にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドM 2-4

 第3デュエル場に隣接されたモニタールーム。
 壁一面を埋めるようにモニターが設置されたこの部屋では、第3デュエル場の各フィールドに設置された固定カメラから送られてくる映像を、リアルタイムで視聴する事ができる。
 現在モニターが点灯しているのはミハエルと天羽がいるフィールドのみ。
 モニタールームには、2人の女性がいた。
 1人は、モニターの前にある椅子に腰かけている、レディーススーツに身を包んだブロンド髪の女性――ストラ・ロウマン。
「……つまらなそうですね。大原さん」
「そうね」
 もう1人は、深紅のロングコートを羽織った赤髪の女性、大原竜美だった。
 かつて、デュエルギャング「レボリューション」に所属し、光坂慎一の指示の元セキュリティに潜り込み、情報操作を行っていた人物だ。サテライト支部を襲撃し、治安維持局所有の船舶をサイコパワーによって沈めたあと、皆本創志にデュエルで敗北した。
 皆本信二とのデュエル後は行方が分からなくなっていたが、レボリューションによるテロ未遂事件が解決したあと、いつの間にかセキュリティの捜査官に復帰していた。どのような手段を用いたのかは、未だに明かされていない。
「正直なところ、アンタや朱野が入れ込むほどの決闘者には見えない」
「でも、ミハエル君はアカデミア時代――」
「デュエルの腕前の問題じゃないの。アイツ……サザーランドの瞳からは、戦う意志が感じられないのよ」
 両腕を組み、壁に寄り掛かった竜美は、吐き捨てるように言う。
「意志のない決闘者なんて、機械と同じよ。いや、ミスが無い分機械の方がまだマシかもね」
「き、厳しいですね」
「当然。だって私ああいう男嫌いだもの」
 竜美の言葉を聞いたストラは、苦笑いを浮かべる。
「そんなことより、輝王からの連絡はあったの?」
 壁から背を離し、ストラに歩み寄りながら問いかける。
「それが、1週間前から連絡が途絶えたままで……先輩のことだから絶対に大丈夫だと思うんですが、もう1週間も先輩の肉声を聞いていないかと思うと胸が苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて悶え死んじゃいそうです」
 静かに語るストラに薄らと狂気が宿っているのを感じた竜美は、思わず足を止める。
「切さんと合流したことは分かってるんですけど」
「……案外、2人でよろしくやってるんじゃ――」
 言いかけて、ストラの視線に殺意がこもっているのを察知。すぐに口をつぐむ。
(光坂が仕掛けたマインドコントロールは脳に影響を与えなかったらしいけど、本当かしら? 明らかに性格が歪んでいる気が……)
 自分の迂闊な発言を反省しつつ、竜美は深く息を吐く。と、ちょうどそのタイミングでポケットの携帯電話が震えた。
 竜美は携帯電話を取り出すと、ストラに断ってから通話ボタンを押す。
「もしもし。ああ、アンタか。こっちは大丈夫よ。それで? 報告って――」
 電話の相手は竜美の部下だった。
 部下からの報告を聞き終えた竜美は、くるりと身を翻すと、モニタールームの出口に向かって歩き始める。
「悪いけど、もう行くわ」
「何かあったんですか?」
「私が担当している事件に進展があったの。しかも2つもね。上凪財閥の令嬢が失踪したでしょ? 彼女――上凪紫音の目撃情報が出たらしいわ。それと……」
 竜美は一旦言葉を区切り、ストラの方に向き直ってから、告げた。
「『清浄の地』リーダー――伊織清貴(いおりきよたか)の目撃情報もね」