遊戯王 New stage サイドT 2
「これは私たちの『肩慣らし』――よって、アンタに選択権はない。私が先攻をもらうわ」
「……別にいいよ」
理不尽な竜美の主張を、さらりと受け流すティト。
その反応が癇に障ったのか、竜美は舌打ちをしてからカードをドローする。
「私は<ジュラック・ヴェロー>を召喚」
竜美のフィールドに現れたのは、鮮やかな色彩の鱗で体表を覆った恐竜だ。頭は赤、体は黄緑、手足は青と、太古の生物に似つかわしくない色をしている。
「……別にいいよ」
理不尽な竜美の主張を、さらりと受け流すティト。
その反応が癇に障ったのか、竜美は舌打ちをしてからカードをドローする。
「私は<ジュラック・ヴェロー>を召喚」
竜美のフィールドに現れたのは、鮮やかな色彩の鱗で体表を覆った恐竜だ。頭は赤、体は黄緑、手足は青と、太古の生物に似つかわしくない色をしている。
<ジュラック・ヴェロー> 効果モンスター 星4/炎属性/恐竜族/攻1700/守1000 自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、 自分のデッキから攻撃力1700以下の「ジュラック」 と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
「このままターンを終了するわ」
<ジュラック・ヴェロー>が威嚇するように両腕を振るうも、先行1ターン目は攻撃が出来ない。
<ジュラック・ヴェロー>が威嚇するように両腕を振るうも、先行1ターン目は攻撃が出来ない。
【ティトLP4000】 手札5枚
場:なし
【竜美LP4000】 手札5枚
場:ジュラック・ヴェロー(攻撃)
場:なし
【竜美LP4000】 手札5枚
場:ジュラック・ヴェロー(攻撃)
「わたしのターン。ドロー」
ティトは引いたカードを手札に加える。あまり芳しくない初手だ。<ジュラック・ヴェロー>の攻撃をしのげるモンスターはおらず、チューナーもいない。
それはまるで、漠然とした目的にすがり、少年を失った隙間を怒りによって埋めようとしている、つぎはぎだらけの心中を表しているかのようだった。
それに気づくことはなく、少女はデュエルを進める。
「モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンド」
ティトは引いたカードを手札に加える。あまり芳しくない初手だ。<ジュラック・ヴェロー>の攻撃をしのげるモンスターはおらず、チューナーもいない。
それはまるで、漠然とした目的にすがり、少年を失った隙間を怒りによって埋めようとしている、つぎはぎだらけの心中を表しているかのようだった。
それに気づくことはなく、少女はデュエルを進める。
「モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンド」
【ティトLP4000】 手札4枚
場:伏せモンスター、伏せ1枚
【竜美LP4000】 手札5枚
場:ジュラック・ヴェロー(攻撃)
場:伏せモンスター、伏せ1枚
【竜美LP4000】 手札5枚
場:ジュラック・ヴェロー(攻撃)
「どうしたの? 攻めてこなくちゃ面白くないじゃない……ドロー」
言動の端々に余裕を滲ませつつ、竜美は1枚のカードを選び取る。
「なら、こっちから攻めさせてもらうわよ! 私は<ジュラック・グアイバ>を召喚!」
牙、爪、そして頭から首の付け根にかけて一直線に生えたトゲから真っ赤な炎を燃やした首長竜が、召喚円から勢いよく飛び出す。
言動の端々に余裕を滲ませつつ、竜美は1枚のカードを選び取る。
「なら、こっちから攻めさせてもらうわよ! 私は<ジュラック・グアイバ>を召喚!」
牙、爪、そして頭から首の付け根にかけて一直線に生えたトゲから真っ赤な炎を燃やした首長竜が、召喚円から勢いよく飛び出す。
<ジュラック・グアイバ> 効果モンスター 星4/炎属性/恐竜族/攻1700/守 400 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、 自分のデッキから攻撃力1700以下の 「ジュラック」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。 この効果で特殊召喚したモンスターは、 このターン攻撃宣言をする事ができない。
凍った地面に着地すると同時、体中からたぎる炎が凍てついた地面を溶かしていく。
「バトル! <ジュラック・グアイバ>で伏せモンスターを攻撃!」
グアア! と咆哮を上げ、<ジュラック・グアイバ>が炎の宿った爪で伏せモンスターを切り裂く。
カードが反転し、雪の結晶を模した陣によって守りを固めていた僧――<氷結界の修験者>が破壊される。
「バトル! <ジュラック・グアイバ>で伏せモンスターを攻撃!」
