遊戯王 New stage サイドT 1
「心配すんな、ティト。お前は俺が守る」
彼の背中は頼もしくて、とても暖かかった。
彼の隣にいるのは、とても心地よかった。
彼とずっと一緒にいられると思っていた。
そのために、少女は戦う決意をしたのだ。
彼の背中は頼もしくて、とても暖かかった。
彼の隣にいるのは、とても心地よかった。
彼とずっと一緒にいられると思っていた。
そのために、少女は戦う決意をしたのだ。
今、少女の隣に彼はいない。
これからも、ずっと。
これからも、ずっと。
彼が現れるまで、少女はずっと1人で生きてきた。
「処刑人」として。
「氷の魔女」として。
彼がいないのなら、また昔のように戻ればいい。
「処刑人」に。
「氷の魔女」に戻ればいい。
そうすれば、少女は戦うことが出来る。
「そうしの大切な人を探すのを、手伝う」
少年と交わした約束。
それを果たすために、少女は冷たい風を纏った。
「処刑人」として。
「氷の魔女」として。
彼がいないのなら、また昔のように戻ればいい。
「処刑人」に。
「氷の魔女」に戻ればいい。
そうすれば、少女は戦うことが出来る。
「そうしの大切な人を探すのを、手伝う」
少年と交わした約束。
それを果たすために、少女は冷たい風を纏った。
「……わたしが勝ったら、そうしの弟に会わせて」
輝王と切の姿が見えなくなったのを確認してから、ティトは平坦な声で言い放つ。
ティトの態度に、竜美は不愉快そうに顔を歪めつつも、
「そうしの弟……ああ、皆本信二のことね。別に構わないけど、会ってどうするつもり? 兄が死んだことでも報告するのかしら?」
後半の部分は挑発するように言い返す。
――異変は、一瞬で起こり、一瞬で解決した。
ティトの体が微動したかと思うと、竜美目がけて鋭く尖った氷柱が矢のように放たれる。
常人なら避ける間もなく脳天を串刺しにされるほどの速度。
竜美がそれに気付いたときには、すでに氷柱は目前まで迫っていた。
しかし、彼女の顔が血に染まることはなかった。
ボッ! と炎が点火する音が響き、氷柱が瞬時に蒸発する。
気化しきらなかった水滴が、わずかに竜美の頬を濡らす。
「怒ったの? 随分変わったわね、アンタ。最後に会ったときは、ただの人形だったのに」
いまだティトの表情には何の感情も浮かんでいなかったが、竜美に向ける敵意だけは明確だった。
「でも――」
言いかけてから、くくっ、と含み笑いを漏らす竜美。
輝王と切の姿が見えなくなったのを確認してから、ティトは平坦な声で言い放つ。
ティトの態度に、竜美は不愉快そうに顔を歪めつつも、
「そうしの弟……ああ、皆本信二のことね。別に構わないけど、会ってどうするつもり? 兄が死んだことでも報告するのかしら?」
後半の部分は挑発するように言い返す。
――異変は、一瞬で起こり、一瞬で解決した。
ティトの体が微動したかと思うと、竜美目がけて鋭く尖った氷柱が矢のように放たれる。
常人なら避ける間もなく脳天を串刺しにされるほどの速度。
竜美がそれに気付いたときには、すでに氷柱は目前まで迫っていた。
しかし、彼女の顔が血に染まることはなかった。
ボッ! と炎が点火する音が響き、氷柱が瞬時に蒸発する。
気化しきらなかった水滴が、わずかに竜美の頬を濡らす。
「怒ったの? 随分変わったわね、アンタ。最後に会ったときは、ただの人形だったのに」
いまだティトの表情には何の感情も浮かんでいなかったが、竜美に向ける敵意だけは明確だった。
「でも――」
言いかけてから、くくっ、と含み笑いを漏らす竜美。
「否定はしないのね。皆本創志が死んだことを」
バキリ、と。
ティトが立つ地点を中心として、半径3メートルほどの円を描くように、地面が凍りついた。
一時的に纏った炎によって竜美の両足が凍りつくことはなかったが、彼女の顔から嘲笑が消える。
「……始めましょうか。安心しなさい。すぐに皆本創志の後を追わせてあげる」
「…………」
互いにデッキから5枚のカードを引き、戦いの幕が上がる。
ティトは初めて理解していた。
自分の中に渦巻くこの気持ちこそが、「怒り」という感情なのだと。
ティトが立つ地点を中心として、半径3メートルほどの円を描くように、地面が凍りついた。
一時的に纏った炎によって竜美の両足が凍りつくことはなかったが、彼女の顔から嘲笑が消える。
「……始めましょうか。安心しなさい。すぐに皆本創志の後を追わせてあげる」
「…………」
互いにデッキから5枚のカードを引き、戦いの幕が上がる。
ティトは初めて理解していた。
自分の中に渦巻くこの気持ちこそが、「怒り」という感情なのだと。