にわかオタクの雑記帳

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ウマ娘 プリティーダービー Season2 感想 奇跡の軌跡

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何故、「悲劇を乗り越える不屈のヒーロー」を求めてしまうのか。


アプリリリースから爆発的に人気が急上昇したウマ娘プリティーダービー
「このまま無かったことにされるのではないか」と危惧してしまうほど音沙汰がなかった時期から考えると、夢でも見ているかのような盛況っぷりです。
「アニメは面白かったのにな~ゲーム早く出ないかな~」くらいのテンションで、そこまで熱心に応援していなかったにわかファンな自分でも、感慨にふけってしまいそうな状況です。

 


ここまで見事なスタートダッシュ(後方からの驚異的な末脚とも言う)を決められたのは、もちろんアプリの完成度の高さが段違いなのは言わずもがなですが、それと同じくらい先行して放送していたアニメ2期の出来が素晴らしかったからだと思うんですよ。
アニメを見て高まった熱を、そのままアプリに持っていってさらに昇華できる。
そして、アプリで各キャラのシナリオを読んで理解を深めてからもう一度アニメを見ると、出番の少ない脇キャラまで分かるようになり、さらに面白くなる。その相乗効果が凄まじかった。

 

アプリリリース前にこんな記事を書いて、

 

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

 

リリース後にこんな記事も書きましたが、

 

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

 


例えレース結果を知っていたとしても、引き込まれるほどの熱さを体感させてくれるドラマ性トウカイテイオーメジロマックイーンを主役に据えた2期では、その部分のウェイトが重くなっていました。
以下、最終回までのネタバレを含みつつ、軽く感想を書きたいと思いますので、未見の方は注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ウマ娘がどういうものなのか」といった全体的な世界観を伝えつつ、スペシャルウィークの物語を描いたアニメ1期。
サイレンススズカの故障という重石があったものの、必要以上に空気が曇ることもなく、カラッとした明るい雰囲気と、レースの熱さが楽しめたアニメでした。

 

その1期と同じく1クール13話という尺だったのにもかかわらず、段違いにシナリオが濃く感じたのは、ドラマ性を高めるための「ピースの嵌め方」が極まっていたからだと思いました。
「絶対」の血を受け継ぎ、将来を期待されるも何度も怪我に泣かされたトウカイテイオー
「退屈」とまで評された圧倒的な実力を持つも、道程は決して平坦ではなかったメジロマックイーン
史実をそのままなぞるだけでも少年漫画顔負けのストーリーになるテイオーが主役となれば、否が応でもドラマ性は高まるわけですが、それだけに留まらなかったからこそ、熱狂を生み出せたのだと思います。

 

馬主や調教師、騎手の方々の想いや言葉を紐解いて再構成し、ウマ娘の感情や言葉として描く。
当時の世間や観客、ファンたちの期待や評判を、ウマ娘たちの関係性に当てる。
それらを深掘りすることで、レース描写に厚みが増す。「勝って欲しい」と握る拳に力が入る。
1期の頃から卓越していた、ウマ娘を「面白い」と感じさせてくれていた部分ですが、2期ではさらに唸らされました。

 

 

 

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親友でありライバルのテイオーとマックイーン。
クラシックを通じ、互いを認め合ったミホノブルボンライスシャワー
ライバル関係に多くのスポットが当てられていた2期ですが、一番驚かされたのが、史実では全く接点のなかったツインターボとテイオーの関係性。
それまで言葉や態度は大きいけど、戦績は振るわないマスコットキャラとして描かれてきたツインターボと、彼女の名前すらまともに覚えていなかったテイオー。2人のやり取りは、単なるコメディシーンにしか見えませんでした。


それなのに。


3度目の骨折で心が折れ、引退を決めたテイオーを再起させるために、ターボ師匠の激走を持ってくるとは誰が予想出来ただろうか。
「諦めない気持ち」を思い出させるために、破滅的大逃げで限界を超えて走る姿を見せる。
単に史実をなぞるだけでは絶対に出てこない「嵌め方」。ここで涙腺に追い打ちをかけるように、一度は受け取りを拒否したキタちゃんの御守りが出てくるのがもうね……こんなの泣かないわけないじゃん……

 

 

 

 

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史実を再構成したシナリオに納得を与えるための演出の上手さも光りました。
2話の「テイオーがいたらなんて言わせない」や、ライスシャワー関連(彼女は間違いなくアニメのおかげで人気出たと思う)、そして主軸として揺るがなかったテイオーとマックイーンのドラマ。
回が進むごとに入れ替わる立場を、EDを交えて丁寧に演出したからこその、最終回での感動。
普段は明るくてクソガキ感愛嬌たっぷりのテイオーが、シリアス全開で吠える声は、問答無用で心を揺さぶりますね……最後に初期勝負服に戻って、1期のOPを回収するのも地味に熱い。
アニメコラボとしてアプリに実装されたテイオーの新勝負服のスキル名や、演出が「不死鳥」を連想させるのも、彼女が数々の苦難を乗り越えてきた光景を思い起こさせて、じーんと来ちゃいます。

 

 

 

 

 

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アプリ内の育成シナリオでは、ダービー後に骨折せず、最初の目標だった無敗三冠を達成できるテイオーや、不治の病を発症することなく、「退屈」な強さを保ったまま天皇賞秋を勝つマックイーンの姿を見ることが出来ます。
彼女たちに起こるはずだった悲劇を回避し、幸せな未来をつかみ取ることが出来るわけです。
悲劇なんてものは起こらない方がいいのは当たり前で、目覚まし時計ひとつで未来を変えられるなら変えるべきだと思います。


それなのに。


実際に起こった悲劇を経験し、心身を傷つけられ、何度も涙を流して――
その果てに掴み取った「奇跡」、そしてそこに至るまでの「軌跡」の方が心を揺さぶられてしまう。感動してしまう。
数々のifを体験したからこそ、正史が眩しく見えてしまう。人の悲しい性なのか、「悲劇を乗り越えたヒーロー」を求めてしまう……俺はなんと愚かしい生き物なのだろう……
相乗効果と言って良いのかどうか、ともかくアプリのおかげでアニメがより楽しめたことは間違いなかったです。

 

 

 

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両方引けませんでした(隙自語)


色々不安はありましたが、終わってみれば掛け値無しに良いアニメでした。ウマ娘2期。
1期の時とは違い、今はアプリや漫画があるので、まだまだ浸れそうです。ホンマにありがたや……
願わくば、この熱が長く続いていってくれることを期待しつつ、更新が終わったらもう一回最終回見てこようと思います。