にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage 番外編 ラスト・ドライブ エピローグ

 あれから、どれくらいの時間が経っただろうか。
 レビンの意志を継ぎ、サテライト各地を回ることにした少女には、旅を始める前に立ち寄るべき場所があった。
 自分が「本当の友永切」と、高良火乃を殺めた場所。
 記憶を取り戻した少女の脳裏には、今もその光景が焼きついている。
 廃墟となったビルには、無駄に埃が積もっているだけだった。
 亡骸は光坂の手によって処理されたと聞いた。輝王の話だと、高良の遺体は家族に返還されたらしいが、切に関しては行方知れずだ。
 ――わしは、友永切として生きることを決めた。
 その決意を、果たして彼と彼女はどう思うだろうか。
 恨むだろうか。
 呆れるだろうか。
 蔑むだろうか。
 それとも――

「……ごめんね。おにいちゃん」

 虚空に向けて呟く。
 切を殺してしまったことで錯綜していた「姫花」が、兄である火乃を殺す直前に呟いた言葉だった。
 廃墟ビルを後にする。
 謝罪の言葉をいくら重ねても、「姫花」が犯した罪は消えることはない。
 だから。
 この罪を背負ったまま、少女は救いの手を差し伸べることを決めたのだ。