にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドS 3-9

□タッグデュエルルール
・フィールド、墓地は個別。
・パートナーのモンスターをリリースしたり、融合・シンクロ素材とすることはできない。
・「自分フィールド上のモンスターを対象にした」魔法・罠・モンスター効果は、パートナーのモンスターも対象にできる。ただし、「自分フィールド上」全てに影響を及ぼす永続効果などは、パートナーのモンスターには適用されない。
・パートナーへのダイレクトアタックは、自分のモンスターでかばうことができる。
・ライフポイントは共通で4000ポイント。

「――ってところかな。そっちはデッキ同士のシナジーなんて皆無だろうし、これくらいのハンデはやるよ」
「さすがアニキ。強者の余裕だね」
 デュエルが始まる前に、隆司が一通りルールの説明をする。
「タッグデュエル……」
 紫音にとっては初めての経験だが、アカデミアのクラスメイトやプロデュエリストのタッグデュエルを観戦したことはある。
 フィールドや墓地が個別なのにライフポイントだけが共通とは、変則的なルールだ。通常なら、個別か共通かどちらかに統一するはずだが。
「あいつらはタッグデュエル前提でデッキを組んでるところがあるからな。永続効果が適用されないことは正直ありがたい。……あいつらのデッキが俺の記憶通りなら、だが」
「ライフが共通なのは、さっさとケリつけたいってことかしら」
「だろうな」
 紫音の問いに朧が頷く。お互い同じようなことを考えていたようだ。
 ハンデをもらうのは癪だが、その分圧倒的大差で勝ってやればいい。ハンデをつけたのを後悔するくらいに。
「……んで? あんたはなんで負け犬って言われてるのよ?」
「そっちこそ、その癖っ毛は本当にファッションか? 朝セットしてるの見たことないんだが」
「…………」
「…………」
「とある大女優が言ってたわ。女は秘密を着飾って美しくなるんだって」
「そうか。なら、この件は不干渉でいこうぜ」
 2人の利害が一致したところで、本格的にデュエルがスタートする。
「俺のターン!」
 ターンは朧、隆司、紫音、虎子の順で回る。フィールドが個別となっているため、1ターン目は攻撃ができないルールだ。
「<ヴァイロン・ヘキサ>を召喚! このカードが召喚に成功した時、手札からレベル3以下の<ヴァイロン>を特殊召喚できるぜ。<ヴァイロン・キューブ>を特殊召喚!」

<ヴァイロン・ヘキサ>
効果モンスター(オリジナルカード)
星4/光属性/天使族/攻1600/守 500
このカードが召喚に成功した時、手札からレベル3以下の「ヴァイロン」と名のついたモンスターを
特殊召喚する事ができる。

<ヴァイロン・キューブ>
チューナー(効果モンスター)
星3/光属性/機械族/攻 800/守 800
このカードが光属性モンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
自分のデッキから装備魔法カード1枚を選択し、手札に加える事ができる。

 機械仕掛けの天使という言葉を連想させる白い装甲のモンスター<ヴァイロン・ヘキサ>が現れ、続けてサイコロのような立方体に手足がくっついた<ヴァイロン・キューブ>が特殊召喚される。紫音とのデュエルでも出てきたモンスターたちだ。
(ってことは、狙いは当然――)
「行くぞ! レベル4の<ヘキサ>にレベル3の<キューブ>をチューニング! 遥か天上の観測者! 堅牢なる盾となり、罪を白日のもとに晒せ――シンクロ召喚! 守護せよ、<ヴァイロン・デルタ>!」
 紫音の読み通り、朧のフィールドをシンクロ召喚のエフェクト光が駆け抜ける。
 しかし、現れたシンクロモンスターは紫音の見たものと違う。上半身は鋭角的な装甲を纏った人型で、下半身には橙色のクリスタルが伸び、それを囲うように大きさの違う3つのリングが浮遊している。背部には天使である証ともいえる翼と、体全体を包み込むような大きさの「Δ」の形をしたオブジェクトが浮かんでいる。下半身のリングとΔ型のオブジェクトから力場のようなものを発生させ、宙に浮かんでいるようだ。

<ヴァイロン・デルタ>
シンクロ・効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻1700/守2800
チューナー+チューナー以外の光属性モンスター1体以上
このカードが表側守備表示で存在する場合、
自分のエンドフェイズ時に自分のデッキから
装備魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。

