遊戯王 New stage サイドM 4-5
「俺のターンだな……ドロー」
新たに加えたカードは、<AOJアンリミッター>ではなかった。
これ以上金盛を調子に乗らせるわけにはいかないが、今の輝王の手札で<ダーク・クルセイダー>を倒せる手段は――
(――ある)
奴の場には<ダーク・クルセイダー>しかいない。手札もないため、こちらのアクションに対して効果が発動するのは、墓地のカードしかない。
輝王は<手札抹殺>を使ったときを思い出す。相手が捨てていたのは、闇属性の通常モンスターだけだったはずだ。
(ちっ……あの段階で気付くべきだったな)
おそらく、金盛のデッキに魔法・罠カードはほとんど入っていない。あったとしても、<ダーク・クルセイダー>をサーチするためのものだろう。
デッキの大半を闇属性モンスターにして、<ダーク・クルセイダー>の大幅な攻撃力アップを狙う――それが金盛の戦術。
だからこそ、たった今ドローしたカードが状況を打開する「鍵」として機能する。
「どうした! 随分と考え込んでるみてえだが、攻撃力4000のモンスターなんて倒せるわけが――」
新たに加えたカードは、<AOJアンリミッター>ではなかった。
これ以上金盛を調子に乗らせるわけにはいかないが、今の輝王の手札で<ダーク・クルセイダー>を倒せる手段は――
(――ある)
奴の場には<ダーク・クルセイダー>しかいない。手札もないため、こちらのアクションに対して効果が発動するのは、墓地のカードしかない。
輝王は<手札抹殺>を使ったときを思い出す。相手が捨てていたのは、闇属性の通常モンスターだけだったはずだ。
(ちっ……あの段階で気付くべきだったな)
おそらく、金盛のデッキに魔法・罠カードはほとんど入っていない。あったとしても、<ダーク・クルセイダー>をサーチするためのものだろう。
デッキの大半を闇属性モンスターにして、<ダーク・クルセイダー>の大幅な攻撃力アップを狙う――それが金盛の戦術。
だからこそ、たった今ドローしたカードが状況を打開する「鍵」として機能する。
「どうした! 随分と考え込んでるみてえだが、攻撃力4000のモンスターなんて倒せるわけが――」
「喚くな。お前の舞台はここまでだ」
輝王の一喝は、調子づく金盛を黙らせるのに十分な迫力を持っていた。
「――俺は<AOJサイクロンクリエイター>を召喚」
橙色の翼を羽ばたかせ、機械の鳥がフィールドに現れる。
「――俺は<AOJサイクロンクリエイター>を召喚」
橙色の翼を羽ばたかせ、機械の鳥がフィールドに現れる。
<A・O・J サイクロン・クリエイター> チューナー(効果モンスター) 星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200 手札を1枚捨てて発動する。 フィールド上に表側表示で存在するチューナーの枚数分だけ、 フィールド上に存在する魔法・罠カードを手札に戻す。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「輝王……」
「もう終わる。お前は、奴が逃げないように退路を断っておいてくれ」
「――うむ!」
切が力強く頷き、輝王は勝負を決するためのルートを導き出す。
「<AOJカタストル>に、<AOJサイクロンクリエイター>をチューニング」
5つの星が輝き、闇を打ち砕く光となる。
「正義の軍団よ、闇に紛れる敵を照らしだせ! シンクロ召喚!」
輝王の背後に、巨大な光の柱が噴出する。
「もう終わる。お前は、奴が逃げないように退路を断っておいてくれ」
「――うむ!」
切が力強く頷き、輝王は勝負を決するためのルートを導き出す。
「<AOJカタストル>に、<AOJサイクロンクリエイター>をチューニング」
5つの星が輝き、闇を打ち砕く光となる。
「正義の軍団よ、闇に紛れる敵を照らしだせ! シンクロ召喚!」
輝王の背後に、巨大な光の柱が噴出する。
