にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 8-12

 彼の本心を聞き出そうとしたわけではない。
 だが、このターンの初めにジェンスが見せた表情――昔を懐かしむようなそれが、輝王の心に引っかかっていた。
 戦いの最中で、過去を思い出す。それは輝王も経験済みのことだ。
 その過去が、何らかの心境の変化を起こしていたとしたら――
「……慎重にならざるを得ないほど、お前たちを買っているということだ。バトル。<X-セイバー エアベルン>で輝王を直接攻撃」
 主人の命を受け、ライオンの戦士が雄叫びを上げながら猛進する。
 両腕に装着した爪が、輝王の生命を刈り取らんと迫るが――
 ガギッ! と。
 鈍い金属音が響き、<X-セイバー エアベルン>の爪が「何か」に阻まれる。
「ッ!?」
「――<XX-セイバー ヒュンレイ>の効果で破壊された俺の伏せカード……<黄金の邪神像>はセットされた状態で破壊されると、自分フィールド上に邪神トークンを生成する」
 守備表示で特殊召喚されていた石像が、ライオンの戦士の攻撃を受け止めていた。

<黄金の邪神像>
通常罠
セットされたこのカードが破壊され墓地に送られた時、
自分フィールド上に「邪神トークン」(悪魔族・闇・星4・攻/守1000)を
1体特殊召喚する。

「なるほど。お前の伏せカードを狙ったのは失敗だったようだな……だが!」
 石の中に突き刺さった爪を、腕力だけで強引に動かす<X-セイバー エアベルン>。
 やがて石像にひびが入り、粉々に砕け散る。
「これで、今度こそお前たちの場に壁はいない。<XX-セイバー ヒュンレイ>で直接攻撃! 消えてもらうぞ……輝王正義!!」
 語気を強めたジェンスが、攻撃を宣言する。
 サーベルを構えた剣士が、標的に向かって疾走する。
 <黄金の邪神像>によって生まれた即席の壁――邪神トークンが防げるのは1発のみ。モンスターどころかセットカードもなく、正真正銘輝王のフィールドは空だ。仮に手札に<AOJスパイダー・ガードナー>がいたとしても、光属性モンスターの直接攻撃以外では効果を発揮できない。
 だが、輝王の瞳に諦めの色は浮かんでいない。
「――リバースカードオープン! 罠カード発動じゃ!」
 分かっていたからだ。
 <セイバー・スラッシュ>を使われたとき。<XX-セイバー ヒュンレイ>をシンクロ召喚されたとき。
 隣に立つ少女は、決してうろたえなかった。
 それはつまり、何らかの対抗手段があることを意味している――!
「<究極・背水の陣>! このカードは、自分のライフポイントを100にすることで、墓地に存在する<六武衆>を可能な限り特殊召喚する!」

<究極・背水の陣>
通常罠
自分のライフポイントが100ポイントになるようにライフポイントを払って発動する。
自分の墓地に存在する「六武衆」と名のついたモンスターを
自分フィールド上に可能な限り特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。
ただし、フィールド上に存在する同名カードは特殊召喚できない。


【切LP1300→100】

 駆ける<XX-セイバー ヒュンレイ>の前に、ゆらりと影が生まれ、散っていった侍たちが突如として現れる。<六武衆の師範>、<六武衆イロウ>、<六武衆ニサシ>、<六武衆ヤリザ>――それぞれ手にした刀で防御を固め、相手の攻めを受け止める構えだ。
「切!」
「輝王はやらせんぞ!」
 八重歯をむき出しにして、切が吠える。
「チッ……輝王をかばうか。なら<六武衆の師範>に攻撃対象を変更!」
 <XX-セイバー ヒュンレイ>の刃が、戦場に舞い戻ったばかりの老将を容赦なく切り裂く。
「ぬく……じゃが、特殊召喚された<六武衆>は皆守備表示じゃ。ダメージはないぞ」
「……分かっている。カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

【輝王LP1600】 手札2枚
場:なし
【切LP100】 手札1枚
場:六武衆イロウ(守備)、六武衆ニサシ(守備)、六武衆ヤリザ(守備)
【ジェンスLP5000】 手札3枚
場:XX-セイバー ヒュンレイ(攻撃)、X-セイバー エアベルン(攻撃)、伏せ1枚