にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 4-4

「――ドロー」
 切はああ言ったが「フィールドにカードが存在しない」ことがトリガーになって、手札から発動するカードもある。一見無防備に見えても、そこにはとてつもない罠が仕掛けられている可能性は考慮すべきだ。
(まずは様子見と行くか)
 輝王の思惑を読み取ったかのように、<AOJカタストル>の駆動音が高鳴る。
「このままバトルフェイズに突入する。<AOJカタストル>でダイレクトアタック!」
 <AOJカタストル>の金色の爪が、コンクリートの地面を穿つ。
ジャッジメント・カタストロフ!」
 地鳴りが響いた次の瞬間、金盛の足元から閃光の槍が飛び出し、彼の体に突き刺さる。
「ぎゃっ!」
 痛みはわずかなはずだが、金盛は情けない悲鳴を上げる。

【金盛LP4000→1800】

「カードを1枚伏せる。ターンエンドだ」
 金盛が動きを見せる気配はない。ただ単に、手札が悪かっただけだろうか。

【輝王LP4000】 手札3枚
場:AOJカタストル(攻撃)、伏せ2枚
【金盛LP1800】 手札6枚
場:なし

「く、くそ、今に見てろよ……俺のターン!」
 ドローしたカードを見た金盛の顔が、ニヤリと歪む。
「来たぜ! こいつでてめえは終わりだ!」
 下品な高笑いがフィールドに木霊する。歓喜の笑みを浮かべる金盛に対し、不快そうに舌打ちした切が視界に映った。
「俺は<ダーク・クルセイダー>を召喚!」
 金盛の場に召喚されたのは、黒の鎧を纏った骸骨の騎士だ。その手には、幅広の大剣が握られている。
「なんじゃ。ただの下級モンスターではないか」
「外野は黙ってろって言ったよなぁ! <ダーク・クルセイダー>の効果発動! 手札から闇属性モンスターを1体墓地に送ることで、攻撃力を400ポイント上げるぜ!」

<ダーク・クルセイダー>
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1600/守 200
手札から闇属性モンスター1体を墓地に送る事で、
このカードの攻撃力は400ポイントアップする。

「斬る! やっぱ斬る!」
 <ダーク・クルセイダー>の元々の攻撃力は1600。<AOJカタストル>を倒すためには、最低でも2枚の闇属性モンスターを墓地に送らなければならない。

「俺は、手札のモンスターをすべて墓地に送るぜ」

「……!?」
「まさか……このために手札を温存しておったというのか!?」
 金盛は得意そうに6枚の手札を見せびらかす。確かに、そこに在るのはすべて闇属性モンスターだった。
「<ダーク・クルセイダー>の攻撃力は2400ポイントアップして、4000! てめえのモンスターじゃ歯が立たねえぜ!」
「――ッ!」
 まさか、こんな方法で攻撃力4000のモンスターを召喚してくるとは……さすがに予想できなかった。輝王は顔をしかめる。
「さっきの礼だ! <ダーク・クルセイダー>で<AOJカタストル>を攻撃! ぶった斬っちまえ!」
 両腕で大剣を構えた<ダーク・クルセイダー>が、獲物に向かって跳ぶ。
 <AOJカタストル>は、闇属性モンスターとの戦闘では効果を発揮できない。
(しかし――!)
 輝王のデッキには、<AOJアンリミッター>という切り札が眠っている。<AOJ>と名のつくモンスターの攻撃力を2倍にできるあのカードなら、今の<ダーク・クルセイダー>も倒せるはずだ。
 そのためには、ここで<AOJカタストル>をやらせるわけにはいかない。
「罠カードを使う! <献身なる正義>!」

<献身なる正義>(けんしんなるせいぎ)
通常罠(オリジナルカード)
このカードを発動したターン、自分フィールド上のモンスターは戦闘では破壊されない。
(ダメージ計算は適用する)

 <AOJカタストル>のモノアイが緑の光を放ち、攻撃を阻むバリアを形成する。
「このターン、俺のモンスターは戦闘では破壊されない!」
 <ダーク・クルセイダー>の刃がバリアに激突し、バチバチと雷光が生まれる。
 それに構わず、骸骨の騎士は無理矢理に大剣を振るう。
「だが、戦闘ダメージまでは防げねえみたいだな! 食らえ!」
 黒の刃が生んだ衝撃波が、<AOJカタストル>の体を突き抜け輝王に直撃する。
「ぐっ……」

【輝王LP4000→2200】

「へっ! どうしたセキュリティさんよぉ! 俺のターンは終わりだぜ!」
 自分が優勢になった途端、輝王を見下すように笑う金盛。
「ぬぬぬ……調子に乗りおって……」
 切が怒りでわなわなと拳を震わせるが――輝王も同感だった。

【輝王LP2200】 手札3枚
場:AOJカタストル(攻撃)、伏せ1枚
【金盛LP1800】 手札0枚
場:ダーク・クルセイダー(攻撃)