「進撃せよ! <AOJライトゲイザー>!」
無数のライトが、フィールドを煌々と浮かび上がらせる。
その中心にいるのが、T字型の特徴的なボディを持つ巨大兵器――「AOJライトゲイザー」だった。
その中心にいるのが、T字型の特徴的なボディを持つ巨大兵器――「AOJライトゲイザー」だった。
<A・O・J ライト・ゲイザー> シンクロ・効果モンスター 星8/闇属性/機械族/攻2400/守1600 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上 このカードの攻撃力は、相手の墓地に存在する 光属性モンスターの数×200ポイントアップする。
重い駆動音が場に響き渡り、空気が沈む。巨大兵器の存在が、フィールドを圧迫しているような錯覚に陥る――前に立つ金盛は、そんな表情をしながら脂汗を浮かべていた。
「へ、へへ」
その中で、無理矢理口元を歪め、笑いを漏らす金盛。
「な、なんだよそりゃあ……そいつの効果じゃ――」
「<AOJライトゲイザー>は、相手の墓地に存在する光属性のモンスターの数だけ、攻撃力が上昇する」
平然と答えた輝王に対し、金盛は戸惑いと焦りを顕わにしながらまくし立てる。
「そうだ! 俺の墓地には11体のモンスターがいるが……こいつらは全部闇属性だ! てめえのモンスターの攻撃力は1ミリも上がらねえ! つまり、俺の<ダーク・クルセイダー>には勝てねえってことだ!」
唾をまき散らしながら、金盛は輝王のプレイングミスを指摘し、自分の優位を告げる。
輝王は表情を変えないまま、
「本当にそう思っているのか?」
一言だけ呟いた。
「は? 今なんて――」
「バトルだ。<AOJライトゲイザー>で<ダーク・クルセイダー>を攻撃する」
<AOJライトゲイザー>の楕円形の両腕が、骸骨の騎士を捉える。先端から伸びるライトの光が、スポットライトのように降り注ぐ。
「い、いいぜ。来るなら来てみろ! やっちまえ<ダーク・クルセイダー>!」
金盛の叫びを受けて、骸骨の騎士が大剣を構える。
その瞬間、輝王は手札のカードを素早く選び取り、
「速攻魔法を使う。<偽精霊の誘い>!」
流れるように発動した。
「へ、へへ」
その中で、無理矢理口元を歪め、笑いを漏らす金盛。
「な、なんだよそりゃあ……そいつの効果じゃ――」
「<AOJライトゲイザー>は、相手の墓地に存在する光属性のモンスターの数だけ、攻撃力が上昇する」
平然と答えた輝王に対し、金盛は戸惑いと焦りを顕わにしながらまくし立てる。
「そうだ! 俺の墓地には11体のモンスターがいるが……こいつらは全部闇属性だ! てめえのモンスターの攻撃力は1ミリも上がらねえ! つまり、俺の<ダーク・クルセイダー>には勝てねえってことだ!」
唾をまき散らしながら、金盛は輝王のプレイングミスを指摘し、自分の優位を告げる。
輝王は表情を変えないまま、
「本当にそう思っているのか?」
一言だけ呟いた。
「は? 今なんて――」
「バトルだ。<AOJライトゲイザー>で<ダーク・クルセイダー>を攻撃する」
<AOJライトゲイザー>の楕円形の両腕が、骸骨の騎士を捉える。先端から伸びるライトの光が、スポットライトのように降り注ぐ。
「い、いいぜ。来るなら来てみろ! やっちまえ<ダーク・クルセイダー>!」
金盛の叫びを受けて、骸骨の騎士が大剣を構える。
その瞬間、輝王は手札のカードを素早く選び取り、
「速攻魔法を使う。<偽精霊の誘い>!」
流れるように発動した。
<偽精霊の誘い>(ぎせいれいのいざない) 速攻魔法(オリジナルカード) 発動時に1種類の属性を宣言する。 相手の墓地に存在するモンスターは、エンドフェイズまで自分が宣言した属性になる。
「このカードは、エンドフェイズまで相手の墓地に存在するモンスターの属性を変更することができる。当然俺が選択するのは――」
「光属性じゃな!」
輝王のセリフをかすめ取り、ポニーテールの少女がはしゃぐ。
