にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 10-7

「俺のターン。ドロー」
 輝王の<AOJ>には、破壊効果を持つモンスターが多い。
 その対策のために、高良がデッキに入れていたカード――<竜騎士の盾>。自分フィールド上に表側表示で存在する<ドラグニティ>モンスターを、魔法・罠・効果モンスターの効果での破壊から守る罠カードだ。

竜騎士の盾>
通常罠(オリジナルカード)
このカードを発動したターン、自分フィールド上に表側表示で存在する「ドラグニティ」と
名のついたモンスターは、魔法・罠・効果モンスターの効果では破壊されない。

 効果は発動ターンのエンドフェイズまでとはいえ、重要な場面で使われると、こちらの戦線が崩壊しかねない。強力な破壊効果を持つ<AOJカタストル>も、安易に運用することはできない。最も、<ドラグニティアームズ―ミスティル>相手なら、攻撃力でも上回っているが。
 そこで、輝王の脳裏にイタコが見せた<ドラグニティナイト―バルーチャ>の姿が浮かぶ。
 ――ここは、安全策を取るか。
「<AOJアンカーナイト>を召喚する。<アンカーナイト>の効果で、墓地に存在する<AOJアンリミッター>を守備表示で特殊召喚する」

<A・O・J アンカーナイト>
チューナー(効果モンスター)(オリジナルカード)
星3/闇属性/機械族/攻1200/守1000
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する
レベル2以下の「A」と名のついたモンスターを1体表側守備表示で特殊召喚することができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。

<A・O・J アンリミッター>
効果モンスター
星2/闇属性/機械族/攻 600/守 200
このカードをリリースして発動する。
自分フィールド上に表側表示で存在する「A・O・J」
と名のついたモンスター1体の元々の攻撃力を
このターンのエンドフェイズ時まで倍にする

「<アンリミッター>? ――なるほど。<手札断殺>で墓地に捨ててやがったのか」
 呼び出された漆黒の機械兵<AOJアンカーナイト>は、手にしていた小振りの銛を地面に向かって投げ放ち、銛の柄についた鎖をすぐに引き上げる。銛の先には、<AOJアンリミッター>が突き刺さっていた。
「<カタストル>をシンクロ召喚する気か。あいつには散々苦しめられたからな……俺が対策をしていないとでも?」
 輝王の場のモンスターたちを見渡し、イタコが嘲るような声を出す。
「……知ったことではないな。レベル2の<アンリミッター>とレベル4の<ブラインド・サッカー>に、レベル3の<アンカーナイト>をチューニング」
 イタコが対策の手を巡らせていることを予測し、輝王は純粋な攻撃力を選択した。
「<カタストル>じゃねえだと……!?」
「正義の軍団よ! 混迷する戦場に終焉をもたらせ! シンクロ召喚――制圧せよ、<AOJフィールド・マーシャル>!」
 荘厳さを感じさせる白金の装甲に身を包み、「正義」を司る軍団を指揮する元帥がフィールドに舞い降りる。

<A・O・J フィールド・マーシャル>
シンクロ・効果モンスター
星9/闇属性/機械族/攻2900/守2600
チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが戦闘によって裏側守備表示モンスターを破壊し墓地へ送った時、
このカードのコントローラーは自分のデッキからカードを1枚ドローする。

「<フィールド・マーシャル>――そいつで来たか!」
 <AOJフィールド・マーシャル>の攻撃力は2900。このターンでイタコのライフをゼロにすることはできないが、ギリギリまで削ることはできる。
「戦闘を行うぞ! <フィールド・マーシャル>で<ドラグニティアームズ―ミスティル>を攻撃! ジャッジメント・スラッシュ!」
 攻撃宣言を受けた元帥は、その場で無造作に両腕を振るう。
 瞬間、斬撃を模した衝撃波が生まれ、竜の戦士を八つ裂きにせんと迫る。
「チッ! 迎撃だ、<ミスティル>!」
 <ドラグニティアームズ―ミスティル>は長剣を水平に構え衝撃波を受け止める。
 が、威力を殺しきれず、そのまま体を切り裂かれた。

