ＩＫＥ袋迷宮曲
そう、俺たちはあの街を知った気になっていただけなんだ……
ＴＣＧ的な用事が終わり、そろそろ帰ろうかーと言っていたところで、穂しくずリーダーから指令が下った。
それは、まどマギ映画鑑賞のための事前調査である。
時間や場所をあらかじめ把握しておくことで、当日スケジュール通りに行動できる確率が格段に上がる。
メールを見たときは、「ちょっと寄り道ついでに見ればいいか」くらいの軽い心構えだった俺。
しかし、この「寄り道」が果てしなく長い道のりになろうとは、俺もアルカナさんも予想していなかったのである……
池袋で映画館といえば、サンシャイン通りにある２軒を思い浮かべるが、残念ながらどちらでもまどマギは上映していない。アルカナさんに調べてもらったところ、どうやらルミネの中にある映画館でやっているらしい。
池袋にルミネなんてあったか……？ そもそもルミネの中に映画館なんてあるのか……？ と一瞬疑問符が浮かぶが、駅の中にそれらしき看板が出ていたのを思い出す。なので、とりあえず駅に向かうことに。
俺「あ！ ついでにモバマスのアンソロが欲しい！」
駅に到着後、アルカナさんがダークソウルを購入し、いざルミネへ向かおうというタイミングで、モバマスのアンソロジーを買っていなかったことを思い出す俺。
カードショップを出たあとだったらアニメイトやとらのあなに向かう選択肢があったのだが、生憎駅まで戻ってきてしまったので、ここから引き返すのは時間が惜しい。なので、アルカナさんの案内でＬＩＢＲＯという名の本屋さんに向かうことに。
案内された先は、地下へと続く階段。地下にある本屋ってのも珍しいなーとどうでもいいことを考えつつＬＩＢＲＯに入り、店内の案内図を確認すると、どうやらコミックは４階に売っている様子。
１回降りたのにまた上がるのかよと都会特有の奇妙な構造に辟易しつつ、エスカレーターに乗る俺たち。
３０分後……
何故か俺たちは百貨店の中をうろついていた。
女性向けのアパレルショップや、高級そうなアクセサリーが並んだ店を横目に見つつ、歩く俺たち。
どうしてこうなった……！？
と、いうのも本屋と直結していた百貨店のほうのエスカレーターに乗ってしまったらしく、本屋と百貨店を繋いでいる連絡通路にも何故か辿りつけない有様。誰もいない広場や妙に奥まった位置にある階段を下り、結局最初の位置まで戻ってくる羽目に。
そこから今度こそＬＩＢＲＯの４階フロアを目指し、お目当てのコミック売り場に辿りついたのですが。
ぎゃあああああああああ売ってねえええええええええええええ！！
ああ！ 実は何となくそうなんじゃないかって気はしてた！
店内を探せど探せど、お目当ての本は見つからず……
今思うと店員に訊けばよかったのだが、そんな気力もなくすごすごとＬＩＢＲＯを後にする。
しょうがないので、本来の目的であるルミネに……は行かず、近くにあったジュンク堂に足を向ける。最初からこっち行っていけばよかったよちくしょう！！
ジュンク堂のコミック売り場は地下１階。さすがに迷うこともなく辿りつき、キュートな表紙を探すが、ここでも見つからず。おかしい……すでに発売されているのは確認したし、何故新刊コーナーに置いていないんだ……？
と、こちらもまだ買っていなかったポケスペの新刊を発見し、これ買えたからいいやと妥協しかけたその時。
ネ申「有製、知っているか？ ここには店内の本を検索できる機械がある」
神現るッ……！
アルカナさんのおかげでついに目当ての漫画を発見し、即座に購入！
こうして見事目的を達成した俺たちは、疲労困憊ながらも充実した笑顔を浮かべて帰路につくのだった――
ってちがぁーう！！
まだ何も終わってはいない！ 寄り道が長引いただけだ！
やっとこさミッションの目標地点であるルミネを目指すことに。駅内に入り、半分迷いつつも、無事にまどマギを上映している映画館に辿りつくことができた。長かった……！
上映時間を確認し、穂しくずリーダーにミッション完了のメールを送り、オードリーが現代アートの犠牲になっていることに心を痛めつつ、今度こそ本当に俺たちは帰宅するのだった――
～ＨＡＰＰＹ ＥＮＤ～
―帰宅後のチャットにて―
リーダー「ネットで調べたけど、日曜は上映時間違うみたいだね」
俺「おいいいいいいいいいいいい無駄足じゃねーか！！」
～終わり～