グアア! と咆哮を上げ、<ジュラック・グアイバ>が炎の宿った爪で伏せモンスターを切り裂く。
カードが反転し、雪の結晶を模した陣によって守りを固めていた僧――<氷結界の修験者>が破壊される。
<氷結界の修験者> 効果モンスター 星4/水属性/戦士族/攻1500/守1000 このカードは攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。
上級モンスターが出てくることを期待しての<氷結界の修験者>だったが、その手は空振りに終わってしまった。
「<ジュラック・グアイバ>の効果発動! このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊したとき、デッキから<ジュラック>と名のついた攻撃力1700以下のモンスターを特殊召喚出来るわ。私が選ぶのは……ここは攻め手を増やしておこうかしら。<ジュラック・イグアノン>を攻撃表示で特殊召喚!」
<ジュラック・グアイバ>の雄叫びによって現れたのは、両腕で巨大な火球を抱えた紫色の恐竜だ。隣に並ぶ<ジュラック・グアイバ>と同様、その背には炎が宿っている。
「<ジュラック・グアイバ>の効果発動! このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊したとき、デッキから<ジュラック>と名のついた攻撃力1700以下のモンスターを特殊召喚出来るわ。私が選ぶのは……ここは攻め手を増やしておこうかしら。<ジュラック・イグアノン>を攻撃表示で特殊召喚!」
<ジュラック・グアイバ>の雄叫びによって現れたのは、両腕で巨大な火球を抱えた紫色の恐竜だ。隣に並ぶ<ジュラック・グアイバ>と同様、その背には炎が宿っている。
<ジュラック・イグアノン> 効果モンスター 星4/炎属性/恐竜族/攻1700/守 700 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した時、 相手フィールド上にセットされたカード1枚を手札に戻す事ができる。
「<ジュラック・グアイバ>の効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン攻撃できないわ。でも、<ジュラック・ヴェロー>の攻撃が残っている! 行け! <ジュラック・ヴェロー>!」
主人の号令を受けて、<ジュラック・ヴェロー>が大地を疾走する。
ティトを守る壁はない。青の腕から振り下ろされる鋭い爪が、少女の体を裂く。
「――っ!!」
腹部に痛みが走り、ティトはふらりとよろめく。
主人の号令を受けて、<ジュラック・ヴェロー>が大地を疾走する。
ティトを守る壁はない。青の腕から振り下ろされる鋭い爪が、少女の体を裂く。
「――っ!!」
腹部に痛みが走り、ティトはふらりとよろめく。
【ティトLP4000→2300】
見れば、紺色のブレザーと、その下に着たシャツが裂かれ、白い素肌が顕わになっている。
ツツ……と赤い血が垂れるが、傷は浅い。
「……アンタが死ぬのは、このデュエルで負けたとき。それまでは手加減してあげるわ」
もし、<ジュラック・ヴェロー>の爪が容赦なくティトを襲っていたら、この程度の傷では済まなかっただろう。
ティトは左手で軽く傷を抑えてから、視線を前に向ける。
――そうしは、もっとひどいことをされても戦ってた。
体を氷漬けにされても、身を引き裂くような痛みをぶつけられても、彼は立ち上がっていた。
なら、彼の目的を継いだ自分が、こんな程度の傷でひるむわけにはいかない。
「このままターンエンドよ」
ティトの瞳を見て何を思ったのか、挑発も無しに竜美のターンが終了する。
ツツ……と赤い血が垂れるが、傷は浅い。
「……アンタが死ぬのは、このデュエルで負けたとき。それまでは手加減してあげるわ」
もし、<ジュラック・ヴェロー>の爪が容赦なくティトを襲っていたら、この程度の傷では済まなかっただろう。
ティトは左手で軽く傷を抑えてから、視線を前に向ける。
――そうしは、もっとひどいことをされても戦ってた。
体を氷漬けにされても、身を引き裂くような痛みをぶつけられても、彼は立ち上がっていた。
なら、彼の目的を継いだ自分が、こんな程度の傷でひるむわけにはいかない。
「このままターンエンドよ」
ティトの瞳を見て何を思ったのか、挑発も無しに竜美のターンが終了する。
【ティトLP2300】 手札4枚
場:伏せ1枚
【竜美LP4000】 手札5枚
場:ジュラック・ヴェロー(攻撃)、ジュラック・グアイバ(攻撃)、ジュラック・イグアノン(攻撃)
場:伏せ1枚
【竜美LP4000】 手札5枚
場:ジュラック・ヴェロー(攻撃)、ジュラック・グアイバ(攻撃)、ジュラック・イグアノン(攻撃)