にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルstage 【ep-17】

「くっ……まさかそのモンスターが手札にあったとは……」
 砂神が呻くが、そこに驚きはない。治輝の切り札ともいえる<エレメンタル・バースト>のことも知っていたし、こちらのデッキ内容はある程度調べてあるのだろう。
「<レム>が特殊召喚に成功した時、このターン破壊、またはリリースされたドラゴン族モンスターを、可能な限り手札に戻す!」
 墓地から、破壊された<ミンゲイドラゴン>と<ガード・オブ・フレムベル>、そして<ドラゴニック・タクティクス>によってリリースされた<デブリ・ドラゴン>と<ドラグニティ―ファランクス>が飛び出し、治輝はそれらを手札に加える。<トライデント・ドラギオン>はシンクロモンスターのため手札に戻すことはできないが、それでもこの4枚の手札補充は<-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>の効果を使う上で大きな意味を持つ。
「よし! これならいけるぜ、治輝!」
「頼むぞ、時枝」
「――ああ!」
 仲間たちからの声援に力強く頷いた治輝は、自分を覆うように漂う青き龍を見上げる。
「行くぞ、<レム>!」
 その呼びかけに応えるように、気体のようにおぼろげな存在の中で、蒼い瞳が強く輝く。
「今度こそ決める! <-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>で<邪神ドレッド・ルート>を攻撃!」
 <-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>は、自らの体を散らしながら、闇の深い空へと飛翔する。
 上空から己が砕くべき敵を見下ろし、大きく翼を広げた。
 それはまるで、夜空が青色のカーテンに包まれたようで――
「容赦はしない。全力で行かせてもらう! ダメージステップ……手札のドラゴン族モンスターを相手に見せることで、見せたモンスターの種類の数×1000ポイント攻撃力をアップする!」
 そう言って、治輝は4枚の手札を公開する。
 先程手札に加えた、<ミンゲイドラゴン>と<ガード・オブ・フレムベル>。<デブリ・ドラゴン>と<ドラグニティ―ファランクス>。
 4枚のカードに光が灯り、生まれた光の球体が、上空の龍へと向かっていく。
 瞬間、青い龍の体が激しく燃え盛る。
 青き炎に包まれた龍に4つの球体が吸い込まれていき、炎はさらに燃え滾る。
 その姿は、龍と表すよりも、鳥獣――いや、不死鳥と呼ぶにふさわしい。
 聖なる炎から何度でも蘇る不死の鳥、フェニックス。
 <-蘇生龍- レムナント・ドラグーン>が咆哮を上げる。響き渡る音は、鳥が発するか細い鳴き声ではなく、空間を振るわせるほど重々しいものだ。
 燃え盛るは、過去の力。
 そして――
 広げた翼から、青い粒子がこぼれる。
 こぼれた粒子は龍の背部へと収束し、気筒のような部品……ジェット機のブースターにも見えるものへと変化する。
 数は4つ。全てのブースターに火が灯る。

 ――束ねたのは、未来の力。

「オリジナル――レムナント!!」
 治輝がその名前を告げると、蘇生龍は音速を超えた速度で邪神に向かって突撃する。
 4つのブースターが吐く炎が、青の軌跡を描き出す。
「――――ッ!!」
 <邪神ドレッド・ルート>の両腕は、まだ再生しきっていない。
 腕による防御は不可能。
 邪神は、その巨体をのけぞらせ、雄叫びを上げた。
 自らが具現する恐怖を、青き龍に分からせるように。
 だが、蘇生龍は一瞬たりとも速度を緩めない。
 青い瞳に――恐怖の色は微塵も無い。
「……認めない。僕は……俺様は、こんな結末を――!」
 砂神が言い終わる前に、邪神の体を青の閃光が貫いた。

【砂神LP6000→3900】