遊戯王 New stage サイドS 3-2
自慢の両親だった。
父親の源治は、少し頼りないけど誰にでも優しくて、いつも創志たちに微笑みかけてくれた。デュエルが大好きで、信二がデュエルモンスターズを始めたのも父親がきっかけだった。
母親のめぐみは、怒ると怖いけど、普段は明るく元気な人で、どんなときでも笑顔を絶やさなかった。家の中に閉じこもっているのが我慢できないらしく、休日には創志と信二を連れ出して、公園や遊園地で目一杯遊んだ。もちろん、病気がちな信二の体調を気遣うことも忘れなかった。
父親の源治は、少し頼りないけど誰にでも優しくて、いつも創志たちに微笑みかけてくれた。デュエルが大好きで、信二がデュエルモンスターズを始めたのも父親がきっかけだった。
母親のめぐみは、怒ると怖いけど、普段は明るく元気な人で、どんなときでも笑顔を絶やさなかった。家の中に閉じこもっているのが我慢できないらしく、休日には創志と信二を連れ出して、公園や遊園地で目一杯遊んだ。もちろん、病気がちな信二の体調を気遣うことも忘れなかった。
「父さんと違って創志は強いからなぁ。でも、その力はむやみにふるっちゃいけない」
いつのことだっただろうか。派手に喧嘩をして相手の子に怪我をさせ、源治と一緒に謝りに行った帰り道だ。
「創志の拳は、たくさんの人を守れる。父さんはそう思うよ」
そう言って星空を見上げる父親の姿は、今も目に焼き付いている。
「創志の拳は、たくさんの人を守れる。父さんはそう思うよ」
そう言って星空を見上げる父親の姿は、今も目に焼き付いている。
「あんたはお兄ちゃんなんだから。弟を守るのは当然なの」
病室のベッドで眠る信二を前に、めぐみが何度も言った言葉だ。
「理由なんかないわ。お兄ちゃんってそういうもんでしょ?」
それを聞いた源治は苦笑していたが、創志は信じて疑わなかった。
だからこそ、サテライトに送られ2人で生活しなければいけなくなったときも、折れずに立ち向かうことができた。
自慢の両親だった。
だけど――源治とめぐみがどんな仕事をしているのかは、絶対に教えてくれなかった。
「アルカディアムーブメント」という会社に勤めていることだけは知っていたが、そこで何をしているのかは話してくれなかった。
――そして、その日は唐突に訪れた。
両親の帰りを兄弟2人で待っていた夜。突然訪問してきたセキュリティの職員たちは、有無も言わさず家に上がりこみ、片っぱしから荷物を運び始めたのだ。
職員の1人が言った。
「あなたのご両親は、勤めていた会社で重大な不正を働きました。そのため、サテライトにある犯罪者の収容所に送られる予定です」
そんなことない、と力いっぱい反論したことを覚えている。
「アルカディアムーブメント側の協力もあり、十分な証拠は出揃っています」
わめき散らす創志にイラついたのか、その職員はかなり強い調子で続けた。
「犯罪者の子供がいる場所は、シティのどこにもない。君たちもサテライトに行ってもらいますよ」
あの父さんが、あの母さんが、犯罪者なわけがない――
サテライトに来て3年。創志は、いまでも自分の両親を信じている。
「理由なんかないわ。お兄ちゃんってそういうもんでしょ?」
それを聞いた源治は苦笑していたが、創志は信じて疑わなかった。
だからこそ、サテライトに送られ2人で生活しなければいけなくなったときも、折れずに立ち向かうことができた。
自慢の両親だった。
だけど――源治とめぐみがどんな仕事をしているのかは、絶対に教えてくれなかった。
「アルカディアムーブメント」という会社に勤めていることだけは知っていたが、そこで何をしているのかは話してくれなかった。
――そして、その日は唐突に訪れた。
両親の帰りを兄弟2人で待っていた夜。突然訪問してきたセキュリティの職員たちは、有無も言わさず家に上がりこみ、片っぱしから荷物を運び始めたのだ。
職員の1人が言った。
「あなたのご両親は、勤めていた会社で重大な不正を働きました。そのため、サテライトにある犯罪者の収容所に送られる予定です」
そんなことない、と力いっぱい反論したことを覚えている。
「アルカディアムーブメント側の協力もあり、十分な証拠は出揃っています」
わめき散らす創志にイラついたのか、その職員はかなり強い調子で続けた。
「犯罪者の子供がいる場所は、シティのどこにもない。君たちもサテライトに行ってもらいますよ」
あの父さんが、あの母さんが、犯罪者なわけがない――
サテライトに来て3年。創志は、いまでも自分の両親を信じている。
「――あなたが怒る理由は分かりました。しかし、私は皆本夫妻について詳しくは知らない。それに、その話はティト様に何の関係もない」
一瞬取り乱した様子を見せたセラだったが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「何だと……!」
「結論は同じです。あなたは口をはさまないでください」
澄ましたセラの顔に、創志の我慢が限界を超える。
詳しくは知らない、なんて嘘っぱちに決まっている。一発ぶん殴って、知っているだけの情報を吐き出させてやる――!
そう決心し、立ち上がろうとしたときだった。
一瞬取り乱した様子を見せたセラだったが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「何だと……!」
「結論は同じです。あなたは口をはさまないでください」
澄ましたセラの顔に、創志の我慢が限界を超える。
詳しくは知らない、なんて嘘っぱちに決まっている。一発ぶん殴って、知っているだけの情報を吐き出させてやる――!
そう決心し、立ち上がろうとしたときだった。
「行かない」
今まで沈黙を守っていた少女が、清らかな声を響かせた。