にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドS 2-9

 <リチュア・チェイン>の効果でデッキトップを入れ替えたため、ドローするカードは分かっている。
「あたしは手札の<シャドウ・リチュア>を捨てて効果発動! デッキから<リチュア>と名のついた儀式魔法を手札に加えるわ。あたしは<リチュアの儀水鏡>を選択」

<シャドウ・リチュア>
効果モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1200/守1000
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、
このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用する事ができる。
また、手札からこのカードを捨てる事で、
自分のデッキから「リチュア」と名のついた儀式魔法カード1枚を手札に加える。

「お? 儀式モンスターを召喚してくるか?」
「黙って見てなさい。罠カード<儀水鏡の瞑想術>を発動! 手札の儀式魔法カード1枚を相手に見せることで、墓地に存在する<リチュア>と名のついたモンスターを2体手札に加えるわ」

<儀水鏡の瞑想術>
通常罠
手札の儀式魔法カード1枚を相手に見せ、
自分の墓地に存在する「リチュア」と名のついたモンスター2体を選択して発動する。
選択した墓地のモンスターを手札に戻す。

 <シャドウ・リチュア>の効果で手札に加えた儀式魔法カード<リチュアの儀水鏡>。これを相手に見せることで、紫音は墓地の<リチュア・チェイン>と<シャドウ・リチュア>を手札に加える。
「そして<リチュアの儀水鏡>を発動! 手札の<シャドウ・リチュア>をリリースして――来なさい! 鬼と交わりし魔女、<イビリチュア・マインドオーガス>!」

<リチュアの儀水鏡>
儀式魔法
「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。
手札・自分フィールド上から、儀式召喚するモンスターと
同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。
また、墓地に存在するこのカードをデッキに戻す事で、
自分の墓地に存在する「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を選択して手札に戻す。

 地面に<リチュア>のシンボルマークである紋様が浮かび、淡い光を放つ。
 その光の中から、下半身を不気味な魚へと変えた青髪の魔女――<イビリチュア・マインドオーガス>が現れる。

<イビリチュア・マインドオーガス>
儀式・効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2500/守2000
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
このカードが儀式召喚に成功した時、
お互いの墓地に存在するカードを合計5枚まで選択し、持ち主のデッキに戻す。

「ちょ、ちょっと待て! そいつのレベルは6だろ!? 墓地に送った<シャドウ・リチュア>のレベルは4……リリースするカードが足りないはずだ!」
「知らないの? <シャドウ・リチュア>にはもうひとつ効果があるのよ。このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用することができる、っていう効果がね」
「何ィ!? そんなの反則だろ!?」
「<キラー・トマト>で攻撃力2700のモンスターをリクルートしてきたやつに言われたくないわ!」
 動揺する金盛を突き放し、紫音はデュエルを進める。
「<マインドオーガス>の効果発動! このカードが儀式召喚に成功した時、墓地に存在するカードを5枚まで選択し、持ち主のデッキに戻すわ」
「う、嘘だろ!?」
 金盛は、両目を限界まで見開いて絶望の叫びを上げる。数分前まで自分の勝利を疑っていなかった男の変わりように、紫音は笑いをこらえられなかった。
「あーあ、生憎だけどあたしの墓地にはデッキに戻したいモンスターがいないのよね……じゃ、あんたが<針虫の巣窟>で墓地に落としたモンスターを、全部デッキに戻してあげるわ! 感謝しなさいよね!」
「馬鹿やめろ! ありがた迷惑ってレベルじゃねーぞ!」
「聞こえない!」
 <イビリチュア・マインドオーガス>が杖を振るうと、金盛の墓地から強制的に5枚の闇属性モンスターが排出される。それらを渋々デッキに戻す金盛。
 これで、<ブラッディ・ナイト>の攻撃力は大幅に下がり、1700。
「まだ終わりじゃないわよ! 魔法カード<儀式の準備>を使うわ! デッキからレベル7以下の儀式モンスターを手札に加えて、その後墓地の儀式魔法を手札に加えることができるわ。デッキから<イビリチュア・テトラオーグル>、墓地から<リチュアの儀水鏡>をそれぞれ回収!」

<儀式の準備>
通常魔法
自分のデッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加える。
その後、自分の墓地から儀式魔法カード1枚を手札に加える事ができる。

 紫音の猛攻に対し、金盛は言葉を失ってしまったようだ。あんぐりと口を開けたまま棒立ちしている。
「もっかい<儀水鏡>発動! 手札の<リチュア・ビースト>と<リチュア・アビス>をリリースして、<テトラオーグル>を儀式召喚! そんで<リチュア・チェイン>も召喚!」
 蒼白の鎧を纏った半魚人<イビリチュア・テトラオーグル>と、鎖を構えた<リチュア・チェイン>が続けざまに現れる。