「待てよ! ってことは……」
「<AOJライトゲイザー>の効果発動。確かお前の墓地にいるモンスターは11体だったな。よって、<AOJライトゲイザー>の攻撃力は2200ポイント上昇する」
「こ、攻撃力4600だとぉ!?」
金盛が悲鳴じみた声を上げる。
「チェーンはないな? なら、戦闘を続行する。攻撃だ<AOJライトゲイザー>!」
見る見るうちに絶望に彩られていく金盛の表情を気にすることなく、輝王は淡々とゲームを進行する。
<ダーク・クルセイダー>を照らし出すスポットライトが、徐々に輝きを増して行く。
「呑まれろ――ツイン・ライト・バニッシュ!」
<AOJライトゲイザー>の両腕の先端から、まるで意志を持った竜のようにうねりながら、光の奔流が打ち出される。
二頭の光が、骸骨の騎士をその激流の中に飲み込む。
「ぐぎゃああああああああ!!」
「光属性じゃな!」
輝王のセリフをかすめ取り、ポニーテールの少女がはしゃぐ。
「待てよ! ってことは……」
「<AOJライトゲイザー>の効果発動。確かお前の墓地にいるモンスターは11体だったな。よって、<AOJライトゲイザー>の攻撃力は2200ポイント上昇する」
「こ、攻撃力4600だとぉ!?」
金盛が悲鳴じみた声を上げる。
「チェーンはないな? なら、戦闘を続行する。攻撃だ<AOJライトゲイザー>!」
見る見るうちに絶望に彩られていく金盛の表情を気にすることなく、輝王は淡々とゲームを進行する。
<ダーク・クルセイダー>を照らし出すスポットライトが、徐々に輝きを増して行く。
「呑まれろ――ツイン・ライト・バニッシュ!」
<AOJライトゲイザー>の両腕の先端から、まるで意志を持った竜のようにうねりながら、光の奔流が打ち出される。
二頭の光が、骸骨の騎士をその激流の中に飲み込む。
「ぐぎゃああああああああ!!」
【金盛LP1800→1200】
<ダーク・クルセイダー>が撃破された衝撃で、無様に転ぶ金盛。
しかし、彼のLPはまだ残されている。手札、フィールドともにゼロだが、負けたわけではない。わずかな希望にすがるように、金盛は立ち上がった。
しかし、彼のLPはまだ残されている。手札、フィールドともにゼロだが、負けたわけではない。わずかな希望にすがるように、金盛は立ち上がった。
「これで幕引きだ。罠カードを起動。<クイック・リローダー>」
<クイック・リローダー> 通常罠(オリジナルカード) 自分フィールド上の「A・O・J」と名のついたモンスターが、 戦闘によって相手モンスターを破壊した時に発動できる。 そのモンスターは、もう1度だけ続けて攻撃することができる。 この攻撃によって相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。
たった今攻撃を終えた巨大兵器から、内部のモーターを高速回転させているような異音が響く。
「<クイック・リローダー>は、自分フィールド上の<AOJ>が相手モンスターを破壊したときに発動できる。そのモンスター――つまり、<AOJライトゲイザー>は、もう一度だけ続けて攻撃することができる。戦闘ダメージは半分になるがな」
「は、半分ってそんなの意味ねえじゃねえかああああああああ!」
「<AOJライトゲイザー>の二撃目だ。今度はお前自身が食らうといい」
理不尽さを呪うような断末魔を上げ、金盛は光の中で敗北した。
「<クイック・リローダー>は、自分フィールド上の<AOJ>が相手モンスターを破壊したときに発動できる。そのモンスター――つまり、<AOJライトゲイザー>は、もう一度だけ続けて攻撃することができる。戦闘ダメージは半分になるがな」
「は、半分ってそんなの意味ねえじゃねえかああああああああ!」
「<AOJライトゲイザー>の二撃目だ。今度はお前自身が食らうといい」
理不尽さを呪うような断末魔を上げ、金盛は光の中で敗北した。
【金盛LP1200→0】