2枚セットして、ターンエンドだ」
 心の奥に秘めた決意を垣間見せながら、ジェンスのターンが終了する。

【輝王LP1600】 手札4枚
場:伏せ1枚
【切LP3600】 手札5枚
場:なし
【ジェンスLP8000】 手札2枚
場:X-セイバー アナペレラ(攻撃)、X-セイバー ガラハド(攻撃)、XX-セイバー フォルトロール(攻撃)、伏せ2枚

「……わしのターンじゃな。ドロー」
 ここからは、輝王と切、交互にターンが回る。現在、両者のフィールドにモンスターはいない。<X-セイバー>の驚異的な展開力を防げるかは、切の<六武衆>にかかっているが……。
「<六武衆ニサシ>を召喚じゃ!」
 輝王とのデュエルでも活躍した、深緑の鎧を纏った武士が二刀を振るう。

<六武衆―ニサシ>
効果モンスター
星4/風属性/戦士族/攻1400/守 700
自分フィールド上に「六武衆-ニサシ」以外の
「六武衆」と名のついたモンスターが存在する限り、
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
このカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の
「六武衆」と名のついたモンスターを破壊する事ができる。

「そして、このカードは自分フィールド上に<六武衆>と名のついたモンスターがいるとき、手札から特殊召喚できる! 行くのじゃ! <六武衆の師範>!」
 張り詰めた空気を我がものとするように、隻眼を開いた老将が<六武衆ニサシ>の隣に並ぶ。

<六武衆の師範>
効果モンスター
星5/地属性/戦士族/攻2100/守 800
自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが
表側表示で存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが相手のカードの効果によって破壊された時、
自分の墓地に存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を手札に加える。
「六武衆の師範」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

「まだじゃぞ! 永続魔法<一族の結束>を発動! このカードの効果で、わしのモンスターは攻撃力が800ポイント上昇する!」

<一族の結束>
永続魔法
自分の墓地に存在するモンスターの元々の種族が
1種類のみの場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
その種族のモンスターの攻撃力は800ポイントアップする。

 この変則タッグデュエルでは、フィールド、及び墓地は個別。そのため、「墓地に存在するモンスターの元々の種族が1種類のみの場合」を条件とする<一族の結束>も、問題なく発動できる。
「<一族の結束>を使うために<イロウ>への攻撃を誘ったのか……やるな、切」
「お主の足を引っ張っておれんからの! 戦闘じゃ! <六武衆ニサシ>で<X-セイバー ガラハド>を攻撃!」
 両腕を広げた深緑の武士が、仇敵目がけて大地を駆ける。
 魚顔の戦士も銛を構えるが、先ほどよりも動きが鈍いのは明白だった。
「くっ……<ガラハド>は相手モンスターに攻撃されるとき、攻撃力が500ポイントダウンする……!」
 <六武衆ニサシ>の攻撃力は<一族の結束>の効果を受け、2200。<X-セイバー ガラハド>の1300を遥かに上回っている。
「双竜撃、一の太刀!」
 薄緑色に発光した刃が、金色の鎧を切り裂き、<X-セイバー ガラハド>が戦場から脱落する。
「ぬっ……」

【ジェンスLP8000→7100】

「<ニサシ>は他の<六武衆>がいるとき、2回攻撃が可能じゃ! 次いで<アナペレラ>を攻撃!」
 くるりと身を反転させた<六武衆ニサシ>は、相手に隙を与えないまま次の標的へと跳ぶ。
 <X-セイバー アナペレラ>の剣が鞭のようにしなり、<六武衆ニサシ>に襲いかかる。
 が、右手の長刀でそれを跳ね上げると、左手の小太刀を女戦士に向けて突き出す。
「二の太刀!」
 刃が胸を貫き、<X-セイバー ガラハド>の後を追うように、<X-セイバー アナペレラ>も砕ける。

【ジェンスLP7100→6800】

「よし!」
 一挙に2体のモンスターを撃破した切は、ガッツポーズを見せる。
 ジェンスの場に伏せられた2枚の伏せカードを警戒しつつも、輝王は立ち直りつつある切を見て、安堵する。この調子なら、いけるはずだ。
「最後じゃ! <六武衆の師範>で<XX-セイバー フォルトロール>を攻撃ぃ!」
 畳みかけるように、今度は隻眼の老将が<XX-セイバー フォルトロール>との距離を詰める。
「清流一閃!」
 切の掛け声と共に、瞬速の居合が放たれる。
「残念だが、攻撃する順番を間違えたようだな。罠カード<身剣一体>を発動!」
「な……!」
「<身剣一体>は<X-セイバー>が1体のときのみ発動でき、攻撃力が800ポイントアップする装備カードとなる」

<身剣一体>
通常罠
自分フィールド上に存在するモンスターが、
表側表示の「X-セイバー」と名のついた
モンスター1体のみの場合に発動する事ができる。
発動後このカードは攻撃力800ポイントアップの装備カードとなり、
そのモンスター1体に装備する。
装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 <一族の結束>と<身剣一体>の上昇値は同じ。つまり、元々の攻撃力で戦闘を行うことと同義である。
 <六武衆の師範>が放った一刀が、<XX-セイバー フォルトロール>の大剣に受け止められる。幅広の刃がわずかに削れたところで、老将の刀は止まった。
「反撃だ。やれ、<フォルトロール>――ライトニング・エンド!」
 雷光を纏った大剣が無造作に振るわれ、<六武衆の師範>が砕け散る。
「しまった! わしの<師範>が……!」

【切LP3600→3300】

「<身剣一体>を装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、デッキからカードを1枚ドローできる」
 大量展開で失った手札を補充――無駄のない戦術だ。
 切の<六武衆>は、力を合わせて真価を発揮するカード群。<一族の結束>があるとはいえ、<六武衆ニサシ>が単騎で残っても力を出し切れない。
「……カードを1枚セットして、わしのターンは終了じゃ」
 声のトーンが下がった切の場に、伏せカードが現れる。
「すまぬ、輝王。仕留め切れなかった」
 悔しげに言った切が、うつむいて下唇を噛む。
「十分だ。頭を切り替えるぞ。次のターンをしのいで、反撃に移る」
「……うむ」

【輝王LP1600】 手札4枚
場:伏せ1枚
【切LP3300】 手札2枚
場:六武衆ニサシ(攻撃)、一族の結束、伏せ1枚
【ジェンスLP6800】 手札3枚
場:XX-セイバー フォルトロール(攻撃・身剣一体装備)、伏せ1枚