にわかオタクの雑記帳

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ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 アニメ感想 ひとりだけどひとりじゃない優しい世界【ネタバレ有】

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ここが……ここが理想郷なのか……?

 

 

サンシャインに続く「三代目」ではなく、「外伝」としてスタートした虹ヶ咲学園。
アニメ以外のメディア展開にノータッチだった俺にとって、ラブライブ!はサンシャイン2期で時が止まっており、虹ヶ咲がなんで外伝なのか、アプリではどういう扱いなのかも知らないまま視聴を始めました。

 


まず思うのが、この「外伝」という位置付けが全て良い方向に向かったな、と。


キャラクターデザインやシナリオがいい意味で従来作品から脱却しており、「ラブライブ!」に囚われることなく、「虹ヶ咲」の世界を描いてくれたな、というのが一番の感想です。
多くのファンを抱えるほど膨れあがったコンテンツ、少し舵取りを間違えれば炎上といっていいほどの批判の嵐が巻き起こる状況。もし虹ヶ咲が三代目なら、「こんなのラブライブじゃない!」と声が上がったかもしれません。(ちなみに俺はラブライブらしさと問われると首をかしげてしまうにわかです)
外伝だから、シリーズの主流からは外れた作品だからこそ、凝り固まった伝統を過剰に気にすることなく、伸び伸びやれたのではないかなーと感じました。もちろんそれは過去作品を蔑ろにするという意味ではなく、シリーズが育ててきた「スクールアイドルの良さ」を、別の角度から描いていたと思います。
それはスクールアイドルを外から見る主人公の侑ちゃんであり、グループではなくソロアイドルの集まりであること。中ではなく外に主人公を置き、「みんなで成長する」というよりは「影響を与え合う」に重心を置いたシナリオ構成。ラブライブ!を知らない人でも十二分に楽しめる、素晴らしい外伝でした。

 

 

 

 

 

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てっきり過去作と同じでメンバーみんなでグループ結成してラブライブ出場を目指すもんだと思っていたので、ソロアイドルやるって聞いたときは「えっ?」ってびっくりしたもんですが、これにより1話ずつ各キャラの担当回をやって各々の壁を乗り越えつつライブをする流れができあがり、出番の多い少ないで割りを食うことを抑えつつ、それぞれの掘り下げを行うスタイルもよかったですね。その回でメインじゃない他キャラも、ちゃんとストーリーに関わり、壁を乗り越えるための「影響を与えている」。
みんな目指すアイドル像はバラバラで、そこに向かうための道も違う。
だから各個人で孤独に頑張りましょうソロアイドルなんだしではなく、目指す場所が違っても支え合える。「団結しよう」「ひとつになろう」なんて言葉がなくても、自然と輪は繋がっていく。個性を大事にしつつ、手を差し伸べ、背中を押す。そんな「理想郷」を丁寧に描写してくれました。


この辺を強く感じたのはりなりー回で、表情を作れないことに改めてショックを受けたりなりーが段ボールに引きこもってしまった時、誰も無理矢理段ボールを剥がそうとしなかったんですよね。彼女の意思を尊重しつつ、励ます。「笑えるように特訓しよう」ではなく、「別の形で表現しよう」と提案する。ああ、なんて優しい世界なんだろうと。

 

 

 

 

 

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俗に言う「なろう作品」がヒットする昨今、視聴者が強いストレスを感じる展開は嫌煙されがちな傾向があります。
アニメ虹ヶ咲は、そうした風潮を汲み、現代の視聴者層に受け入れられるアイドルアニメを作ってくれた気がします。
山も谷もある、シリアスなパートもある、でもストレスは感じない。
無遠慮な言葉のナイフも、理解しがたい突飛な行動も、明らかに破綻したシナリオもない。演出も含め、全ての部分できめ細やかに描かれた、優しい世界。
全ての登場人物が心の底から「誰か」を応援している。人の温かさに満ち溢れているのが、画面越しに伝わってくる。
「ああ……俺ってこんな作品が見たかったんだな……」と心がじんわりとあったまる、いいアニメでした。

 

 

突飛な行動で触れなきゃいけないのが、闇堕ちしかけた歩夢ちゃんの押し倒しなんですが。
あれは汚れたオタク目線で見ると「ヤンデレズ! 重い女!」とネタにしたくなるし、そう見ても仕方ないような演出だったのですが、歩夢の感情としては「ずっと一緒だった幼馴染が離れてしまうのが怖い」と友情の範疇に収まってるんですよね。
自分の知らない侑の姿を人づてに聞かされて、自分自身もスクールアイドルをやって侑以外のファンから声援をもらうことに喜びを感じてしまっている。このまま進めば、もう2人の道は交わらないかもしれない――そんな不安と恐怖をため込み、爆発してしまったからこその押し倒しだったわけです。いや別にヤンデレならそれはそれでいいんですけど。
こんな風に、シーンだけ抜き取って見ると衝撃の展開でも、過程や理由をちゃんと見せてくれる安定感が常にありました。キャラクターを大切にしていて、シナリオの都合で動いているように見えなかったのは、本当に構成が上手いなと感心しきりでした。

 

 

 

 

 

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www.youtube.com

 

アニメで虹ヶ咲を知った身として「どのキャラが一番好き?」と訊かれたら、彼方ちゃんって答えますかね。
昼寝が好きなのんびり天然少女だと思ってたのに、詰め詰めスケジュールを頑張る苦労人だと知ってギャップにやられました。MVも一番好きで何回もリピートしましたわ……
直近で書いたアサルトリリィの記事でもそうですが、こういったギャップに弱いのかもしれません。


そして、脚本上一番動かしやすかったのはかすみんだろうなぁと。気軽にギャグやらせても安心な矢澤枠はやっぱいると便利なんでしょうなぁ。ある意味無敵なのでずるい。

 

 

 

 

 

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ことあるごとに「バラバラ」を強調していた同好会が、最後のステージで侑ちゃんのためにグループになる王道だからこそのエモさを見せてくれた最終回。あとは2期告知があれば完璧でした。映画でもいいので、また虹ヶ咲の優しい世界が見られる日を、期待しながら待つとします。

 

 

 

 

 

 

 

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……助演俳優賞あげてもいいよね?

 
細かい演出が話題になった作品でしたが、お台場を舞台にしているのに頑なに描写を避けていて「権利関係なのか?」と疑っていたユニコーンガンダムに、まさか最後の最後で意味合いを持たせるとは……こんなのオタク虹の彼方に飛んじゃうよずるいじゃん。