遊戯王 New stage 17
――皆本創志を精神的に追い詰め、プレイングを乱したか。
<A・ジェネクス・トライアーム>の効果を発動しておけば壁ができたというのに、創志はそれすら失念してしまったようだ。
薄ら笑いを浮かべる光坂を見て、輝王はこのデュエリストの恐ろしさを再認識する。
心理的な駆け引きにより冷静な思考能力を奪い、悪循環へと陥れていく。
創志の胆力は相当なものだが、やはりまだ少年なのだ。まして、ずっと知らなかったであろう家族の真相を明かされれば、揺らぐのも仕方ない。
それに。
――俺の存在も足枷になっている。
輝王が攻撃を受けたときの創志の反応を見て、輝王は確信した。
この少年は、他人を優先しすぎる。そして、困っている人間に手を差し伸べ、全部自分で背負いこもうとする。
無論、悪いことではない。
だが、このままそれを続ければ、いつか潰れてしまう。
……自分はどうするべきか。
今の輝王が創志に言い聞かせたところで、少年の考えが変わらないのは目に見えている。となれば――
「……俺は俺で勝手に動かせてもらうぞ、光坂。自分の身くらい守れなきゃ、ここに立っている意味がないからな」
「随分弱気じゃないか、レビン」
「攻撃力4000をホイホイと越えられるようなデッキではないんでな」
光坂とレビンのやり取りに、輝王は考えを打ち切る。敵は光坂だけではないのだ。
「伏せた魔法カード<死者転生>を発動。手札の<魔轟神クシャノ>を捨てて、墓地の<魔轟神クルス>を手札に加える」
<A・ジェネクス・トライアーム>の効果を発動しておけば壁ができたというのに、創志はそれすら失念してしまったようだ。
薄ら笑いを浮かべる光坂を見て、輝王はこのデュエリストの恐ろしさを再認識する。
心理的な駆け引きにより冷静な思考能力を奪い、悪循環へと陥れていく。
創志の胆力は相当なものだが、やはりまだ少年なのだ。まして、ずっと知らなかったであろう家族の真相を明かされれば、揺らぐのも仕方ない。
それに。
――俺の存在も足枷になっている。
輝王が攻撃を受けたときの創志の反応を見て、輝王は確信した。
この少年は、他人を優先しすぎる。そして、困っている人間に手を差し伸べ、全部自分で背負いこもうとする。
無論、悪いことではない。
だが、このままそれを続ければ、いつか潰れてしまう。
……自分はどうするべきか。
今の輝王が創志に言い聞かせたところで、少年の考えが変わらないのは目に見えている。となれば――
「……俺は俺で勝手に動かせてもらうぞ、光坂。自分の身くらい守れなきゃ、ここに立っている意味がないからな」
「随分弱気じゃないか、レビン」
「攻撃力4000をホイホイと越えられるようなデッキではないんでな」
光坂とレビンのやり取りに、輝王は考えを打ち切る。敵は光坂だけではないのだ。
「伏せた魔法カード<死者転生>を発動。手札の<魔轟神クシャノ>を捨てて、墓地の<魔轟神クルス>を手札に加える」
<死者転生> 通常魔法 手札を1枚捨てて発動する。 自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。
――セットカードはブラフか。
もしくは、光坂が<ウィンドファーム・ジェネクス>を召喚することを読み、攻撃力を上げるために伏せたか。
「墓地の<クシャノ>を<クルス>を捨てることで回収。手札から捨てられた<クルス>の効果で<レイヴン>を墓地から特殊召喚する」
シンクロ召喚のため墓地に送られた悪魔のチューナーが、再びフィールドに姿を現す。
「<レイヴン>の効果を使う。手札を2枚捨てて、レベルを2つ上げる。そして<魔轟神オルトロ>を召喚。フィールドの<魔轟神ガネーシャ>にチューニングする」
もしくは、光坂が<ウィンドファーム・ジェネクス>を召喚することを読み、攻撃力を上げるために伏せたか。
「墓地の<クシャノ>を<クルス>を捨てることで回収。手札から捨てられた<クルス>の効果で<レイヴン>を墓地から特殊召喚する」
シンクロ召喚のため墓地に送られた悪魔のチューナーが、再びフィールドに姿を現す。
「<レイヴン>の効果を使う。手札を2枚捨てて、レベルを2つ上げる。そして<魔轟神オルトロ>を召喚。フィールドの<魔轟神ガネーシャ>にチューニングする」
<魔轟神オルトロ> チューナー(効果モンスター) 星2/光属性/悪魔族/攻 800/守 500 手札を1枚墓地へ送って発動する。 手札からレベル3の「魔轟神」と名のついた モンスター1体を特殊召喚する。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
流れるように、淡々と作業をこなすレビン。
泣きわめく悪魔の赤ん坊が現れたかと思うと、すぐさまシンクロ召喚へと移行する。
「禁じられた魔の軍神よ、閃光を掌握せよ! シンクロ召喚――満たせ! <魔轟神レイジオン>!」
黒の翼をはためかせ、黄金の甲冑に身を包んだ悪魔の軍師が、腰に携えた剣を抜く。
そして、相手を威圧するかのように無造作に振るった。