「<ヴァイロン・デルタ>を守備表示で召喚か……わざわざシンクロしてまで壁モンスターを出すなんて、朧らしくないじゃん」
「言ってろ。<ヴァイロン・キューブ>の効果発動。このカードが光属性モンスターのシンクロ召喚に使用され墓地に送られた場合、デッキから装備魔法を1枚選択し手札に加えることができる。俺は<ヴァイロン・コンポーネント>を手札に加えるぜ」
 隆司の挑発を軽く受け流し、朧は効果の処理を進める。
 <ヴァイロン・コンポーネント>……確か、<ヴァイロン>と名のついたモンスターのみに装備可能で、装備したモンスターに貫通効果を付与するカードだったはずだ。
「このままターンを終了する。エンドフェイズ、<ヴァイロン・デルタ>が表側守備表示で存在するため、デッキから装備魔法を1枚選択して手札に加える。<巨大化>を選択し、手札に加えて終了だ」
 <ヴァイロン>の強さを引き出すための装備魔法カードを2枚も手札に加え、朧のターンが終わる。
 上々の滑り出しと言っていいだろう。見れば、朧の顔が自然と緩んでいる。
(……朧が双子のデッキを知ってるってことは、その逆もしかりってことよね。<デルタ>をシンクロ召喚したことは相手も予想してなかったみたいだけど、手の内が知られてるってことは念頭に置いておくべき。朧を過信しすぎるのは危険……なはず)
 朧と双子がどの程度の知り合いだったのかは知らないが、頻繁にデュエルをするような間柄だったとしたら、すでに<ヴァイロン>は対策されている可能性がある。
(……お荷物にならなきゃいいけど)
 紫音のジト目に気付いた朧が「何だよ?」と首をかしげるが、無視した。

【朧・紫音LP4000】
朧:手札6枚
場:ヴァイロン・デルタ(守備)
紫音:手札5枚
場:なし

【隆司・虎子LP4000】
共に手札5枚 場:なし

「それじゃ、俺のターンだぜっ!」
「アニキがんばってー!」
「応援サンキューな、虎子! 大好きだぜ!」
「わたしもアニキのこと大好き!」
「初っ端からそれやめろ! うぜぇ!」
 いきなりバカップル漫才をかました双子の兄妹に、朧のツッコミが飛ぶ。ちなみに、紫音は呆れ果てたのでスルーすることにした。
「俺は<ナチュル・マンティス>を召喚だ!」
 緑の召喚円から飛び出したのは、絵本に出てきそうなデフォルメされたカマキリだった。触角の先には桃色の花が咲いており、本来なら獲物を狩り取るために研ぎ澄まされている鎌も、青々とした葉に様変わりしている。

<ナチュル・マンティス>
効果モンスター
星4/地属性/昆虫族/攻1700/守1500
相手がモンスターの召喚に成功した時、
手札から「ナチュル」と名のついたモンスター1体を
墓地へ送る事で、そのモンスターを破壊する。

「や、やだ。なにあのモンスター。かわいい……」
「ん? どうした紫音。何か言ったか?」
「――っ! 何でもない!」
 慌てて首を横に振る。無意識のうちに本音が口からこぼれてしまった。
 「清浄の地」のメンバーが使うような禍々しさはなく――子供、特に女の子が好きそうな可愛らしい姿形のモンスターだった。
 紫音の熱視線に、<ナチュル・マンティス>が不思議そうに小首をかしげる
(ちょ、今のは反則じゃない!?)
 キラキラと光る水色の瞳に釘づけになってしまう。このまま心を奪われてしまいそうだ。
(……ってダメじゃないあたし! デュエルに集中しないと! でもかわいい! ぬいぐるみ欲しい!)
 一人で「ぐああ」と悶絶する紫音は、朧の気の毒そうな視線に気づかない。
「ふっふっふ。もじゃもじゃは<マンティス>の可愛さにメロメロみたいだな。だがこいつは可愛いだけじゃなくて効果も強力だぜ! 相手がモンスターを召喚した時、手札の<ナチュル>を墓地に送ることで、そのモンスターを破壊できるんだぜ!」
「つまり、<ナチュルの落とし穴>ってことだねアニキ!」
「その例えはあんまり上手くないぞ虎子! でも好きだ!」
 上手くはないが、意味は十分伝わった。相手が攻撃力1000以上のモンスターを召喚・反転召喚した時、そのモンスターを破壊する罠カード<落とし穴>……<ナチュル・マンティス>は、その効果を内封したモンスターだということだ。
「カードを2枚伏せる。ターンエンドだ!」

【朧・紫音LP4000】
朧:手札6枚
場:ヴァイロン・デルタ(守備)
紫音:手札5枚
場:なし

【隆司・虎子LP4000】
隆司:手札3枚
場:ナチュル・マンティス(攻撃)、伏せ2枚
虎子:手札5枚
場:なし

「あたしのターン」
 <ナチュル・マンティス>が存在する以上、召喚するモンスターは慎重に選ばなければならない。
 6枚の手札を眺める。<リチュア>の戦術を展開していく上で重要な儀式魔法カードが欠けていた。
(下手に動かない方が賢明かな……)
 そう思った紫音は、一番右端にあった<リチュア・エリアル>を選び取る。個人的な感情からすれば使いたくないカードだが、この場には最適だ。
「モンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンドよ」
「壁モンスターばっかりでつまんないぞ! もっとガンガン来いよ!」
「そうだそうだー! つまんないぞもじゃもじゃー!」
「トコトンムカつくガキ共ね……!」
「だろ? 昔より悪化してやがるから始末に負えない」
 今すぐデュエルを中断してひっぱたいてやりたかったが、ここもこらえる。吠え面をかかせるならデュエルでないと意味がない。

【朧・紫音LP4000】
朧:手札6枚
場:ヴァイロン・デルタ(守備)
紫音:手札3枚
場:裏守備モンスター、伏せ2枚

【隆司・虎子LP4000】
隆司:手札3枚
場:ナチュル・マンティス(攻撃)、伏せ2枚
虎子:手札5枚
場:なし