遊戯王 New stage サイドM 8-13
ジェンスのエンド宣言を聞き、切が安堵の息を吐く。
「ふう。何とか、このターンはしのげたの」
「失ったものも多いがな。しかし、2人とも生き残ることが出来た……お前のおかげだ」
「なんじゃ気持ち悪い。お主がわしのことを褒めるなど……体がかゆくなりそうじゃ」
「…………」
「じょ、冗談じゃよ!」
輝王の顔がよっぽど不機嫌に見えたのか、切が慌てて取り繕う。
……確かに、相手のことを口に出して褒めるというのは、自分の柄ではないな。
そんなことを考えながら、輝王はカードをドローする。
――もしこれがシングル戦だった場合、このまま何もできずに敗北してしまう手札だ。
なら、パートナーのサポートに回るしかないだろう。
「後は任せるぞ。カードを3枚セットして、ターンエンドだ」
「輝王!? わしの冗談でそんなに傷ついたのかのう!? いじわるはやめるのじゃ!」
フィールドに現れた3枚のカードを見て、切が目を泳がせる。
「……そんなわけないだろう」
<エレメントチェンジ>が潰された今、逆転の可能性が高いのは切の<六武衆>だ。残りライフは風前の灯火とはいえ、モンスターも揃っている。
「そ、そうかの? ならよいが……」
輝王がすべきことは、切に次のターンを回すこと――
「ふう。何とか、このターンはしのげたの」
「失ったものも多いがな。しかし、2人とも生き残ることが出来た……お前のおかげだ」
「なんじゃ気持ち悪い。お主がわしのことを褒めるなど……体がかゆくなりそうじゃ」
「…………」
「じょ、冗談じゃよ!」
輝王の顔がよっぽど不機嫌に見えたのか、切が慌てて取り繕う。
……確かに、相手のことを口に出して褒めるというのは、自分の柄ではないな。
そんなことを考えながら、輝王はカードをドローする。
――もしこれがシングル戦だった場合、このまま何もできずに敗北してしまう手札だ。
なら、パートナーのサポートに回るしかないだろう。
「後は任せるぞ。カードを3枚セットして、ターンエンドだ」
「輝王!? わしの冗談でそんなに傷ついたのかのう!? いじわるはやめるのじゃ!」
フィールドに現れた3枚のカードを見て、切が目を泳がせる。
「……そんなわけないだろう」
<エレメントチェンジ>が潰された今、逆転の可能性が高いのは切の<六武衆>だ。残りライフは風前の灯火とはいえ、モンスターも揃っている。
「そ、そうかの? ならよいが……」
輝王がすべきことは、切に次のターンを回すこと――
【輝王LP1600】 手札0枚
場:伏せ3枚
【切LP100】 手札1枚
場:六武衆イロウ(守備)、六武衆ニサシ(守備)、六武衆ヤリザ(守備)
【ジェンスLP5000】 手札3枚
場:XX-セイバー ヒュンレイ(攻撃)、X-セイバー エアベルン(攻撃)、伏せ1枚
場:伏せ3枚
【切LP100】 手札1枚
場:六武衆イロウ(守備)、六武衆ニサシ(守備)、六武衆ヤリザ(守備)
【ジェンスLP5000】 手札3枚
場:XX-セイバー ヒュンレイ(攻撃)、X-セイバー エアベルン(攻撃)、伏せ1枚
「……随分とお気楽なムードになったものだな。ドロー」
軽くなった空気を再び引き締めるかのように重い言葉を吐いたジェンスが、デッキからカードを引く。
「魔法カード<戦士の生還>を使う。俺は墓地に眠る戦士族モンスター……<XX-セイバー フォルトロール>を手札に加え、そのまま特殊召喚」
軽くなった空気を再び引き締めるかのように重い言葉を吐いたジェンスが、デッキからカードを引く。
「魔法カード<戦士の生還>を使う。俺は墓地に眠る戦士族モンスター……<XX-セイバー フォルトロール>を手札に加え、そのまま特殊召喚」
<戦士の生還> 通常魔法 自分の墓地に存在する戦士族モンスター1体を選択して手札に加える。
<XX-セイバー フォルトロール> 効果モンスター 星6/地属性/戦士族/攻2400/守1800 このカードは通常召喚できない。 自分フィールド上に「X-セイバー」と名のついたモンスターが 表側表示で2体以上存在する場合のみ特殊召喚する事ができる。 1ターンに1度、自分の墓地に存在するレベル4以下の 「X-セイバー」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
雷撃と共に、赤き闘士が戦場へと帰還する。
「ぬぬ。厄介なモンスターが戻ってきたものじゃ」
<X-セイバー>の展開力を支える<XX-セイバー フォルトロール>。散々攻撃をしのぎ、カードを消費したこの状況では非常に難敵だ。
「<フォルトロール>の効果を発動。墓地の<X-セイバー ガラハド>を特殊召喚する」
<XX-セイバー フォルトロール>の大剣に導かれ、魚顔の戦士が眠りから覚める。
「ぬぬ。厄介なモンスターが戻ってきたものじゃ」