<イビリチュア・テトラオーグル>
儀式・効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2600/守2100
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
1ターンに1度、カードの種類
(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動する事ができる。
相手は手札を1枚捨ててこの効果を無効にする事ができる。
捨てなかった場合、お互いのプレイヤーは宣言された
種類のカード1枚をデッキから墓地へ送る。

 <リチュア・チェイン>の効果では儀式関連カードをサーチすることはできなかったが、最早必要ないだろう。
「さて。確かあんたには<ブラッディ・ナイト>の他にも切り札がいるんだったわよね?」
 紫音の問いに、金盛はかろうじて頷いた。
「それじゃ、その切り札を見せてもらおうかな! バトルフェイズ! <リチュア・チェイン>で<ブラッディ・ナイト>を攻撃!」
 半魚人が放った鎖が、漆黒の騎士を容赦なく貫く。
「ぎえっ!」

【金盛LP4000→3900】

「続けて<マインドオーガス>と<テトラオーグル>でダイレクトアタック!」
 蒼の光線が、2本同時に放たれる。
 当然、金盛にそれを防ぐ術は無かった。

【金盛LP3900→0】

「ひとつ言っておくわ。切り札って、使わなきゃ意味ないのよ」





 完膚なきまでに叩きのめされた金盛は、その場でがくりと膝をつく。ガクガクと震えているのは、負けたショックのせいだろうか。
「……よくもまあこんな実力でレアカード狩りなんてやってたわね。これに懲りたら、デュエルギャング紛いのことなんてやめたほうがいいわよ」
 打ちひしがれる金盛の姿に少しだけ憐れみを感じながら、紫音はこの場を去ろうとする。本当ならセキュリティに通報した方がいいのだろうが、絶賛家出中の紫音にそれはできない。
「ま、待ちやがれ!」
 金盛に背を向けた瞬間、慌てた声で敗北者が叫ぶ。
「今に見てろよ! 『清浄の地』の仲間たちが、お前をぶっ飛ばしにくるからな! 俺を倒したことをきっと後悔するぞ!」
「あー、ハイハイ。どうせ嘘なんでしょ」
 紫音を怖がらせるために「清浄の地」の名を持ちだした金盛に対し、紫音は冷めきった反応を返す。
 余計に惨めさを感じたのだろう。ギリギリと歯ぎしりをした金盛が立ちあがり、何かを叫ぼうと口を開く――
 その瞬間だった。

 ボッ! と。

「ぎゃあ!」
 何の前触れもなく、金盛のデュエルディスクが炎に包まれる。
 慌てた金盛は、急いでディスクを取り外し投げ捨てた。

「――今のは警告だ。君のような屑が僕らの名前を騙ったことに対してのね」

 燃え上がる炎の色は――蒼。
「次はその両腕を焼きつくす。二度と『清浄の地』の名を口にしないことだ」
 金盛の背後に、人影が揺らめく。
「ひっ!」
 怯えた金髪の男は、その場から飛び退いて壁に体を押し付ける。
 紫音は現れた人影を真正面から捉える。
 燃える炎と同じ、深い青色の髪。
 年齢は――紫音と同じ15歳くらいだろうか。背丈も同じくらいで、線が細い。分かり辛いけどたぶん男だ。幼さを感じさせる顔つきだが、その蒼い瞳だけは異質な光を湛えていた。
 何かを覚悟した瞳。
 紫音にはそう思えた。
 男の左腕にはデュエルディスクが装着されており、そこには1枚のカードがセットされている。
 青髪の男の傍らに、両肩に異なる色の炎を宿した岩石の戦士が佇んでいた。その右手は、蒼の炎を宿している。
 間違いない。サイコデュエリストだ。
 あのモンスターの攻撃を実体化させ、金盛のディスクを燃やしたのだ。
「見つけた――!」
 気持ちが昂ぶっていく。
 抑えられない。抑えるつもりもない。
「<ソウルオーガ>!!」
 紫音は瞬時にディスクを展開し直し、モンスターを実体化させる。
 現れた<イビリチュア・ソウルオーガ>は、そのまま炎の戦士へと襲いかかる。
「――ッ!? <ラヴァル・グレイター>!」
 男をかばうように炎の戦士が立ちはだかり、<イビリチュア・ソウルオーガ>と激突する。
「見つけたわよ! 『清浄の地』!!」