泣きわめく悪魔の赤ん坊が現れたかと思うと、すぐさまシンクロ召喚へと移行する。
「禁じられた魔の軍神よ、閃光を掌握せよ! シンクロ召喚――満たせ! <魔轟神レイジオン>!」
黒の翼をはためかせ、黄金の甲冑に身を包んだ悪魔の軍師が、腰に携えた剣を抜く。
そして、相手を威圧するかのように無造作に振るった。
<魔轟神レイジオン> シンクロ・効果モンスター 星5/光属性/悪魔族/攻2300/守1800 「魔轟神」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上 自分の手札が1枚以下の場合、このカードがシンクロ召喚に成功した時、 自分の手札が2枚になるまでデッキからカードをドローする事ができる。
「自分の手札が1枚以下の場合、<魔轟神レイジオン>のシンクロ召喚に成功した時手札が2枚になるようにカードをドローできる。俺の手札は0枚。よって、カードを2枚ドローさせてもらう」
失った手札をすぐに補充。隙のない戦術だ。
「ドローした2枚のカードを墓地に送り……墓地の<魔轟神ソルキウス>の効果を発動。自身をフィールドに特殊召喚する」
失った手札をすぐに補充。隙のない戦術だ。
「ドローした2枚のカードを墓地に送り……墓地の<魔轟神ソルキウス>の効果を発動。自身をフィールドに特殊召喚する」
<魔轟神ソルキウス> 効果モンスター 星6/光属性/悪魔族/攻2200/守2100 手札から「魔轟神ソルキウス」以外のカード2枚を墓地へ送って発動する。 このカードを墓地から特殊召喚する。
「……<魔轟神レイヴン>の効果で墓地に捨てていたのか」
「その通りだ。そして、<ソルキウス>にレベル4になった<レイヴン>をチューニング」
「レベル10――!?」
「禁じられた魔の主よ、閃光を従えよ! シンクロ召喚……君臨せよ。<魔轟神レヴュアタン>!」
二度目のシンクロ召喚によって呼び出されたモンスター。
その羽は紅。
その髪も紅。
石造りの玉座に深々と腰かけ、深紅と黄金で彩られた鎧を纏う悪魔の王。
それが――<魔轟神レヴュアタン>だった。
「その通りだ。そして、<ソルキウス>にレベル4になった<レイヴン>をチューニング」
「レベル10――!?」
「禁じられた魔の主よ、閃光を従えよ! シンクロ召喚……君臨せよ。<魔轟神レヴュアタン>!」
二度目のシンクロ召喚によって呼び出されたモンスター。
その羽は紅。
その髪も紅。
石造りの玉座に深々と腰かけ、深紅と黄金で彩られた鎧を纏う悪魔の王。
それが――<魔轟神レヴュアタン>だった。
<魔轟神レヴュアタン> シンクロ・効果モンスター 星10/光属性/悪魔族/攻3000/守2000 「魔轟神」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上 フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、 自分の墓地に存在する「魔轟神」と名のついた モンスターを3体まで選択して発動する事ができる。 選択したモンスターを手札に加える。
「……と、仰々しく呼びだしたのはいいが、こいつでは<トライフォース>を倒すことはできない。ターンエンドだ」
「はぁ!? こ、ここまでやっておいて『倒せない』で終わりなのかよ!?」
肩すかしをくらった創志が、慌ててレビンに問いかけるが、レビンは自分のターンは終わったと口をつぐんだままだ。
無論、何もないわけではないだろう。
<魔轟神レヴュアタン>の召喚は、光坂の後詰め――次のターンで光坂が<A・ジェネクス・トライフォース>を処理したあとの状況を見越している。そして、レビンが言った通り、自分の身を守るためだ。<A・ジェネクス・トライフォース>を倒せないとはいえ、<魔轟神レヴュアタン>の攻撃力は高い。現状の輝王の手札では打破する術は無い。
さらに、<魔轟神レヴュアタン>には、自身が戦闘破壊された時、墓地の<魔轟神>を3体まで手札に加える効果がある。<魔轟神クシャノ>や<魔轟神クルス>、<魔轟神レイヴン>などの効果を駆使すれば、次のシンクロモンスターを呼びだすのは容易だろう。
「はぁ!? こ、ここまでやっておいて『倒せない』で終わりなのかよ!?」
肩すかしをくらった創志が、慌ててレビンに問いかけるが、レビンは自分のターンは終わったと口をつぐんだままだ。
無論、何もないわけではないだろう。
<魔轟神レヴュアタン>の召喚は、光坂の後詰め――次のターンで光坂が<A・ジェネクス・トライフォース>を処理したあとの状況を見越している。そして、レビンが言った通り、自分の身を守るためだ。<A・ジェネクス・トライフォース>を倒せないとはいえ、<魔轟神レヴュアタン>の攻撃力は高い。現状の輝王の手札では打破する術は無い。
さらに、<魔轟神レヴュアタン>には、自身が戦闘破壊された時、墓地の<魔轟神>を3体まで手札に加える効果がある。<魔轟神クシャノ>や<魔轟神クルス>、<魔轟神レイヴン>などの効果を駆使すれば、次のシンクロモンスターを呼びだすのは容易だろう。