にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage 2

「えっ……?」
 竜美の言葉がよく聞き取れず、信二はすぐに聞き返そうとする。
「随分ご機嫌だな」
「そう? 気のせいじゃない?」
 その前に、竜美はレビンと言葉を交わすと、甲板の先端へと躍り出てしまった。
 竜美の姿に気づいたセキュリティが、警告を一旦止めた瞬間。
「破壊を――<ジュラック・メテオ>」
 刹那の間に落下した炎の隕石が、セキュリティの船舶に激突した。
 爆発。
 船員の悲鳴は、その爆発音によってかき消される。
 夜空に向かって黒煙が立ち上り、スピーカーを通した警告は聞こえなくなった。
「……私はさ」
 ゆらゆらと揺れる炎をバックに、竜美がこちらに体を向ける。
「負けることで、今いる居場所を失うのが怖かった。お前はもう用済みだって、そう言われるのが怖くて仕方なかった」
「なにを……」
 突然始まった竜美の独白に、信二は戸惑いを隠せない。
 信二の知っている限りでは、竜美はいつも自信に満ち溢れていた女性だったからだ。
「どう? 光坂。私はまだ、この場所にいられる?」
 沈没しかけているセキュリティの船舶で小規模な爆発が起き、爆風で竜美の赤い髪が乱れる。
 それを直そうともせず、竜美は真っすぐ光坂を見つめていた。
「……もちろんさ。君は、僕たちの仲間だよ」
 両手を広げ、光坂は竜美を迎え入れるように優しげな口調で話す。
 それを見た竜美は、フッと微笑を浮かべた。
「相変わらず嘘が上手いわね、光坂」
 ディスクから<ジュラック・メテオ>のカードを取り外した竜美は、信二たちのところへと戻ってくる。
 そのときには、信二も竜美の異変に気付いていた。
「仲間と認めてくれるのはありがたいけど、私はもうアンタの下で働くのはゴメンなの」
 竜美の顔に張り付いた、凶悪な笑み。
 彼女の瞳に映るのは、狩るべき獲物――
「他人に居場所を求めるのは卒業したわ。私は、私の力で自分の居るべき場所を作る! アンタたちを倒して、このレボリューションを乗っ取らせてもらう!」
 竜美が放ったのは、完全な敵対宣言だ。
 体中に自信をみなぎらせ、大原竜美はレボリューションの前に立ちはだかった。
 ――居るべき、場所。
 光坂、レビンがそれぞれディスクを構え始めていたが、
「光坂さん、レビンさん。ここは僕にやらせてください」
 2人を制止し、信二は一歩前に出た。
「だけど信二……」
「お前に出来るのか? 皆本」
 2つの反応を受けて、信二は自分の決意を告げる。
「僕が、戦うべきなんです」
 静かに息を整えながら、信二は歩を進める。
 竜美の戦う理由。それは信二と同じものだ。
 自分の力を証明し、自分の力だけで歩いていく。
 ここで竜美に負けるようなことがあれば、信二は一生「守られるだけ」の人生を送ることになるだろう。
 ――そんなのは嫌だ。
「……兄貴に続いて、今度は弟が私を倒そうってわけ? 生意気ね」
 面倒くさそうに呟いた竜美は、どうやら信二のことなど眼中にないらしい。
 先程も子供扱いされたし、いい加減頭にきていた。
「最初に言っておきますけど、僕は兄さんより強いですよ? 兄さんに負けた貴女が、果たして僕に勝てますかね」