にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage 明日に伸ばす手-1

 悲鳴と慟哭が木霊する。
 視界の端々で爆煙が上がり、瓦礫の破片が降り注ぐ。
 炎の朱色、粉塵の灰色、そして血の赤に彩られた世界――
「どうして……」
 理不尽を覚えずにはいられなかった。答えはなくとも、問わずにはいられなかった。
「どうして……こんな……」
 何故なら、数日前まで、この世界は笑顔に溢れた平和な場所だったからだ。
 聞こえてくるのは、楽しそうな笑い声。
 目に映るのは、日常を謳歌する人々。
 こんな悲劇としか言いようのない光景とは、無縁のはずだった。
 それなのに。
「……認めたくねえのは俺だって同じだ。けどな――」
 隣からよく知った男の声が聞こえる。男もまた、苦汁を強引に飲み込んだような表情を浮かべていた。
「俺たちは、負けたんだ」
 敗北の結果、もたらされたのは支配と絶望。
 弱者は虐げられ、惨めに逃げ回ることしかできない。
 目の前に広がる「地獄」を、変える術はない――
「――やり直そう」
「……何、だって?」

「もう一度、やり直すんだ。俺たちは、そのやり方を知ってる」

 呟いた男の手には、一枚のカードが握られていた。
 カードに刻まれた名前は――