<X-セイバー>の展開力を支える<XX-セイバー フォルトロール>。散々攻撃をしのぎ、カードを消費したこの状況では非常に難敵だ。
「<フォルトロール>の効果を発動。墓地の<X-セイバー ガラハド>を特殊召喚する」
<XX-セイバー フォルトロール>の大剣に導かれ、魚顔の戦士が眠りから覚める。
<X-セイバー ガラハド> 効果モンスター 星4/地属性/戦士族/攻1800/守 800 このカードは相手モンスターに攻撃する場合、 ダメージステップの間攻撃力が300ポイントアップする。 このカードは相手モンスターに攻撃された場合、 ダメージステップの間攻撃力が500ポイントダウンする。 このカードが攻撃対象に選択された時、自分フィールド上に存在するこのカード以外の 「セイバー」と名のついたモンスター1体をリリースする事で、その攻撃を無効にする。
この段階で、ジェンスのフィールドには4体の<X-セイバー>。さらに通常召喚権を残している。5体目のモンスターを召喚されれば、3体の<六武衆>では受け止めきれず、このターンで輝王と切のライフは尽きる。
だが。
「――バトルフェイズに入る」
「んむ!?」
ジェンスがモンスターを召喚しなかったことに切が驚いているが、輝王は気付いていた。
前回のジェンスのターン……手札にモンスター、または<戦士の生還>があったのなら、<セイバー・スラッシュ>の効果で、輝王たちのカードを残さず破壊出来ていた。それをしない理由はない。
つまり、「しなかった」のではなく、「できなかった」のだ。
「まずは<ヒュンレイ>で<イロウ>を攻撃。風雅演舞!」
サーベルを構えた剣士が、<六武衆の師範>に続く獲物を刈り取らんと迫る。
「罠カード起動! <献身なる正義>! このカードを発動したターン、自分フィールド上のモンスターは戦闘では破壊されない!」
だが。
「――バトルフェイズに入る」
「んむ!?」
ジェンスがモンスターを召喚しなかったことに切が驚いているが、輝王は気付いていた。
前回のジェンスのターン……手札にモンスター、または<戦士の生還>があったのなら、<セイバー・スラッシュ>の効果で、輝王たちのカードを残さず破壊出来ていた。それをしない理由はない。
つまり、「しなかった」のではなく、「できなかった」のだ。
「まずは<ヒュンレイ>で<イロウ>を攻撃。風雅演舞!」
サーベルを構えた剣士が、<六武衆の師範>に続く獲物を刈り取らんと迫る。
「罠カード起動! <献身なる正義>! このカードを発動したターン、自分フィールド上のモンスターは戦闘では破壊されない!」
<献身なる正義>(けんしんなるせいぎ) 通常罠(オリジナルカード) このカードを発動したターン、自分フィールド上のモンスターは戦闘では破壊されない。 (ダメージ計算は適用する)
「――輝王!」
この変則タッグデュエルでは、パートナーのカードを対象に効果を発動できる。<献身なる正義>は戦闘ダメージまでは防げないが、守備表示なら問題はない。
緑の光を放つ障壁が生まれ、<XX-セイバー ヒュンレイ>の刃を防ぐ。
剣士はバリアを突き破ろうとするが、それは叶わない。
「これでは後続の攻撃も無意味、か。まだ攻撃を避ける種を隠していたとは驚きだが、それだけでは勝てんぞ」
「――分かっている」
だからこそ、切の<六武衆>を守ったのだ。
彼女の侍たちが、この劣勢を引っ繰り返してくれることを信じて。
「フッ……カードを1枚伏せ、ターンを終了しよう」
輝王の表情から何かを感じ取ったのか、ジェンスが微笑を浮かべる。
その瞳は、過去を懐かしむ郷愁の色をたたえていた。
(ジェンス……お前は……)
この変則タッグデュエルでは、パートナーのカードを対象に効果を発動できる。<献身なる正義>は戦闘ダメージまでは防げないが、守備表示なら問題はない。
緑の光を放つ障壁が生まれ、<XX-セイバー ヒュンレイ>の刃を防ぐ。
剣士はバリアを突き破ろうとするが、それは叶わない。
「これでは後続の攻撃も無意味、か。まだ攻撃を避ける種を隠していたとは驚きだが、それだけでは勝てんぞ」
「――分かっている」
だからこそ、切の<六武衆>を守ったのだ。
彼女の侍たちが、この劣勢を引っ繰り返してくれることを信じて。
「フッ……カードを1枚伏せ、ターンを終了しよう」
輝王の表情から何かを感じ取ったのか、ジェンスが微笑を浮かべる。
その瞳は、過去を懐かしむ郷愁の色をたたえていた。
(ジェンス……お前は……)
「わしのターン! ドロー!」
このドローが、勝敗を分かつといっても過言ではない。
切が引いたカードは――
「…………っ」
少女の指先が、震えていた。
このドローが、勝敗を分かつといっても過言ではない。
切が引いたカードは――
「…………っ」
少女の指先が、震えていた。