【イタコLP1000→200】

「……さすがだな、正義。だが、このターンでトドメを刺せなかったのはミスだ。後手を考えすぎて安全な手を取ったんじゃねえの? 後悔することになるぜ?」
「…………」
 お前は後先考えなさすぎだ、と言おうとして、やめる。
「ターンエンドだ」

【輝王LP3300】 手札2枚
場:AOJフィールド・マーシャル(攻撃)、機甲部隊の最前線、エレメントチェンジ(光指定)、伏せ1枚
【イタコLP200】 手札2枚
場:伏せ1枚

 イタコの残りライフは風前の灯火。場には<竜騎士の盾>と思われる伏せカード。手札も潤沢とは言い難い。
 ――こんな劣勢を、あいつはいくつもはねのけてきた。
 相手がどんな策略を張り巡らせていようと、たった一度のドローで全てを引っ繰り返してしまう。
 それが、高良火乃という決闘者だった。
「俺のターン――ドロー!!」
 白い仮面で顔を隠したイタコが、機敏な動きでカードを引く。
「――さあて! 行くぜッ!」
 その声は、輝王の記憶に在る高良の姿と重なった。
 逆転のカードを引いたときの、高良の姿と。
 仮面の下にあるはずの瞳は、爛々と輝いているのだろう。
 ここまで来たら、認めざるを得ない。
 イタコは本当に、高良の霊をその身に降ろしているのだ。
「<ドラグニティ―ブラックスピア>召喚! さらに伏せカード発動! <リビングデッドの呼び声>! 墓地の<ドラグニティ―アングス>を特殊召喚するぜ!」

<ドラグニティ―ブラックスピア>
チューナー(効果モンスター)
星3/風属性/ドラゴン族/攻1000/守1000
自分フィールド上に存在する「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスター1体をリリースして発動する。
自分の墓地に存在するレベル4以下の
鳥獣族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

リビングデッドの呼び声>
永続罠(制限カード)
自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

<ドラグニティ―アングス>
効果モンスター
星5/風属性/鳥獣族/攻2100/守1000
このカードは「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスターを装備カードとしている場合、
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 ――<竜騎士の盾>ではなく、蘇生カード!?
 ダイレクトアタックを覚悟してまで、この状況を待っていたというのか――自分の読みを軽々と越えるイタコ……いや、高良の戦術に、輝王は驚愕を隠せない。
 鼻先から後部にかけてが槍の矛のように尖った特徴的な頭部を持つ、黒い小さな竜<ドラグニティ―ブラックスピア>。その隣に、<リビングデッドの呼び声>の効果によって墓地から特殊召喚された<ドラグニティ―アングス>が並ぶ。<ドラグニティ―アングス>は、輝王の<AOJアンリミッター>と同じく<手札断殺>の効果で墓地に送っていたのだろう。
「レベル5の<アングス>に、レベル3の<ブラックスピア>をチューニング!」
 黒き竜の体が3つの光球に変化し、弓を構えた鳥人の体の中へ取り込まれていく。
「大空を舞う戦士よ! 剣の龍の加護を受け、彼方まで騎翔せよ!」
 シンクロ召喚のエフェクト光が、輝王の視界を白く染める。

シンクロ召喚ッ! 繋げ! <ドラグニティナイト―バルーチャ>!」

 顎が刃のように鋭く尖り、緑と紫で彩られた巨大な竜が、一対の主翼と、尾の方に生えた副翼を羽ばたかせ、夜空に飛翔する。
 その背には、竜と同じ緑と紫の羽を生やし、槍を構える鳥人の姿があった。
 鳥獣族とドラゴン族――2つの<ドラグニティ>が力を合わせたモンスター。それが<ドラグニティナイト>だ。
 高良の主戦力であり、エースであり、切り札でもある。