にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 9-5

「リソナのターンです! もう好き勝手させないです!」
 自らを鼓舞するように叫んだリソナが、乱暴にカードをドローする。
 派手にモンスターを展開したはいいものの、ここまではティトにペースを握られっぱなしだ。
 デュエル前の自信満々の態度が、自分の首を絞めてしまっているのだろう。少女の表情に、焦りが見られるようになってきた。
「<ガロス>をリリースして、<ライトロード・ドラゴン グラゴニス>をアドバンス召喚です!」
 青髪の戦士の魂が、新たなモンスターを呼びだすための贄になる。
「――――!」
 棚引く金色のたてがみ。
 手を触れることさえ罪と感じるような神々しさを纏いながら、白金の龍が降り立つ。
 その両翼は、夜空を駆ける天馬のそれを思わせ、フィールドに柔らかな風を生む。

<ライトロード・ドラゴン グラゴニス>
効果モンスター
星6/光属性/ドラゴン族/攻2000/守1600
このカードの攻撃力と守備力は、自分の墓地に存在する「ライトロード」
と名のついたモンスターカードの種類×300ポイントアップする。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
自分のエンドフェイズ毎に、デッキの上からカードを3枚墓地に送る。

「<グラゴニス>は墓地に存在する<ライトロード>と名のついたモンスターの種類×300ポイント攻撃力と守備力がアップするです! リソナの墓地には、<ルミナス>、<ジェイン>、<ガロス>、<ウォルフ>、そして<ライトロード・ハンター ライコウ>の5種類が存在するです!」
 散っていった仲間たちの力を受け継ぎ、龍の雄叫びが響き渡る。
「――伏せカード<閃光のイリュージョン>を使うです! 墓地の<ウォルフ>を蘇生させるです!」
 先のターンで炎に焼きつくされた獣の戦士が、今度こそ己の力を見せつけるために、戦場へ帰還する。

<閃光のイリュージョン>
永続罠
自分の墓地から「ライトロード」と名のついたモンスター1体を選択し、
攻撃表示で特殊召喚する。
自分のエンドフェイズ毎に、デッキの上からカードを2枚墓地に送る。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する。

「<グラゴニス>の攻守の上昇より、攻め手を増やすことを選んだか」
 永続魔法により、安定して攻撃力を上げる<氷結界の虎王ドゥローレン>。
 墓地から<氷結界>モンスターを蘇生し続ける<氷結界の虎将ガンターラ>。
 どちらも、早急に倒さなければならないモンスターだ。
 墓地の<ライトロード>は4種類に減り、<ライトロード・ドラゴン グラゴニス>の攻撃力は3200。
「バトルです! <グラゴニス>で<ガンターラ>を攻撃! ホーリー・スピア!」
 大きく開いた白金の龍の口に、黄金色の光が収束する。
 それは槍のように放たれ、氷結界の僧の命を奪わんと飛ぶ。
 <氷結界の虎将ガンターラ>は<ライトロード・サモナー ルミナス>と同じように両手を前に突き出し、青い炎で壁を作り出す。
 槍が止まったのは、刹那。
 正確に胸を射抜かれた虎将は、その場に崩れ落ちる。
「――っ」

【ティトLP4000→3500】

 ティトがわずかに顔をしかめる。
「続けていくですよ! <ウォルフ>で虎さんに攻撃です!」
 今が攻め時とみたのか、あっという間に元気を取り戻したリソナが、号令を発する。
 右手の爪を振りかざし、獣の戦士が虎王に襲いかかる。
 高速で振り下ろされるそれを、体勢を低くして避ける虎王。
 が。
 <ライトロード・ビースト ウォルフ>が持つ三つ又の槍が、<氷結界の虎王ドゥローレン>の鎧を貫き、その体を串刺しにした。

【ティトLP3500→3400】

「やったです! やっとティトにダメージを与えられたです! ここからリソナの反撃です!」
 うれしさを爆発させて、ぴょんぴょんと飛びまわるリソナ。
「……調子が狂う、とでも言いたげですね?」
 輝王がため息をつくと、こちらの顔を覗き込んでいたセラが、いやらしい笑みを浮かべていた。
 セラを相手にせず、輝王はティトへ視線を移す。
「……まだ、何かある?」
 はしゃぐリソナに、ティトはターンの進行を促す。その瞳に陰りは見られない。
「あ、えーとですね。カードを1枚セットして、エンドフェイズの処理に移るです。<グラゴニス>の効果で3枚、<閃光のイリュージョン>の効果で2枚、全部で5枚のカードをデッキの上から墓地に送るです」
「そう。ならわたしのターンだね」

【ティトLP3400】 手札4枚
場:氷結界の風水師(守備)
【リソナLP2800】 手札2枚
場:ライトロード・ドラゴン グラゴニス(攻撃)、ライトロード・ビースト ウォルフ(攻撃)、閃光のイリュージョン(ウォルフ)、伏せ1枚

 リソナは、2体の強力なモンスターを倒すことに成功した。
 しかし、それは決して最善の手だったとは言えない。
 なぜなら、ティトのフィールドにチューナーモンスターを残してしまったからだ。
 デッキからカードを引いたティトが、手札から1枚のモンスターを選び取る。
「<氷結界の番人スノウ>を召喚」
 ティトの場に現れたのは、氷の羽を持つ鳥人だった。藍色の胸当てをつけ、柄の両端に刃がついた特殊な槍を構える。

<氷結界の番人スノウ>
効果モンスター(オリジナルカード)
星4/水属性/水族/攻1600/守1500
自分のライフポイントが相手のライフポイントより少ない時に、自分の墓地に存在するこのカードを
ゲームから除外して発動できる。
相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

「レベル4の<スノウ>に、レベル3の<風水師>をチューニング」
 輝王たちの足元を、冷たい空気が滑っていく。
「――来ますね」
「ああ」
 バキバキ! と音を立て、無数の氷塊がティトの背後に山を作り出す。
「これ、は?」
 唯一事態を把握できないリソナが、不安そうに氷山を見上げる。
「――全てを貫く絶氷の槍」
 氷山に亀裂が走り、徐々にひとつの像を作り上げていく。

シンクロ召喚。輝け、<氷結界の龍グングニール>」

 輝王たちには知る由もなかったが――
 氷の龍が上げる啼き声は、炎の恐竜たちを相手にしたときよりも、力強かった。

<氷結界の龍グングニール>
シンクロ・効果モンスター
星7/水属性/ドラゴン族/攻2500/守1700
チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上
手札を2枚まで墓地へ捨て、捨てた数だけ相手フィールド上に存在する
カードを選択して発動する。選択したカードを破壊する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。